『宇宙よりも遠い場所』クラスタの皆様、映画『南極料理人』見ましょう
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更新日:2018年3月14日
さてさてさて。

今期アニメの中でも原作なしオリジナル枠で高い評価を上げ続ける『宇宙よりも遠い場所』、ついに第10話で昭和基地に到達しましたね!!
TVアニメ『宇宙よりも遠い場所』公式サイト
Amazonプライムビデオ:『宇宙よりも遠い場所』
3年放置された昭和基地を運用可能に戻したり、基地内の様子が描かれたり……と、普段あまり俯瞰で見ることの出来ない昭和基地の様子がわかって、人物ドラマ以外でも大変おもしろく興味深かったなーとホクホク。
第11話でも基地内の様子や、南極の大地へ新機材を設置する作業が描かれており大変満足でした。
もちろん人物ドラマも非常に良くて、繰り返し見たいところなんですけれども。
そんな「基地の様子がしっかり描かれる」系の「南極を舞台にした作品」で万人にオススメできる映画、というのがありまして、そう、『南極料理人』ですよ!!!

Amazonプライムビデオ:南極料理人


海上保安庁の職員として実際に南極へ派遣された西村純氏の書籍『おもしろ南極料理人』を原作として2007年に実写化された本作。
『宇宙よりも遠い場所』第10話でも「基地での生活に大事なのは食事とイベント」という言葉がありましたが、まさにその2つに焦点を当てた一本でございます。
舞台は1997年、『宇宙よりも遠い場所』の舞台となっている昭和基地よりもさらに1000km内陸。
標高3800mという高地にあるドームふじ基地へと派遣された観測隊員たちの日常を描く作品で、「南極の過酷極まる環境っぷり」、そして「ご飯の大事さ」をのんびりとした映像とともにこちらへ投げ込んでくる、非日常環境の中での日常を描く映画の傑作だと思っています。

国立極地研究所:観測拠点・観測隊

ちなみにドームふじ基地についてはこちらを参照のこと。日本の観測基地の中で一番南極点に近い位置にあるわけです。
ロケ地は南極!……ではなく北海道の網走なんですが、辺り一面真っ白で、地平線の向こうまで何にもない感じが実にいい具合の『南極っぽい映像』になっていますし、違和感もなくて大変良いですよ。
……まぁ映像的には8割が屋内なんですけれどね……下手すると9割かもしれん……。

もともと派遣の決まっていた同僚が交通事故で骨折し、代打として派遣された海上保安庁の西村さん(堺雅人)。
極地研究所から派遣された雪氷学者でちょっと厳しい本山さん(生瀬勝久)。
同じく極地研究所から派遣され、神経質な天気学者の平林さん(小浜正寛)。
気象庁から派遣された最年長の「タイチョー」ことラーメン大好き金田さん(きたろう)。
大学院から派遣され、東京の彼女と長々遠距離恋愛中の川村くん(高良健吾)。
車両メーカーから雪上車担当として派遣され、「左遷ですわー」と嘆き続けるサボり癖の御子柴さん(古舘寛治)。
通信社から派遣され、通信や放送関連担当なラーメン大好き2号の西平さん(黒田大輔)。
民間診療所から医療担当として派遣され、夜な夜な「バーふくだ」を開いて隊員に酒を振る舞う福田さん(豊原功補)。

そんな一癖もふた癖もあるおっさん(と一人だけ青年)たちが、1年半の長きに渡り、高すぎる標高故にペンギンもアザラシもおらず、ウイルスすら死滅する気温の中で共同生活を送る様子が、過剰な演出を省いて淡々と、そして仄かなユーモラスさを入れて描かれています。

南極派遣のために3年準備してきた者と、代打で派遣された者、企業からの派遣を「左遷」と嘆く者。
それぞれが南極派遣への捉え方も違う中で、それでも「美味しいご飯を食べること」には欲求を失わず、
そんな彼らの胃袋をしっかりと満たすという大事な任務を担う西村さんの奮闘がまた面白いんですよね。
個室は一応あるものの2畳程度の広さしかなく、プライバシーはゼロに等しく、洗面台からはトイレが丸見えで。
風呂、洗面、トイレ、調理に使う「基地でいちばん大事なもの」である水は雪を溶かして作るしかなく、
その雪は近くの雪原を掘って運ぶという重労働が必要で……という苦労がある中で、前の隊が残した伊勢海老(冷凍)がデポ物資の中のどこかにあると聞けば「じゃあ今夜はエビフライだな!」と盛り上がりながらえっさほっさと雪を掘るおっさんたち。
その水を使いすぎる御子柴さんにストレスを向ける者、それを「まぁまぁ」と諌める者。

閉鎖環境かつ娯楽が「持ってきたもの」以外になく(インターネットは多分この当時だとない)、日本の家族や恋人へ電話するにもインマルサット経由のため1分750円という凄まじい料金が吹っ飛ぶ環境の中。
なんとかみんなで協力して平穏無事に過ごしたいよね、という思惑と「でもあいつサボってるじゃん!!!」という怒りが交錯する中……でも当然みんなお腹は減る。そしてご飯食べてるときは怒りがみんな収まる。
そんなワリとギリギリの隊員たちを静かに支える「縁の下の力持ち」ポジションの西村さんが見る南極の話であり、男子寮ノリでワイワイやるおっさんたちの姿がまた本当、のんびりマッタリと面白いのです。

ドラマチックな展開などというものはほぼなく、この映画で描かれる最大の危機といえばそれはもう
「ラーメンの在庫が早々になくなった」「西村さんがやる気を失った」ぐらいのものなんですが、
それゆえに「閉鎖環境での小さな歯車のズレ」の怖さ、「料理ができる人」の大切さがよく分かります。
ドームふじ基地での観測任務や『コア』と呼ばれる氷柱の採取などの話はテイストとして描かれつつも、
専門的で小難しいことは何もかも放り投げて「コア落としたら弁償なー。1本1000万ぐらいかなー」とか、
「オーロラ観測?そんなことよりラーメンだよ!!伸びるから早く食べようよ!!」とか、
「中国文化研究会と称して夜な夜な麻雀にふける観測隊員」などのワリとボンクラな話にスポットを当てた作りなので、
肩の力を抜いてダラーっと見つつ、ときに笑い、ときにお腹の減るような料理映像にうなる、というのが心地よい。
そして「日本映画のダラーっとしたカメラワークがこうも活きる映画が作られてたんだなぁ」と思わされます。
南極的なスケールの大きな物語や、美しいオーロラの映像みたいなものは一切まるっきりないので、そういった話を期待して見る分には肩透かし感があるかもしれませんが、「極限環境下での日常モノ」としては屈指の一作ですよ!

個人的にオススメなのはラーメン大好き1号2号の顛末と、川村くんの超遠距離恋愛の行方かなぁ……。
あと誕生日祝いの話とかもあるので(これがまたメチャクチャに面白い)、週末とかにでもぜひ御覧ください!!!
  
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