視聴映画感想
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■14年12月15日 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 



コスモリバースを受領し、イスカンダルを離れてから1ヶ月。
7ヶ月前に飛び立った地球へ帰還の途につくヤマト艦内には穏やかな空気が流れていた。
しかし突如、大マゼラン外縁部で謎の敵から攻撃を受けるヤマト。
敵はガトランティスの大都督、ゴラン・ダガームと名乗り、ヤマトの引き渡しを要求してきた。
要求を拒否したヤマトはガトランティス艦隊との戦闘へ突入、『火炎直撃砲』による攻撃に苦戦しつつもワープで窮地を脱するが、ワープアウト先は外界から孤立した薄紅色の宇宙空間、そして金色に輝く惑星。
艦体の修復作業が行われる中、技術科の新見・桐生とともに惑星の調査へと向かう古代だったが、そこで見たものは「あるはずのない艦」、そしてヤマトへ復讐を誓うガミラス軍人、フォムト・バーガーだった……。



はい、もう公開から1週間以上経ったしいいよね!結構踏み込んで書いちゃうけど良いよね!!!

ということで、『宇宙戦艦ヤマト2199』本編の第24話と25話の間に位置する物語で、「地球に帰る途中のヤマトが遭遇した新たな敵」ガトランティスの脅威を描きつつ、本編では若干駆け足だった「ガミラスとの対話と信頼醸成」の物語となっていました!


ヤマト2199という作品自体、過去作をものすごく大事にしつつ、辻褄の合わない部分や細かい部分を丁寧に修正。
そして古代のキャラクターも『現在の視聴者に合わせた』形にリファインし、エキセントリックなキャラクター性を他のキャラに分割譲渡することで、『2199で初めてヤマトを見る人』をドン引きさせないという素晴らしいバランス感覚で作られた、『傑作』と読んでいい作品だったと思うんですけども、終盤の展開で若干不満があったりもしたんですよね。
ところが、今回の劇場版でその不満点がほぼ軒並み解消。「これがあればなぁ」「あれが足りないなぁ」が全部ここにあったぞ!
「隙間の物語」でありながら、うまく本編を補完してみせた、実に見事な手綱さばきだったと思います。

特に嬉しかったのは、沖田艦長と古代の会話シーン。
本編では佐渡先生や徳川機関長との会話が多かった沖田艦長ですが、古代とはあんまり話をしていなかったんですよね。
それが、今回は古代の兄である守の話をし、手ずから入れたお茶を飲みながらレコードを聞き、穏やかな時間の中で語り合うという。
沖田から古代へとバトンを渡す、そんな思いの伝わってくるシーンが見れたのは、本当にありがたかったですね。

また、シリーズ本編ではガミラス本星壊滅(主にデスラー砲による)を食い止めてみせたヤマトの活躍や、メルダと山本の友情などに基づく「ヤマトとガミラスとの停戦・信頼醸成」は描かれていたものの、ヤマトに対して復讐の念を抱き続ける軍人はまだまだいて、そういう相手とどう向き合うか……というのが描かれたのも良かったですね。
2199世界ではガミラス本星が無事なままに終わったので、その結果として

デスラーが古代と友情とか好敵手認定とかそういうのを一切なしでガミラスという星から蹴り出されてる


わけですけども、代わりにディッツ提督・メルダ・バーガーという3人にヤマト、そして地球との和平への道筋を託したのが面白いなぁと感じます。
ここがしっかりと描かれたので、『ヤマト2』なり『さらば』なりを映像化するときにも描けるドラマの枠がグッと広がりますし!

特に『ヤマトに仲間やドメルを殺され復讐心をたぎらせるバーガー少佐』は、ヤマトクルーや地球人たちの鏡写しのような存在。
それが「生まれた星が違う者同士でも、きっと分かり合うことができる」という言葉通りに、理解し、和解し、そして共闘を果たすというこのカタルシス。
赤黒と白の迷彩が施されたゲルバデス級航宙戦闘空母『ミランガル』でガトランティス艦隊に立ちはだかり、
艦をズタズタにされながらも一歩も退かず闘いぬいたその姿は、某弓兵を彷彿とさせるところもありつつ文句なしに格好良かった……!


そして今回の敵であるガトランティス、これがまぁ良いキャラしておりました(笑)。
過去作では人材不足に悩む中小企業みたいな感じで、軍事力はともかく国家としては劣化ガミラスみたいな感じもありましたが(言うな)、今作ではかなりの蛮族感。
他文明の技術者を『技術奴隷』として使うことで発展してきたという、ガミラスとは正反対の方向に突っ走る種族なのが面白いですね。
っていうかこれもしかしてクリンゴンなのでは(ゴクリ)。なんで艦隊旗艦の艦橋に太鼓持ち込んで大勢で打ち鳴らしてんだよ!!!!!
いえ、ダガームがたまたま蛮族出身なのでああなってるだけで、他の連中はもうちょっとマトモなのかもしれませんが!

今作で脅威となる『火焔直撃砲』を搭載したガトランティス艦、メガルーダは旧作のメダルーザ型が原型。
5門の長砲身主砲や火焔直撃砲展開ギミックなどなど、実に「獰猛でカッコイイ」艦となっていました。
それに立ち向かうヤマトの『古代戦法』とでも呼ぶべき、パイロット気質のアクロバティックな戦闘はクライマックスにふさわしく、
見ながら「実質的にバトルシップだこれ!!!」と言いたくなりつつ、万雷の拍手を送りたくなるシーンでしたね!
ナスカ級やラスコー級と言った艦艇群もそれぞれに見せ場がちゃんとあり、実に魅力的な敵艦隊となっていたのは嬉しい限り。
シリーズ本編での登場時(ドメル艦隊と戦ってた時)は手描きだったのが、今回は3DCG作画になったとか。
強敵であるガトランティスに対し、ヤマトとガミラス艦隊が共闘するという艦隊戦は、本当に胸の熱くなるものでした……。


んで今回の主人公と言える活躍を見せるのが、CV中村繪里子の技術科員・桐生御影。
シリーズ本編製作中に出てきた「劇場版作りましょう」という話を受けて、その種まきとして七色星団戦の回に登場させた……という経緯のため、本編ではほとんど出番のなかったキャラクターなんですが、本作ではまぁ本当に可愛く動く!動く!
ドジッ娘属性を遺憾なく発揮しつつ、言語学者の卵でもあるという才媛っぷりを中盤からは遺憾なく発揮し、
古代やバーガーたちが陥った窮地を紐解く大活躍や、惑星調査の操縦担当だった航空科の沢村との友情など、見せ場はたっぷり。
さらに、父親が空間騎兵連隊の隊長であり、あの人とも接点があるという……これもう『さらば』あるいは『2』を作る気まんまんじゃないですかー!

あとはやっぱり地球でヤマトの帰還を待つ土方たちの姿が描かれたのも良かったですね。
シリーズ中ではどうしてもヤマトにピッタリとカメラが寄り添っている関係で、地球の姿や状況は殆ど描かれませんでしたし。
そこで描かれた、「暴動を起こす市民を鎮圧せざるを得ない」怒りに震えるあの人の姿なんかは、
どう考えてもヤマト帰還後に「ガミラスと単独で停戦してきたヤマトへの怒り」とかに置き換わるんじゃじゃないかと思うんですが!
そういう意味ではもう種まきバッチリですよもう(笑)。

パンフでは出渕監督が
「これでヤマト2199という作品は一区切り」
「2199は、地球を飛び立ったヤマトがイスカンダルへ辿り着き、そして地球へと帰ってくるまでの話」

というコメントを発しているんですけども、分かりました『ヤマト2101』が始まるんですねそうなんですよね!?
あんな種まきしといて続編ないとか言われたらちょっと泣くしかないので、時間かかってもいいので何卒お願い致します……!

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■14年11月30日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第六章 暴走!赤いレイバー/THE LONG GOODBYE』 



『暴走!赤いレイバー』
コンビニ立て篭もり事件を起こした末、カーシャの突入によって逮捕されたテロリスト蜂野一郎。
拘置所への移送中に脱走した蜂野は、新潟港へ到着する旧ソ連の軍用レイバーを強奪するためタクシーをハイジャック、道中で数々の犯罪を繰り返しながら新潟へと向かっていた。
公安からの情報と警備部トップからの命令により、軍用レイバー強奪を阻止するため新潟へと向かう明と塩原。
しかしその目前で軍用レイバー『RT-99 バウーク』は蜂野に強奪された。
高速道路上を驀進するバウークを止めるべく、防衛ラインを張る警察。最後の砦となったイングラムはバウークを止めることができるのか……!?


来ました!シリーズ唯一の「レイバーVSレイバー」の物語!!
あらすじを読むとだいたい分かる通り、テレビ版第9話『上陸 赤いレイバー』がモチーフになっていますが、
そこへアーリーデイズの第7話『特車隊、北へ!』の要素も入った物語となっています。
今回は二課や首都圏を離れてアウェーの地、それも公安との共同戦線。『狙撃距離2000』でのカーシャ以上に過酷な条件ですね……。

奪われたRT-99バウークは完全新規のデザインとなった軍用レイバーで、『上陸』に登場したドシュカとは全くの別物。
そう、あの「T-34/85の砲塔に脚が4本生えただけ」というドシュカとは違うのです!!!どう見てもBMP-3だけど!!!
高速道路を爆走し、追跡してくるパトカーを主砲で吹き飛ばし、ヘリに機関砲を撃ちまくるその姿は獰猛極まっておりまして、
『野良犬たちの午後』でM240という歩兵用の機関銃にズタズタにされたイングラムが果たしてそんな大物を相手どれるのか……?
ここでの迎撃方法はワリと理にかなっておりながら、そううまく行くはずもないよなぁ!というところがやはり見どころかと思います。
……というかね、あの、イングラムのスタンスティックね、今回、使われるだろうと思ってたんですけどね……というか今回使われなかったら今後使われることはもう……きっと……(嗚咽)。

撮影には実物大のバウーク砲塔部分を作り、それを軽トラの上に据え付けて実際に高速道路を走って撮影したということで、
ハッチから身を乗り出している蜂野のシーンは臨場感もバッチリ。これはアイデアだなぁと思わされました。

あと『上陸 赤いレイバー』を見ていた人なら懐かしいあんな台詞こんな台詞もありまして、過去作オマージュとしても楽しい一編。
『上陸』同様に、塩原と同じ部屋に泊まることになってしまった明のドキドキ感とかオンナノコらしさが非常に可愛らしい。
夜間のサービスエリアでのイングラムデッキアップなど、今回も「いい風景作ってるなぁ」というシーンが盛り沢山で、「ガチのアクションバトル」を期待していくと少々肩透かし感を受けるかもしれませんが、かなり面白い一編となっていました。


『THE LONG GOODBYE』
今日も今日とて待機時間を過ごす明の元へ届いた一通の葉書。それは高校の同窓会の案内だった。
待機任務の日ではありつつ、塩原や御酒屋からのプッシュを受けて同窓会へ向かう明だったが、すでに同窓会の参加者を載せたクルーズ船は出港した後。
落胆する明の前に現れたのは、かつて想いを寄せ合いつつも、喧嘩別れをしてしまった同級生、高遠だった。
同じようにクルーズ船に乗り遅れたという先輩、吉田とともに食事を囲む明と高遠。卒業式の日から止まっていた時間が動き始めるが……。


『女性キャラを可愛く撮るために呼ばれました』という湯浅監督が担当する、明かわいいよ明エピソードの第二弾!
第二章の『鉄拳アキラ』では非番の日に明が何をしているか……に迫るエピソードでしたが、今回は明の過去話となります。
非常に甘苦くセンチメンタルな話で、過去のパト作品を見てもここまでの作品はちょっと思い当たらないかな。

いやもうねぇ!!!めっちゃねぇ!!!!カワイイんですよ今回の明!というか制服姿の真野恵里菜!!!(バンバン)

単に姿格好だけではなく動きや演技まで含めて可愛い、高校時代の明。こういうのが見れるとは思ってなかったですねぇ当初……。
カーシャはワリとどのエピソードでも綺麗に撮られてますけども、今までの明は概ねタブレットで何か見てるか、塩原の無茶な指示に文句言いつつ従ってるか、苦労してるか」という感じだったので、ここまで明を可愛く見せてきたのは嬉しい誤算。いやはや素晴らしかった……。
特に今回は『暴走!赤いレイバー』での、民宿でドキドキする明を映した後にこのエピソードなので、可愛さも倍増というか。

タイトルはチャンドラーの名作『長いお別れ』から来ていますが、劇中でも映画の『THE LONG GOODBYE』が大切な思い出の作品として使われておりまして、映画好きには嬉しいところ。「ギムレットを飲むにはまだ早すぎる」とかもあるよ!
TNGパトの湯浅監督エピソードは寺山修司とかチャンドラーとかを劇中小道具に持ってくるのが上手いですね……。

強いて言うなら『大怪獣現る』に対する『タイムドカン』のように、ちょっとこう予算的な部分の配慮も感じる一編でしたが、
レイバーが動かなくてもやっぱりパトレイバー世界は成立するなぁ……!と数度目の実感。

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■14年11月20日 『ザ・ベイ』 



養鶏産業と夏のビーチバカンス業で生計を立てる人口6000人の小さな港町、クラリッジ。
2009年7月4日、アメリカ独立記念日を祝い祭りが開かれ、街は活気にあふれていた。
しかし突如として急病人が大量発生、時を同じくして凄惨な連続殺人事件が勃発。
事態収拾の糸口もつかめぬまま次々に死者は増え続け、自治体としての機能を喪失したクラリッジは崩壊した。
数年後、機密情報公開サイトによって流出したクラリッジ崩壊の様子をとらえた映像。
そこに映っていたのは数多くの惨劇と、生きようとする人々、そして生命を賭して街の様子を遺そうとした住民たちの姿だった。
クラリッジを崩壊させたものは一体何なのか?何が起きたのか?当時、町を取材していたレポーターのドナは重い口を開き、当時の状況を語り始める……。



いやーーーー面白かった!というかすごかった怖かった!!!2014年に見た映画の中でもトップに怖かったかもしれません!
こんなゾクゾクくる映画、いつ以来だ……!?というぐらい、うん、星5つ付けてもいいぐらいの傑作だと思います!

いわゆるPOV形式でありつつ、同時に「発掘された映像を見ながら、その場にいた人間が当時の状況を語る」というフェイクドキュメンタリーなので没入感はあまりないんですが、とにかくもう普通の市民生活・賑やかなお祭りが崩壊していく描写が秀逸。

レポーターのドナたちが撮影していた映像を中心に物語は展開していくんですが、それだけではなく車載カメラやWEBカメラ、監視カメラ、留守番電話への伝言、SNSでのメッセージなどで遺された「感染に直面した人たちのメッセージ」は多彩で多様。
それらがうまく物語を繋ぎ、町一つが崩壊するという物語を非常にうまく演出していると思います。

メイキング見てると監督が「本当に役者にカメラを持たせて、こういうふうに撮ってくれと指示して撮らせたよ。一発撮りだよ」と言ってるところもあり、随所随所で見られるすごく自然な素人っぽさもまたお見事でした。
特に患者たちの治療にあたっていた医師が、自らも感染していることに気づき、院内の様子や死亡した患者たちの様子を何とか伝えよう・遺そうと撮影した動画は壮絶の一言でしたね……。

クラリッジを壊滅させた原因は最近日本でもお馴染みのアイツなんですが、これ見ると「かわいい」とか言えなくなること請け合いですね。というか海辺とかに行けなくなるぐらいの恐怖感が……!
「内側から食われて死ぬ」「外側に向かって食い進まれて苦しみ続ける」などの描写も満載で、元の生態を生かしつつ「突然変異でサイズが大きくなった」というシンプルな理由付けで、最大限の脅威として描き切ったなぁと感心します。
というか、ワリと本気でPOVホラー系の中でもトップクラスに「こんな死に方イヤや」感が。本当に。

監督が実際に見たドキュメント番組に着想を得た、というのが出発点の映画だけあってリアリティは満点で、
ただしそれゆえに若干説教臭くなってる……なのに警鐘みたいなメッセージ性がない……という声も聞こえてきたりはするものの、
あくまでも「崩壊していく町を見てきた人間の声」が主題のモキュメンタリーなので、これはこれでいいんだと思います。
あんまり警鐘的なことをやるとMMRになっちゃいますしね……。

モキュメンタリーホラー好き、という人には是非是非見て欲しい一本で、こういうのがあるからやっぱりB級ホラー作品を見るのはやめられないなぁ!とつくづく実感した傑作でした。見終わったあと凄い疲れるけどね(笑)。

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■14年10月22日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第五章 狙撃距離2000/クロコダイルダンジョン』 



『遠距離狙撃2000』
来日していたロシア外商部のナンバー2が高速道路で狙撃され死亡する事件が発生、警視庁警備部のメンツは丸つぶれとなった。
後任者の来日に合わせて警備部と公安が警戒を強める中、特車二課へと交換研修で配属されているカーシャが、ロシア政府から後任者の護衛任務を命じられる。
後任者を確実に守るには超長距離狙撃犯をカウンタースナイプで叩くことが必要であり、本国で訓練を受けていたカーシャが適任というのが表向きの理由だったが、犯人はかつてのカーシャの上官であり、狙撃の教官でもあったのだ。
かつての恩師を討つため、特車二課を離れ独自行動を取るカーシャ。そしてついに、外商部の後任者が来日する日が訪れた……。


三代目特車二課のメンバーの中でも随一の変わり種にして「よそ者」としての側面を強く持つカーシャ。
すでに『野良犬たちの午後』と『タイムドカン』で充分にカーシャ祭りを見せてくれましたが、今回はまさにカーシャオンステージ!独壇場でしたね!

テロリストへと堕ちたかつての上官を討つため、たった一人の戦いを繰り広げる……というのは旧作群にも無かった物語ですが、
まさに「特車二課という特殊極まる性質の組織の中でも異物であるカーシャ」だからこそできるエピソードになっており、これがもう実にカッコイイわけですよ!

高速道路を見下ろすビル群へと登り、地形を調べ、一つ一つ丹念に可能性を潰していくカーシャの姿は、
劇場版パト1作目での松井刑事たちが帆場の足跡を追う姿にも重なりつつ、優秀な猟犬としての姿を感じさせてくれますし、
ここで映される風景と映像フィルターの効果も相まって「観客が普段見ている都市」とはぜんぜん違うものを見ているんだなーと実感させてくれましたね。
ワリと今回、カーシャ単独のシーンだと『Avalon』でみせたようなフィルターがかかっている画面作りになっているのが印象的。

また、狙撃対決ということで、押井監督の大好きなSVDドラグノフとRAI M500の対決という、マニア大喜びのマッチングもありますよ!
圧倒的に射程の長いM500に対抗するため、セミオートでの速射による制圧を狙うカーシャ……というのは非常に面白く、そこで見せるセルゲイとのドラマも相まって、日本で作られた狙撃モノとしてはちょっと類を見ないレベルで「良い」作品に仕上がってるんじゃないでしょうか。

もちろんカーシャと特車二課隊員との交流もちゃんとあり、二課敷地内の射撃場でドラグノフのゼロイン(零点規制)を行うシーンも丹念に描かれているので、そういうのが好きな人は是非是非ご覧いただきたく……!!!
あ、あと公安の外事三課の高畑警部が妙に豪華な役者さん使っておりまして、これは劇場版長編への布石かなぁとか思ったりも。


『クロコダイルダンジョン』
かつてその地へと降り立った特車二課隊員たちを、二度にわたって壊滅させかけた下水道…通称『ダンジョン』。
世代は変わり、整備班にもその存在を知るものは少なく、またその存在を知る者の中でも「禁忌」とされていた迷宮は、
「かつて特車二課が下水道で捕獲してワニ園へと寄贈したシロワニが、20億円相当の巨大真珠を生んだ」というニュースにより、みたび脚光を浴びることとなった。
若き整備班員4人が一攫千金を夢見て封印を破り、下水道へと挑んで行方不明となる中、かつての悪夢を知るものとして救助隊の派遣を拒否し、再度の物理的封印を図るシバシゲオ。
その一方で部下を見殺しに出来ない整備班副長・斑山の懇願に対し、二課隊員6名がフル装備で救助に向かうが、
そこで待ち受けていたのは初代隊員たちを苦しめたダンジョンそのものと、各々の心に潜む悪魔だった……。


TV版38話「地下迷宮物件」と新OVA13話「ダンジョン再び」で描かれた、二課敷地の地下に眠るダンジョンの物語は、
本当にいいコメディでありつつ「開発を繰り返してきた東京の地下にはまだ我々の知らない世界があるよ……」というちょっとした浪漫と恐怖を与えてくれた、非常に印象深いエピソード。
TNGパトレイバーの第一話を見たとき真っ先に思ったのが「地下迷宮はぜひお願いします」だったわけですけども、いやぁ、素晴らしい形で映像化されていました!!!!!

ウィザードリィの要素を入れたダンジョンの名前とその碑文や、かつて初代隊員たちが挑んだ際の残骸の再現度。
そして『あの部屋』もきちんと用意されており、『機動警察パトレイバー』というアニメ作品と『THE NEXT GENERATION パトレイバー』がきっちり地続きだということを感じさせてくれます。
いやもう本当に、ここまで丁寧にアニメから実写への世界スライドを成功させた作品ってあるでしょうか……。

田口監督曰く「押井総監督からの指示は、最終的にみんなおかしくなるパニック映画」だったそうですが、『龍の涙の広間』で隊員たちが見せるあの姿は、過去のパトレイバー作品にもない見事な狂気だったと思いますね……!
『遠距離狙撃2000』であんなにカッコ良かったカーシャも見事にキャラが崩壊してました。素晴らしい……。
あ、ちゃんとレイバー動きますよ、動きます。一応ですけども(目を逸らしながら)。


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■14年9月1日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第四章 大怪獣現る(後編)/タイムドカン』



『大怪獣現る 後編』
怪獣対策本部に招かれた特車二課隊員たちがめいめい好きに活動し、市長は観光客の増加に笑いが止まらず、駅前には金星人が出没し、混沌の度合いを深める熱海市街地。
そんな中、サーファーたちの大量失踪事件と怪獣との関連を危惧する海洋学者、七海は芹沢博士を呼んで「深度50m程度の網代湾に200mもの巨大怪獣が生息しうるのか」を問う。
「真実はいつでも残酷な現実を我々につきつける」の言葉とともに、あるものを七海に託す芹沢。
そして出現するGA☆PA、出動する陸事の戦車隊、GA☆PAの歌を歌い上げるザ・リリーズ。
あらゆる人々の思惑渦巻く熱海で、ついにGA☆PAに対して火を噴く98式AVのリボルバーカノン……!!!
大怪獣騒動の真実とは?そして熱海市の運命や如何に……?


TNGパトレイバーシリーズの中では、来年公開予定の長編映画を除けば間違いなく最長の尺を使った作品となる『大怪獣現る』の後編、いやぁ楽しませていただきました!!!!
どう考えても「熱海で怪獣映画やりたい」という押井総監督の欲望丸出し以外の何物でもないエピソードでありながら、実にパトレイバーらしいエピソードに仕上がっておりました。

前編で概ね「特車二課が熱海の街に来た」という部分のドラマをやりつくし……と思ったら「対策本部で好き勝手してる隊員たち」を出してきてその結果として出来上がったのが、あの予告にもあるGA☆PAの大暴れだったり、鈴木Pが入ったことで更にその混沌度合いを増す『観光資源としてのGA☆PA』に対する思惑だったり、流石と言わざるを得ません。

しかも例のGA☆PA大暴れ映像部分、監督は第0話『栄光の特車二課』監督にして『ウルトラマンギンガ』『ギンガS』の監督な田口清隆でありまして。
パンフによると当初はあのGA☆PAも全編フルCGになるはずだったところを、「怪獣が全部CGのみでは面白くない」と直談判。
「そこまで言うならやってみろ」という押井監督に「きぐるみ特撮を再評価させる」を裏テーマに作ったものの、「安く出来ますよ!」と啖呵を切った手前本当に低予算しか与えられず、人脈をフルに駆使して作る羽目になったとか。
しかしながらそれを感じさせない、良い塩梅の熱海破壊スペクタクル大怪獣作品が出来上がっていたと思います。
まぁ劇中で「知り合いのプロダクションに頼んで格安で作らせました!」とか言わせちゃってる辺りに押井監督の底意地の悪さというか、それすらも計算ずくだったのでは……?という疑問も湧いてきますが、後藤田隊長の「いやぁ大したもんだ、この時代にあえて実写の特撮とは」という感嘆の台詞を聞くに、ある程度は押井さんもあの映像を評価していた……のかな?

かなり好き放題やった熱海編でしたが、出番のない千葉繁さんも現場へ遊びに来ていたとのことで、いやぁ……本当……楽しそうですよね押井さん……。
そりゃニコニコ動画でのEP1『三代目出動せよ』の生放送時、田口監督の熱海編へのコメントが怨嗟に溢れたものにもなろうと言うものです(苦笑)。


『タイムドカン』
特車二課にかかってきた一本の電話。それは二課へ爆弾を仕掛けたことを知らせるものだった。
イタズラだろうと一笑に付す隊員たちをあざ笑うかのように、爆弾は現実に炸裂した。
続く爆弾魔からの電話により、すでに二課棟内へ爆弾が仕掛けられていることが判明、本庁に貸しを作ることをよしとしない特車二課はその総力を上げて爆弾を捜索するが、奮闘むなしくまた爆発が……。
爆弾魔に主導権を握られた状況下、後藤田の下した決断が状況を大きく動かすことになる……!



どう考えても第三章の『野良犬たちの午後』と『大怪獣現る 前後編』とで予算を使いすぎた結果このシナリオになったんじゃないの!?と思わざるを得ない(実際には大怪獣現るよりも前に公開されるエピソードになるはずだったとか)本作。
二課棟内とその敷地周辺でのみ物語が展開されるお話でしたが、いやぁ小気味良い秀作でした!!!
そしてついに『レイバーが1秒、1カット足りとも動かない』という、これぞパトレイバーだと言える一遍(待て)に仕上がっていました。
テレビシリーズでは「後藤隊長への私怨から数々の嫌がらせに出た上、レイバーを使った殴りこみをかけてくる元課長」というエピソード『目標は後藤隊長』がありましたが、それとはまた違った形での『狙われた特車二課』モノとして、非常によくできた物語でしたね。

爆弾魔との知能戦に的を絞ったことで物語が引き締まる中でも、わずか一手で主導権を取り戻す後藤田の冴えが非常に光りますね。
出番は少ないながらもしっかりと見せ場を持っていく、この辺りがやはり隊長らしくて良いなぁと思います。
爆弾の解体に挑むカーシャとシゲさんの場面は緊迫感もさることながら、押井監督らしいペダンチックなモノローグ(語り手は塩原)も決まっており、パトレイバー云々を抜きにしても『爆弾魔との戦い』を描いた作品として、非常に評価したいなぁと。基本はドタバタですけどね!?

もちろんパトレイバーという物語世界の中の一編だけあって、パト好きにはたまらないところもしっかりとカバー。
テレビシリーズ34話までのOP『そのままの君でいて』を歌っていた仁藤優子のグラビアが掲載された、特車二課整備班の歴史を物語る秘蔵の雑誌の数々や、整備班員が二課に抱える不満が吐露されるなどの『整備班悲哀史』的な部分は非常に楽しめましたね……そう、今まで整備班員が文句言ってるシーンが無かっただけに、なおさら(笑)。

爆弾魔の正体は……という結末部分は好みが分かれるかもしれませんが、パンフでの湯浅監督コメントによると
「爆弾魔が誰かって?押井監督に決まってるじゃないですか。まぁ実行犯は僕ですけど」
ということなので、もうそれで納得できてしまいましたね!!

あ、あと今回のパンフですが、98式AVを運搬するトランスポーターの説明(4P)や、湯浅監督へのインタビュー(2P)、それに加えて田口清隆監督による『GA☆PA』の撮影裏話(2P)など、非常に読み応えのある(やや恨み節混じりの結構壮絶な)内容になっていますので、買っても決して損はしないと思いますよ!!


次回はカーシャがメインの『狙撃距離2000』に加え、ついに!待望の!!地下迷宮物件みたび!!!(狂喜乱舞)
『クロコダイル・ダンジョン』が果たしてどのような決着を迎えるのか、いやまぁ決着なしで『ダンジョン再び』の終わり方でも一向にかまわないんですけども、今からもうワクワクせざるを得ませんよこれ!!!!!(ガンギマリの目)

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・押井守がレイバーのデザインとか色々語るよ→モデルカステン:押井守・映像機械論 メカフィリア
■14年7月24日 『アイス・ジョーズ』



雪山『マンモス・マウンテン』に突然現れたサメ!!サメ!サメ!!!!!
次々に食い殺されていく客やスタッフたち。
決死の戦いを挑む保安官たちだったが、銃弾の通用しない雪山サメたちの前に、次々に仲間たちが斃れていく。
果たして雪山サメの群れを退治する方法とは……?


原題は『アヴァランチ・シャークズ』ということで予告を見る限りもうものすごいバカサメ映画としての存在を主張しておりましたが、
……うん、きつかったね……ちょっと色んな意味でしんどかったね……。

「サメが陸地で襲ってくる」というのは僕らの我等の『ビーチ・シャーク』でも実現しておりまして、
砂浜を縦横無尽に動き回るサメ!!どうやってお前ら地中をそんな軽やかに動いてるんだ!!!
そんなツッコミを入れざるを得ないながらも、非常に楽しい作品に仕上がっていたわけです。
で、今回の『アイス・ジョーズ』も、それ系だろうと思っていたわけです。
何の因果かサメが雪山の雪原を自由自在に動き回り人々を襲い、それと激しく戦う若者、おねーちゃんの水着、ラストは爆発オチであろうと。


だがしかし。


いや、なんと言いますか、内容としては『ゴーストシャーク』と『ビーチ・シャーク』を足しっぱなしにした映画なんですよねこれ……。

かつてシャーマンたちによって山へ封印された凶暴なサメの精霊(すでにこの時点でなにかおかしいが気にしてはいけない)が、
雪崩によってトーテムポールが倒れたことで復活、霊体でありながらこちらを喰うことができるうえ、
こちらからの攻撃は一切無効化できるっぽいというチートにも程がある能力で次々に阿呆な若者や阿呆な町長たちを襲う様子は、
ある意味では『最強のサメ系モンスター』といえるのかもしれないんですが、そんな存在にしちゃったことで、
「とてもじゃないけど手がつけられない・事態に収拾がつかない」というところに陥ってしまい、
主人公たちがどんだけ銃をぶっぱなしても何一つ意味が無いという、非常に悲しい絵面が流れる映画になってしまいまして。

『ゴースト・シャーク』だと何が原因かを主人公たちが把握した上で、その原因の排除に向かう中でのサメとの決戦……という、
どこまでも『主人公たちが当事者であり、苦しい戦いを強いられながらもラストは爆発オチで勝利』だったわけで。
そうであるがゆえに、見ている側がカタルシスを感じる事ができたわけですね、はい。
しかも『ゴースト・シャーク』では、水があるところからサメの幽霊が襲いかかってくる、という形でメリハリ・緩急が付いており、
『ビーチ・シャーク』では音を利用してサメを誘導という、知恵で勝負できる余地があったことでクライマックスが盛り上がり、
『人間VSサメ系モンスター』という物語をどうにかこうにか成立させていたわけですよ。

ところが本作、事態を収めるには倒れたトーテムポールを立て直さなきゃいけないけど主人公たちは雪山サメたちの襲撃で絶体絶命!!
そもそもトーテムポールがどこにあるのかわからない!!!という状況のままラスト10分を迎え、
そこから先、何が起きるかはもう、あの、実際にご覧頂いて確認して欲しいんですが、
正直ここまで何もかもが咬み合わないままなんとなくエンディングを迎えた作品とか久々ですよ!!!!!(いい笑顔で)

いやまさか主人公たちが文字通り右往左往してるだけで終わり、事態は気がつけば解消し、
一体何がどうなったのかをメインクラスのキャラが誰一人として把握してないとか。すごかった。色んな意味ですごかった。
制作はカナダの会社っぽいですが、この脚本にゴーサインが出てしまい完成し世に送り出されてしまった、というこの現実!!
それでもスノボのシーンやらなにやらでの爽快感はちゃんと描かれていて「あぁこの部分だけでも日本映画負けとるなぁ」と思ってしまう絶望感!!
こういうのがあるからD級サメ映画はやめられませんね!!!(ガンギマリの目で)

ただやはりエンタテイメントとして成立しているかというと目をそらすしか無い上、
僕らの我等のアサイラムが放つ『メガシャーク』シリーズや『ダブルヘッド・ジョーズ』みたいな飛び抜け感もなく、
ただただD級の、本当に見る価値を探しだすのが困難な一本である、という風になってしまうのが悲しいところですねぇ……。
サメ映画好きの皆様に於かれましてはぜひとも見ていただきたい一本だとも言えますが。間違いなく映画経験値は上がるよ!!

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■14年7月18日 『メガ・シャーク VS メカ・シャーク』



二度にわたって人類を恐怖の淵に叩き込んだ巨大サメ『メガシャーク』。
人類はその脅威に対向するため、その叡智を結集した対メガシャーク用決戦兵器、メカシャークを建造していた。
しかしメカシャークがまだ完成を迎える前に、再びメガシャークが海洋へと出現。
全世界の海域は封鎖され、人類とメガシャークの戦いの第三幕が始まった。
次々に沈む軍用艦、苦戦を強いられるメカシャークもまた海溝へと閉じ込められ、最大の危機を迎える。。
果たして人類はメガシャークを倒し、平和な海を取り戻すことは可能なのか……!?


さて。

アサイラムです。

ボンクラ映画の総本山、D級サメ映画といえばアサイラム!!!という認識を持ってる人も多かろうと思いますが、
『メガシャークVSジャイアントオクトパス』『メガシャークVSクロコザウルス』という2作品を経て、
満を持して人間VSメガシャークの物語がやってまいりました!!!!!
予告編見てるとメカシャークとメガシャークの戦いにダイオウイカが乱入してきたりもするっぽく、
いやぁワクワクするのう、陸上モードってお前それ何考えて搭載したんだ!!!とかゲラゲラと大笑いし、
これはもう満を持して見なくては……これ見ずに今年のサメ映画は語れないな!!!と思っていました!!!



と思っていました!!!!!!(白目)



いやぁ、うん、この予告編作った人間は偉いわ……間違いなく劇中に登場する映像素材を使って、
何かこう、本編とは全く違う内容の映画であるかのように錯覚させてるこのクオリティ……!!!!!!
間違いなくこの予告編はひとつの映像作品として完成されており、むしろもうこれだけでよかったんじゃないだろうか……。
そんなことを思ったりもしてしまったんですけども、や、本編も予告編のことを頭から追い出せばなかなか楽しい一品でした!!

基本的にはメガシャークVS人類の駆るメカシャークの物語でありまして、
水中でメガシャークに対し魚雷を発射するメカシャーク!体当たりされるメカシャーク!!!
当初の設計よりも硬度を増した牙で噛み付き……はしないメカシャーク!!!という、
「あれ、もしかしてこれサメ型にせずに普通の高速潜水艦で良かったんじゃね」とツッコミ入れざるを得ない物語構造!!!!
ゴジラに対抗するためメカゴジラを作った、という以上に頭が悪くて最高なんですけども、
どちらかと言うと『ゴジラVSメカゴジラ』ではなく『勝ったほうが我々の敵になる』をやりたかったんだろうなぁ、というのは伝わってくるので、
こう、なんとも言えず温かい目になりながらお酒を飲まざるをえないのです。

更に、「何かよくわからないけどカメオ出演っぽい人たち」「無駄に物語を引っ掻き回すクソガキ」
「役に立ちゃしねえ通常兵器装備の軍人」「説得力のない提案をしてくる科学者」
など、
日本の怪獣特撮作品を見ているかのような熱い要素がてんこ盛りでありまして、
間違いなく絵面は海外であり外国人なのに、ホームに帰ってきたかのような安心感すら覚えます。
よし、あの迷子はそのままプチッとやっていいぞ陸上モード!!!

ただ、相変わらずいつものアサイラムであり相変わらずいつものメガシャークシリーズといいますか、
というかいつものシリーズよりも『シーンのつなぎがぶつ切りどころの話じゃねえ』『圧倒的説明不足』というところは凄まじく、
なまじっかのサスペンス映画よりも画面に集中しておかないと、何が何やらさっぱりわからなくなることは請け合いです。
というか集中して見てても「……これは……こういうことでいいんだろうか……」と首をひねりながら見ることになりますので、
数寄者の皆様に於かれましては是非とも2回3回と見て「あぁ、アレ多分こういうことだな!!!」と推察していくのも良いかと思います。
まぁ何一つとして回答は提示されませんけども!!!!!

最後のオチがまさかの爆発オチだったり、エンドロールに仕込まれてる「ちょっとニヤリとできるワンカット」も、
「いやお前それ別にいらなくねえ!?」という感じのあれだったりと、アサイラムの「俺達がA級作品風に作るとこうなるんだぜ!?」という、
熱い主張を感じてやや右拳を強く握りしめることになるこの作品、予告編のすごい詐欺テクニックと合わせて是非ともご覧頂きたい!!

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■14年7月12日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第三章 野良犬たちの午後/大怪獣現る(前編)』



・第4話『野良犬たちの午後』
特車二課の食糧事情における生命線とも言えるコンビニ『Max Weber』へ、昼飯の買い出しへやって来た泉野明。
いつものように気心の知れた店員から新製品を薦められつつ買い物を終え、二課棟へ戻ろうとする明だったが、
その直後、一発の銃声が鳴り響いた……。
そしていつまでも戻らない明を心配しコンビニへと向かった塩原、塩原と明を心配して迎えに行った山崎もまた、二課へと戻っては来なかった。
二課随一の腕利きであるカーシャが斥候に向かった先で見たものは、軽機関銃で武装したテロリストたちに占拠されたコンビニの姿、そして人質となっている来店客や明たちの姿。
1号機担当の3人がテロリストの人質となる非常事態に、後藤田は98式2号機の出動を決定。
本庁警備部の機動隊も出動する中、重武装のテロリストにより要塞と化したコンビニを制圧する作戦の火蓋が切って落とされた……!


いやぁ、『狼たちの午後』のパロディだよなーこれとか思い、予告編では「シドさんじゃないですかー!!」とか笑っておりましたが、
これ、めちゃめちゃ良かったですね!!!非常に良いアクションエンタメに仕上がっておりました!!!!

「様子を見に出て行った隊員たちが次々に戻らなくなり、その先では大変な事態が起きていた」というシチュエーションは、
TV版第29話『特車二課、壊滅す!』でも描かれた(あれは上海亭が舞台でしたが)エピソードではあるんですよね。

ただ、アレは本当にレイバーが動かない、ただひたすらに上海亭という店と二課の関係性、そして出前担当のニーチャンと店主との確執にスポットが当たった心底どうしようもねえエピソード(褒め言葉)だったのに対し
今回はきちんとレイバーが動く余地を介在させつつ、旧作品群では描かれなかった「隊員たちとコンビニ店員との関係性」を描き、
さらにゴリゴリとアクションを叩き込んで、ついでに今までの4話で不足していた「パトレイバー世界のテロリスト」を描いた、非常に密度の高い作品に仕上がっていました。

ストックホルム症候群に陥る人質たち、冷静を装いつつテロリストが持ち込んだ武器を見て爛々と目を光らせ解説に没頭する塩原、
98式の2号機を遠隔操作するという困難なミッションにキレる大田原、神経が太いのかネジが飛んでるのか判然としない後藤田、
そしてテロリスト制圧のキーを握る二課随一の腕利きにして危険物であるロシア女ことカーシャ。
特に今回、そのカーシャが掘り下げられているといいますか、『三代目出動せよ』で見せた銃剣付きのAKがこれでもかと振るわれまして、
「あぁ、あれやっぱりマジモンだったんだ……香貫花と同じで勝手に持ち込んでたんだ……」となったり(笑)。

コンビニ突入から店内での銃撃戦、そしてナイフVS銃剣付きAKでのインファイトというのは本当に素晴らしい物に仕上がっておりまして、
「あまりアクション経験のない太田莉菜さんが猛練習を積み重ねて、立派にアクション女優になってます」と監督が太鼓判を押すぐらい、
すさまじい見応えのあるアクションがタップリと堪能できました。
ロシア語の台詞もカッチョいいですし、この作品に太田莉菜をキャスティングしたのは大正解ですよ押井監督!!
というか「アサルトガールズとは一体何だったのか……」って押井クラスタが頭抱えて悶絶するレベルですよこれ!!!

シドさんこと波岡一喜さんの演技はギラギラしておりテロリストという役柄の危険性をよく表現していますし、
アホな配下の猿渡(この苗字も押井作品ではおなじみですね)もいざ戦闘となれば素晴らしいナイフアクションを見せておりまして、
何気に日本映画で描かれたコンビニ内でのアクションとしてはこれ、特筆するべき一本になるんじゃないでしょうか。
まぁ「これがなんだか分かるか」って言いながら武器が入ってるカバンとトランクを見せたシーンでは「ゲネシスドライバーかな?」とか思いましたけども!!

あと砕け散る陳列棚の商品群、木っ端微塵になる飲料ケースのガラス。弾丸に撃ち抜かれるカップ焼きそば。
飛び散るかやく、青のり、強調される日清焼そばUFO、といった遊び心もあり、これOK出した日清は流石すぎると思ったりね(笑)。
とは言え、そういう遊び心は決して見る側を邪魔するものではありませんでしたし、
撒き餌的にこれをテレビ放送してもいいんじゃないかなぁと思えるぐらいの良作でしたねぇ。
これ、人によってはTNGパトレイバーのベストエピソードになるぐらいの逸品じゃないでしょうか!!!!


・第5話『大怪獣現る(前編)』
観光地として没落の一途を辿る熱海の海で突然発生した漁獲量の急激な減少。
危機感を持った市長から原因調査を依頼された七海博士は、同時期に発生したサーファーの連続失踪事件にも注目。
「熱海の海には、何か未知の生物が潜んでいる」と警鐘を鳴らすが、観光客にすら逃げられてはたまらない市長は七海博士を解任。
たまたま慰安旅行で熱海を訪れていた第二小隊の後藤田隊長と酒を痛飲し盛大に荒れる七海だったが、
その夜、相模湾で謎の巨大生物が海面へ浮上、熱海は一夜にして「怪獣の潜む海」を抱えることとなった。
即座に対策本部を構えた市長は七海博士をトップに、そして特車二課第二小隊をオブザーバーに据え、
98式も出動させ、怪獣に備えることとなる……。
しかし待てど暮らせど現れない怪獣、嵩み続ける二課の出動費用、盛り上がるのは一部のオタクだけ。
怪獣を観光の目玉として利用したい市長の思惑は外れ、ついに二課が撤収するその日。その撤収途上。
またも怪獣が熱海の海へその姿を現したのだった……!!!!


『パトレイバーと怪獣』と聞いて劇場版アニメ『WXV』、あるいはその原作となったコミックのエピソード『廃棄物13号』を思い出した皆様。
正しい。確かにその2作品はパトレイバーと怪獣という立ち位置で言うなら間違いなく正しい。

だが。

だがしかし。

パトレイバー世界、あるんです。アーリーデイズの第3話『4億5千万年の罠』というう屈指の馬鹿エピソードが。

そしてTV版の第15話『歌を唄ったクジラ』第42話『沿岸警備命令』もまた、海から現れた注目されるいきものエピソードということで、
ええ、多分これ、まだ前編だけですけども、間違いなくそんの3本を足してもっとひどくしたような話になるんでしょう!?
そうなんでしょう押井監督!!!(期待の目で)

とにかく今回、『野良犬たちの午後』でレイバー動かしたからもういいよね?という感じで、レイバー、動きません。
熱海でのデッキアップとデッキダウン、そして熱海への移送シーンぐらいでありまして、ええ、多分CGモデルとしてのレイバー、1カット足りとも使われてないんじゃないですかねあれ。だがそれがいい。

熱海という歓楽地の海岸沿いでデッキアップするレイバー、背景に熱海の観光施設が見える中にそびえる98式イングラム。
正直なところ、最高です。ちょっと震えましたね!!!

吉祥寺でのデッキアップイベントとはまたちょっと違う「地方都市に現れたイングラム』というものがどれぐらいグッと来るのか、
それが追体験出来た感じというか、デッキアップした瞬間に沸き起こる歓声や拍手、それが映像の中に組み込まれてるというのがねー。
メタ感ありつつも、「ロボットのおまわりさん」という形でそれなりに親しまれている今現在の特車二課をよく表しておりまして、
この前編においてはこれでいいんだろうなぁと思うわけです。

あくまでも前編は怪獣の全貌も見えず、「怪獣が現れたことで起こる街の変化」を描きながら、
後編に向けての伏線を張っている……という状況なんですけども、危険なネタはてんこ盛りでありまして、
とりあえず大巨獣ガッパの本編以上に『ガッパ』という単語を連呼した作品としてギネス申請していいんじゃないでしょうか。
いやまぁその全部にことごとくピー音が入ってましたけども!!!!!
次回予告でチラ見えしていた博士の正体は平田博士では無かったりもしつつ、お前その名前を今ここで使うか!!となったり、
劇中で流れる冨永みーなと古川登志夫のラジオのネタもまた前立腺ネタなのか、となったり。
押井監督の脂ッ気が抜けた「いい具合に力の抜けた」遊びが見れて、押井さんはこういう作風でいいんだよなぁ、と再確認しましたね。

後編ではどうも本当に熱海の街を火の海に変えたり、98式が本当にマトモにリブルバーカノンをぶっ放したり、
ジブリの鈴木Pが『胡散臭いテレビ番組プロデューサー』というお前それもうちょっといじれよ本人そのままじゃねえか!!!!
という役どころで登場したり、と相変わらず押井監督が楽しそうにやってるぽいので、これもまた見に行かねば……!!!
カーシャメイン回になるっぽい第7話『タイムドカン』も含めてこれまた非常に楽しみですな!!!!


・BDはこちら→THE NEXT GENERATION パトレイバー/第3章 [Blu-ray]
・パトレイバーの予習をするなら→機動警察パトレイバー アーリーデイズ [Blu-ray] (2010)
・押井守がレイバーのデザインとか色々語るよ→モデルカステン:押井守・映像機械論 メカフィリア
■14年7月6日 『OVA ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です! 』(ネタバレ全開です)


全国戦車道大会、第一回戦のサンダース大学附属高校との戦いを制し、二回戦へと駒を進めた大洗女子学院。
二回戦の相手はマジノ女学院を打ち破ったアンツィオ高校となり、情報収集に余念のない大洗の面々だったが、
アンツィオ高校を率いるアンチョビは倹約に倹約を重ねて幾星霜、ついに秘密兵器であるP40重戦車を購入していたのだった。
快速戦車CV33、M41型セモベンテ自走砲、そしてP40重戦車という「ノリと勢いだけはある」「調子に乗せると手強い」アンツィオの陣容を相手に山岳地帯での戦いを挑む大洗女子。
戦いの火蓋は切って落とされ、テレビ放送では語られることのなかった壮絶な機動戦が今、ついにその全容を明かされる……!!!


いやーーーーーーーーーーーー素晴らしかった!!!まさしく第二回戦!!
これぞガルパンの、『サンダース戦とプラウダ戦の間の物語』ですよ!!!

確かにプラウダ戦の前(というかサンダース高校戦の後で)戦力補充のために学園艦をウロウロする話はありましたが、
二回戦で大洗女子の面々が何を体験し、何を得たのか。
それが非常に上手く組み込まれ、今まで描かれていなかったアンツィオ戦を描くだけではなく、
ガルパン本編でのキャラ成長部分をしっかりと補強する物になっていたと思います。

バレー部や一年生チームが二回戦で果たした役割と戦果は実に見事で、だからこそプラウダ戦であれだけイケイケだったわけでしょうし。
特にバレー部はCV33を相手取ったドッグファイトで実戦機動の経験をみっちり積んだことが、プラウダ戦での、そして黒森峰戦での躍動感あふれる疾走を叶えたんだろうなぁと思えます。
澤ちゃんは二回戦の時点でもうすでに立派な車長としての片鱗を見せており、それが実を結んだものこそ決勝戦での重戦車キラーとしての大活躍だったんだなぁとか。

更に、なかなか描かれることのなかった装填手というポジションにもスポットが当てられているのが今回の見所。
それを『キャラは濃いけどそれゆえにあまり掘り下げられなかった』歴女チームで描いてみせた、というのは非常に良かった。
テレビ放送だと装填手の苦労が描かれてたのってアリサが乗るM4の装填手と、大洗では38(t)の桃ちゃんぐらいでしたしね。
家の庭でビールケースを積み上げての装填訓練シーンは「あぁ、みんなこうやって練習してるんだろうなぁ」と思わせてくれる現実感がありました。

また、ルノーB1bisに乗るよう風紀委員たちに根回しする会長や、ポルシェティーガーをサルベージする自動車部など、
TVシリーズでは省略されていた箇所がきっちり描かれていたのも良かったですねぇ。
というかポルシェティーガーのサルベージが想像を絶する規模の大工事だった上、
自動車部のナカジマさんが搭乗を申し出て「マニアックな作り」とまで言ってた辺りはすごい良かったなぁ。
あのスパロボ世界にいてもおかしくない謎技術力の自動車部ですら歯ごたえを感じる程だったのかP虎……。

そして今回の相手校であるアンツィオ高校の面々ですが、もうこいつら大好きすぎます。可愛すぎる。
「ノリと勢いだけは定評がある」「調子に乗ると手強い」と言われ、その実力は正直なところどうなんだ、という感じであり、
配備戦力的にも「テレビシリーズで対戦した高校の中では唯一、大洗女子が真正面からぶつかっても勝てる相手」という評価が、
無情にもパンフでは脚本担当の鈴木さん直々に下されているんですけども(遠い目)。

特に決着のシーンそのものはもうすでにテレビシリーズの第7話『次はアンツィオです!』のラストシーンで描かれているので、
あのシーンへ向かってどう集約させていくのか、というのはひとつの見所だと思うんですが、
「そういえばV突はあのシーンにいなかったよね……」という疑問にサクッと回答を提示してくれましたし、
またそのV突の戦いがこれぞまさに戦車道というスポーツの中での死闘、と言える物に仕上がっておりまして。
これはカトキハジメ氏の絵コンテの凄さでしょうか……というかコンテめっちゃ見たいんですが出してくださいよ!!!(バンバン)
奇策を弄して大洗女子に肉薄、機動力を駆使しての超接近戦を挑むことで戦力的不利を覆そうとした辺りは非常に面白いというか、
大洗女子がそれらの奇策を「受けて立つ」側になってるのは新鮮でしたね。


アンチョビも当初想像していたようなノリと勢いだけのお馬鹿なキャラかと思いきや、むしろ比較的常識人の苦労人で、
むしろノリと勢いだけで突っ走る他の面々の手綱を握るキャラだったのは意外でしたね。
そういうのはカルパッチョさんの仕事だと思ってた(笑)。
ペパロニさんは若頭的なポジションでイケイケドンドンの切り込み隊長という、これも他校のキャラにはいなかったタイプですし、
それが快速戦車のCV33を駆ってイキイキと躍動するのは見ていて本当に気持ちよかった。
いや、なんというか、むしろCV33、欲しい。乗りたい。あれは。
カルパッチョさんはこう……カエサルとの幼馴染だとかアンツィオの中ではかなりマトモそうな人だとか色々あるんですが、
Cパートでアレをやった結果アレしてしまった面子の中にしっかり含まれているのが素晴らしいと思います。可愛い。根はポンコツなしっかり者さん可愛い。
モブっ娘たちもヤンキー的な気質でありながらそれが気持ちよく、爽快さを感じられる対戦相手でしたねぇ。
サンダースのおケイさんとはまた違う方向の気持ちいい面々でした。

あとさすがイタリア系学校というか、食事に命かけてる感が素晴らしかった……というか見ててお腹減りましたよあれ……!!!
試合が終わった後のもてなし宴会のシーンも料理作画のクオリティすごかったですしね……。
余談ですが劇場で販売されてるパンフ、ペパロニさんの名物『鉄板ナポリタン』と、沙織さん謹製のカルパッチョのレシピが掲載されています。
いやもう本当、イタリア系なのにナポリタンはオッケーなのかという疑問は尽きないところですが(笑)。

「なぜ決勝戦の応援にアンツィオの面々が不在だったのか」にも説明が付けられるなど、
アンツィオの名誉回復がきっちりと果たされた、実に清々しい物語でした。
……いやまぁ決勝戦のあれに関しては名誉回復どころか名誉失墜してる感じもありますけども……(目を伏せる)。

んで今回、大阪梅田のブルク7で舞台挨拶回に当選して見てきたんですけども、
アンチョビ役の吉岡麻耶さん、西住みほ役の渕上舞さん、秋山優花里役の中上育実さん、五十鈴華役の尾崎真美さんが来られ、
吉岡さんは初の舞台挨拶にしてアンチョビ衣装というのが非常に良かったですなー。
何よりも自然発生する「ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!!」コールが非常に気持ちよかったです。
なにせ吉岡さんの挨拶の時に一回、最後のあいさつの時にもう一回(これはお願いされる形でしたが)、
そしてキャストさんたちが退出するときに自然発生で「ドゥーチェ!ドゥーチェ!」というですね。
そりゃ中上さんが「ヤバい、ここ、アウェーだ!」と言うわけですよ(笑)。

色々と裏話や『ウーマン・オブ・ザ・マッチ』の選出などもあったんですが
吉岡さんらバレー部チームの熱心な布教活動により、着々と八九式中戦車の人気がキャスト内にも広がっているようで……。
何よりも「本編上映後の舞台挨拶」だったので、ネタバレオッケーだったのが嬉しいところでした。

完全新作劇場版の上映は「2014年の20…30月……?」とか言われており「オォウ」となりましたが、
企画が頓挫したりすることはありません、というお墨付き(棒)もバンダイビジュアルの廣岡さんから出ていたので、
しばしじっくりと腰を据えて待ちたいところです。

あと『月刊戦車道 増刊号』の第3号ではアンツィオ高校の編成とか豆戦車の歴史について踏み込んで記載されていますので、
アンツィオがお気に入りになった人たちには超おすすめしていきたいところですよ!!

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Amazon:TVアニメ ガールズ&パンツァー ドラマCD2 もうすぐアンツィオ戦です!
バンダイビジュアルクラブ:ガールズ&パンツァー完全設定資料集(14年10月27日発売)
バンダイビジュアルクラブ:ガルパン・ファンブック 月刊戦車道 増刊号 第3号
■14年6月18日 『ゴースト・エージェント/R.I.P.D』



麻薬取引の大物を逮捕するべく突入した工場で、相棒に裏切られ射殺されてしまった警官ニック。
彼が目覚めるとそこは霊界の警察『R.I.P.D』だった。
本来死んでいるのにまだ地上へ残っている悪霊たちを逮捕し、あの世へと送り込むための機関、R.I.P.D。
エージェントとしてスカウトされたニックは、現世に残してきた恋人のこともあり二つ返事で引き受けるが、
コンビを組む事になったのは1800年台からこの仕事に付いている口やかましい皮肉屋の老ガンマン、ロイ。
さらに現世では生前の姿ではなく、衝撃的な『仮の姿』を取らされることになってしまう。
ニックとロイは反目し合いながらも悪霊たちを取り締まる中で、現世に留まる死者達による恐るべき陰謀へと立ち向かうことになる……。



いやぁびっくりするぐらい何も残らない映画でした!!!


むしろ清々しさすら感じました!!!
(満面の笑みで)


ぶっちゃけ『メン・イン・ブラック』を幽霊モチーフに変更して面白さを9割ほど削減した映画だこれ!!!!!!!!!
あとCGのレベルがかなりやばい!!!どこに130億円も使ったんだこの映画!!!!!!

人間界にこっそり潜んでいる死者を発見して正体を暴き(この暴くアイテムがちょっと面白いんだけど何故それなのかの説明は無い)、
手錠で捉えるか特別な弾丸を相手の頭に撃ち込んで処分するか……という、まさしくメン・イン・ブラック以外の何物でもないあれであり、
普通にやってればMIBの二番煎じ作品としてそれなりに成功したんじゃないかと思うんですが、
いやぁ、まさかここまで何一つ残らない映画になろうとはこのリハクの目を以ってしても……(ぐるぐる目)。

バディムービーとして見た場合、超ベテランの老ガンマンと現代での死にたてホヤホヤ警官という、
ベテランと若造のコンビものとしては鉄板の組み合わせなはずなんですが、この二人が二人とも相手を気に食わず、
ひたすら相手に対して罵声か皮肉か皮肉めいた罵声か、罵声めいた皮肉を浴びせながら言い争いをしているという、
「宇宙戦争以来ひさしぶりに酷い主人公と相棒の会話を見た気がします」と言いたくなる感じのあれでございまして。ええ。

しかもせっかく「現世での姿は生前と違うよ」という設定があるにも関わらず、
それがほとんど生きてこない、というか物語のギミック的にまったく意味が無いという。
いや、意味が無いことはないんですが、ニックが恋人に存在を認識してもらえないというだけでしか無くてですね。
なんと言いますかですね、えーーーっと、本当、これ、もうちょいどうにかならなかったのか……。

主役のニックはライアン・レイノルズ(ウルヴァリン: X-MEN ZEROのデッドプール)、ロイはジェフ・ブリッジス(アイアンマンのオバディア)、
ロイと因縁のあるRIPDの管理官にはメアリー・ルイズ・パーカー、ニックを殺した元相棒にはケヴィン・ベーコンという、
非常に良い面々を揃えてるんですが、うーん。
ケヴィン・ベーコン指数がまた上がったねHAHAHAとか思いながら見るのもいいんですけども。

ただ、これ劇場で見たら間違いなく呆然としてうつろな目で座席から立ち上がりながら
「俺は……一体何を……見たんだ……」って言いながらロビーに座り込む羽目になったとは思うんですが、
家で何か作業なりゲームなり読書なりしながらそのBGVとして流すには最適極まる一本でありまして。

正直画面見てなくても何が起きてるのか大体わかりますし、
死者による計画もそれほど大したもんじゃない上にラスボスもあれですし、上映時間は90分(エンドロール含む)という親切設計。
非常に心穏やかに流し見できる、賑やかし/BGVとしての映画、という立ち位置を不動の物にするかもしれません。

……いやどうかな……だったらもうメン・イン・ブラックでいいような気はするな……。

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・やっぱり面白かったですよね→メン・イン・ブラック [Blu-ray]
■14年5月31日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第二章 98式再起動せよ/鉄拳アキラ』



『98式再起動せよ』
久々のオーバーホールからの起動試験がてら、98式で空手の型を演舞するという無茶に挑んだ泉野明。
しかし無茶な動きの結果、格納庫内で98式は転倒、脚部と頭部にほぼ修復不能な損害を受けてしまう。
そこへ警備部部長の海藤から「警視総監の警備部装備総点検にレイバーを参加させろ」という無理難題を押し付けられた第二小隊隊長・後藤田。
特車二課を潰したい警備部はさらに「警視総監の前で98式のリボルバーカノンによる礼砲を撃て」と命じてくる。
装備総点検まで残り5日、メーカーにも予備パーツの在庫がない中、果たしてシバシゲオ率いる整備班は見事イングラムを再起動させ、装備総点検に参加させることができるのか……!?


整備班の奮闘物語、といえばパトレイバー世界において決して外すことの出来ない一編ですが、
今回は「特車二課を潰そうとする警備部の思惑に立ち向かう」という背骨が一本まっすぐ通っており、
非常に見ていて気持ちいい仕上がりになっていましたね……まさかあの人が名前だけとは言え出てくるとは。
というかあんな無茶に巻き込まれようとは(笑)。

篠原重工にすらもう予備パーツがないという深刻極まる状況から奇跡の復活を遂げた98式ではありつつも、
それでも「ただ立たせておくだけという非常に不安定な状態」でいることを強いられるため、
オートバランサーだけではなく搭乗員のマニュアル操作による姿勢制御も必要。
そこで明と大田原が挑むバランス感覚強化の訓練総仕上げは、「お前それカイジじゃねえか!!!!!!」と叫ぶこと必定、
いやぁ本当これもう好き放題してるなぁ……(苦笑)。
この辺りの「ただ立たせておくだけ」という辺りは劇パト2で後藤隊長が2式ヴァリアントをデッキアップしなかったサボタージュの口実にもなっていましたし、古くからのパトレイバーファンならニヤリとさせられるのではないでしょうか。

後藤田隊長に対して「先代の後藤隊長と同じ、根っからの悪党だよ」と評価を下すシゲさんや、
「先輩からは最後の一言が余計だと言われました」と返す後藤田の言葉が象徴する、
警備部本体が二課を潰したがってるのはこれもしかして後藤田に原因があるのでは……感もあるんですけども、
はたして98式は無事に礼砲を発射できるのか……?という点に関しては、ぜひとも劇場でご覧頂きたく思います。
いやもう終わり方としては本当酷いっていうかアンタそのシーンがやりたかっただけだろ!!という感じでしたが!!!!

更に今回は98式AVの主兵装にして警視庁警備部最大の火砲であるリボルバーカノンにもスポットが当たっており、
長年の謎だった「37mmリボルバーカノンと言いつつ弾丸がどうみても37mmどころのサイズではない」点に、ついに説明が!!!
『ミニパト』第一話の「咆えろ リボルバーカノン」で
「誰がどう見てもこのデカイ銃が20mmなんぞに見えるわけがなく、後にどさくさ紛れに改称されたわけですが、本当のところ37mmでもまだ足りない。対レイバー比、人物比から冷静に推測するなら75mmクラスだろうと想像されます」
と後藤隊長がぶっちゃけておりましたが、今回ついにそこからさらに踏み込んで「じゃあ何をぶっ放してるんだ」が判明しました。
少なくとも2013年の特車二課に於いてはホローポイント弾ではなく……おぉっと、ここは劇場(あるいはBD)でな!!!

しかしここのシーン、やっぱり実物大のリボルバーカノンがあるっていうのは強いですね……。
リボルバーカノンの点検をしているだけでひとつのドラマが作れる、と言うのはやっぱりすごいよなぁ。


『鉄拳アキラ』
第二小隊1号機フォワード担当、泉野明は対戦格闘ゲームで名を馳せるプレイヤーでもあり、
準待機に入ればゲーセンで格闘ゲームをプレイすることを無常の喜びとしていた。
そんなある日、行きつけのゲーセンに現れた「ただの強いオヤジだ」と名乗る男が並み居るプレイヤーに圧勝し続け、
挑んだ明も手持ちのコインをすべて使い果たしてもなお、一勝も出来ず完封されてしまう。
「ただの強いオヤジだ」の強さの秘訣を探る明だったが、教えられたのは「勝つための思想」という一言のみ。
一週間後の再戦に向けて第二小隊、そして整備班員を巻き込んでの特訓に入れ込む明は、
ついに再戦の日を迎える……。「勝つための思想」とは?明のリベンジは叶うのか!?


真野恵里菜が鉄拳のリンのコスプレを見せたり私服姿でのフトモモが眩しかったりする一編ですが、
こちらはクセモノ枠と申しますか、ええ、あれですね、『立喰師列伝』でしたねこっちは!!!!!!(狂喜乱舞しながら)

話術や奇行によって飲食店の店主を圧倒し、あるいはこちらのペースに引きずり込むことで飲食店での無銭飲食を実現する。
それこそが押井守ワールドでの『立喰師』という職業(生業)というものなんですけども、今作での竹中直人、まさにそれですね。

寺山修司の作品や古い映画から引用される言葉の数々で明や見ている者を煙に巻き、
『ただの強いオヤジ』の言葉へ耳を傾けさせることでその背後にある思想的なるものへと注目させ、
言葉を交わす中でその思想的なるものを探ろうとする相手の思惑を利用して、見事にゴトを遂げてみせる。
エンディングまで見て「やられたわーーーーー!!!!!!!」と思わされましたねぇ、実に鮮やかな手際でした(笑)。
なにせ出てくる蕎麦屋はマッハ軒であり、その店主は品田冬樹さん……この時点で気づいてなきゃいけなかったんですけども…!

2013年の東京における立喰師という存在がどんなことになっているのかは今まで語られていませんでしたが、
そうか、こういうスタイルに切り替わってるのか今……と思えるぐらいにはすんなり飲み込めるものになっていました。
あまりにも『立喰師列伝』の続編エピソードとして美しく完成されており、
なおかつ明が修行をしていく中での描写の数々が素晴らしく(特に佑馬の思惑がゲスいあたり)なっているのもパト的で、
ヘタするとTNGで一番お気に入りのエピソードになるかもしれませんこれ(笑)。

ただ、あくまでも立喰師列伝という作品が大丈夫な人間の感想なので、これまたこう……一般受けはしないだろうなぁ(苦笑)。

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・押井守がレイバーのデザインとか色々語るよ→モデルカステン:押井守・映像機械論 メカフィリア
■14年4月19日 『チャイルド・プレイ/誕生の秘密』

脚に障害を持つ少女ニカは、ある日差出人不明の人形-グッドマン人形を宅配便で受け取る。
不審に思いつつ部屋に人形を飾るニカだったが、母親が不審な死を遂げてしまう。
さらに遺産整理のために集まった親族とそのベビーシッターたちにも次々に危険が振りかかる。
やがてニカはそのグッドマン人形こそ、湖畔の絞殺魔チャールズ・リー・レイがその魂を転移させ、
過去に幾度も多くの人々を殺害した人形であることを突き止めるが……。




ホラーコメディの代表格といえば……の『チャイルド・プレイ』シリーズも作を追うごとにどんどんアレな方向へ行き、
前作で何かもう「あーはいわかりましたうんそうですね」と遠い目になった人もいるかと思いますが、
いやぁ、待ってました!!!こういうのを待っておりました!!!素晴らしかった!!!!!

本作では原題が『CURSE OF CHUCKY』……チャッキーの呪い、というものなんですが、
邦題の『誕生の秘密』というのも的を射ており、しっかりと年数を経た現在に舞台を移しながらも、
チャッキー誕生の秘密、そしてチャッキーが過去にかけた呪い、呪縛について触れられています。

何が今回良いかというと、やっぱり過去作の要素をしっかりと解体してまとめあげ、
「人間時代のチャッキーが警察に追われるようになった理由とは」というところへ立ち返り、
そこへニカの家族が絡んでくる……という構造にしている点でしょうか。
何気に今まで『湖畔の絞殺魔でした』という要素以外は「人間時代にティファニーという恋人がいた」というぐらいしか、
チャッキーの人間時代の話って出てきていなかったので……。

なぜニカの家にチャッキーが送られてきたのか。
なぜチャッキーはニカの周囲の人々を襲うのか。

この2つの疑問は普通のホラー作品のシリーズものなら「まぁそんなもんですよね」とスルーされがちですが、
本作では上手いこと過去作全て(5は除く)へのアンサーとして用意されています。
あ、でも最後に出てくる○○○○○○は前作ラストまできっちり見てないとさっぱり分からないと思うので、
うん、やっぱり『チャッキーの種』も見ておいたほうがいいですね……。

変にコメディ方向へと走りだすこともなく、しっかりとチャッキーが『ユーモアを感じさせる正真正銘の邪悪』として描かれているのも好印象。
そう、前作みたいなドタバタコメディ野郎とかじゃなくていいんですよ!!!チャッキーは!!!!!

なおかつ過去作品のファンへのサービスも盛り込みつつ、
そしてシリーズ最大の対立項図であったあの人物とチャッキーの決着にも触れるという実にナイスな構造。
この作品で初めて『チャイルド・プレイ』という作品に触れるという人は「ナンノコッチャさっぱりわからんぞこれ」
となるかもしれません、というよりは確実にそうなると断言しちゃっていいかと思いますが、
1作目から3作目のアンディが主人公となる作品群、そして4作目5作目という正真正銘のボンクラ作品群を見てきた、
チャイルド・プレイシリーズのファンに送る作品としてはこれ以上のものは望むべくもない一本だと思いますよこれ!!!
正直なところ第一作目から25年を経た作品で、リメイクでもリブートでもなく、
ここまでファンのための物語として綺麗に作りこまれた映画なんてちょっと思い浮かばないレベルで……。
……まぁそんなファン向けに徹して作られた関係で、アメリカだとビデオスルーになっちゃったんですが(苦笑)。

んで本来の『チャイルド・プレイ』の1作目リメイクの話が2年ぐらい前に出てきてた気がするんですが、
続報まったく聞こえてこなくてですね……アレ一体どうなってんのかなぁ。
本作で見事にシリーズへと幕を下ろしてみせた感じもあるだけに、リメイクがあるなら見てみたいような、蛇足になるような……。
ちょっと複雑な心境ですけども、まずは『チャイルド・プレイ』が好きな皆様、好きだった皆様、
ぜひとも本作を見ていただきたいなぁと思う次第でございますよ……!!!

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■14年4月16日 『地獄でなぜ悪い』

暴力団武藤組組長の妻が、対立する暴力団・池上組の殴り込みを返り討ちにして収監されてから10年。
ついに釈放される妻のために「かつて子役だった娘のミツコ主演の映画を見せてやりたい」と願う武藤だったが、
当のミツコは男と逃げ、残り10日でミツコを連れ戻し映画を完成させる必要に迫られてしまう。
なんとしても映画を作りたい武藤、ひょんなことからミツコと知り合って武藤に殺されかけの一般人である橋本、
「人生でたった一本だけ最高の映画を作って死にたい」と願う自主制作野郎の平田、
過去のとある一件でミツコに心酔している池上組組長。
この面々がひとつの糸で結びついた結果、『ヤクザによる本当の抗争を撮影する』という、
前代未聞の命懸けアクション映画の撮影が今ここにスタートした……!!!




……うーん。いや、劇場で見た予告編はすごく面白そうだったんですよね。
ただ監督が『愛のむきだし』の園子温である、という。んでとりあえず見てみたんですが、うーーーん。

自主制作野郎の映画愛、商業主義への批判と「生涯に一本だけ最高の映画が撮れたらそれで死んでもいい」っていう熱い思い。
なんとしても自分たちの組を支えてくれた嫁に、娘の晴れ姿を見せてやりたいというヤクザ組長の心意気とか。
そういう思いを描くのには結構まぁ成功してるとは思います。はい。これも商業主義映画だろと思いますけども。

あとバイオレンススプラッターも多分にQタラを意識してるんだろうなーという感じで、
カートゥーン的な演出もあり、手やら首やらがポンポン飛びーの頭もカチ割られーのという感じでダイナミック。
大量のヤクザによる日本刀での立ち回りは迫力がありますし、二階堂ふみのアクションも小気味良い。
それを撮影する映画の狂乱にとりつかれた平田たちの自主制作集団の姿がまたクレイジーで、
「映画監督の・撮影者の・作り手たちの狂気」というのを描くのはなかなかよい感じで達成されてるなと思います。

ただ、うーん、物語として、脚本としてみると雑さも極まれりというか、
とことんまでテンポの咬み合わない感じや人物相関の微妙なズレ、最後の最後で無視されるあのキャラ、
「なんでこの順番にしたの」「なんでこのシーンがあったの必要ないだろこれ」などが枚挙にいとまがない感じで、
正直なところ、やっぱりこれ園子温の作品でしかねえなぁ、という感じでありました。
成海璃子の出番なんか「もったいない」どころか「不要」でしかないですからね!!!!!

平田が何をしたわけでもなくお膳立てされた「撮影」が転がり込んできた(これがまぁ彼の言ってる『映画の神様』なんですが)だけで、
平田の狂気にヤクザが飲み込まれていくわけでもなく(なにせもともと映画作ろうとか言い出したのは武藤組だし)
ただただ武藤組の思惑だけで話がだらだらと流れていき、最終的にはああなる、というのがなぁ、うーん。
平田の狂気に飲み込まれた結果としてあの破滅的エンディングなら大拍手だったんですが。
というよりもぶっちゃけ「平田がいなくても武藤組と池上組だけで物語が成立した」というのが大問題でしょうね、これ。
ヤクザが「映画を撮るぞ!!」というのは別にいいんですが、「カチコミを映画にしちまいましょう!」って言ったのはマズかった。

結局のところ群像劇ではあるものの、園監督のやりたいこと・描きたいことがバラけすぎており、
なんとなくまとまりのない冗長なだけの映画になっちゃってる印象が残りました。
町山智浩氏のコメントとか見てるとほとんど監督自身の体験したエピソードがモチーフらしいんですが、
そりゃイカンわ、という。思い入れありすぎてめちゃくちゃになってるわ、という。
129分という長尺を使ってこの展開では、うーん、というね。
10分短くしてもうちょっと色々整理できてればもう少し見られる作品になったんではないかという。


ただ。

この作品を見る価値ある一本にしてる要素が坂口拓ですね!!坂口拓!!ゼックゥートの諸君ン!!!(ガタックをボコボコにしながら)
というかもうこれ坂口拓の引退作として見ようぜ売りだそうぜ!!!!!!(ぐるぐる目)

昨年をもって俳優活動から引退した坂口拓ですが、彼の引退作になるわけですよ、この映画。
本作では『学生時代の平田に見込まれてブルース・リー路線の俳優を志すも目の出なかったアクション俳優』役であり、
そんな彼が30歳を目前にして心が折れ、まだ映画の神様を信じている平田と決裂しながらも、
「最高の一本を撮れる」と確信した平田に誘われてヤクザの殴り込み密着映画という晴れ舞台に参戦する……という役どころ。

アクションのキレが圧倒的に格の違う坂口拓が画面の中でこれでもかと躍動し、刀を持ったヤクザを圧倒し、堤真一と斬り結ぶ。
トラックスーツ姿でヌンチャクを振り回し、更に上半身裸で『ドラゴン 怒りの鉄拳』オマージュも入れてくるというですね!!!(バンバン)
まさに坂口拓の晴れ舞台!!!と言わんばかりのアクションの数々は、最後の輝きと呼ぶにふさわしいもので。
この姿を見られただけでも良かったかなぁ、と思えましたね……。
更には坂口拓の幻の映画『ブラッドオブウルフズ』が、平田たちの作品として作中で上映(というほどの規模でもないけど)されるという、
何とも心憎いサービスが盛り込まれています。これは見てて鼻水が出た(笑)。

映画自体の内容の賛否や良悪は別として、坂口拓という紛れも無く素晴らしいアクション俳優の最後の輝き、
これを見るためだけに借りて、ヤクザ方面の物語を完全に認識の外へと投げ捨てて、
「自主制作野郎と、それに夢をかけたアクション俳優」の物語としてだけ見るならば、かなりぐっとくるものになってるかと。
決して万人におすすめできる作品ではありませんが、坂口拓好きなら必見ですよ!!!!!

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■14年4月10日 『ウォーム・ボディーズ』

ゾンビが蔓延し、人間の活動領域が日毎に狭くなっていく世界。
ゾンビの青年『R』は食料(人間)を調達しに向かった街で、同じく物資を調達しに来ていた人間たちと遭遇。
そのなかでふとしたことから少女ジュリーに出会い、彼女を助けることになる。
ゾンビたちのたむろする空港に匿われたジュリーは『R』との交流の中でゾンビの中にもコミュニケーションを図れるものがいることを知り、
『R』もまたジュリーとの交流の中で、失われていた感情や心が少しずつ復活を始める。
そんな二人の交流は他のゾンビにも影響を与えていくが、彼らの前に立ちはだかるのは完全に心を喪失し、グールとなった『ガイコツ』たちだった。




っということで古今で数多の作品が作られて来ているゾンビ系作品の中でもあらすじがひときわ異色といいますか、
すごい『トワイライト』臭が漂ってくる作品ではあるんですけども、ワタクシ、声を大にして申し上げたい。

ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と『ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)』が好きな人は万難を排して見ておけ!!!!!


いや、本当素晴らしい。これ、ちょっとゾンビ映画史にもきっちり残すべきすごい作品だと思います。
最初は「あーはいはいまたトワイライト案件っていうかどうせゾンビがイケメンで恋に落ちてハッピーエンドなんでしょ」と思ってたんですが、
まぁ端的にいうならそのとおり以外の何物でもなかったわけですよ。結局ゾンビでもイケメンが勝つんじゃねえか!!!
ただ、あまりにも2010年代のゾンビ映画として完璧である、というのが誤算でした。
いや、ちょっとこれ、ここ数年でここまできっちりとした社会風刺を込めたゾンビ映画って記憶に無いぞ……!


ゾンビという概念や存在が明確に広まったのってやっぱりロメロのゾンビ三部作の影響だと思うんですが、
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でゾンビというヴードゥーの概念に吸血鬼的な要素を入れ込み、
それをさらにブラッシュアップさせて強烈なインパクトを与えたのが78年の映画『ゾンビ』。
そこで描かれていたのは当時の大量消費社会における人間性の欠落に対する皮肉であり、
消費欲に飲み込まれて外見以外が無個性化した人間たちのメタファーとしての『ゾンビという存在』だったんですけども、
本作でもゾンビという存在にはそういった現代社会への皮肉というアプローチが成されてるんですよね……。

本作でのゾンビを簡単に言うなら『心が死んでしまった人間たち』とでも言いましょうか。
ゾンビ化する前の記憶に従って空港に集まり、人間だった頃の行動をなんとなく反復するだけの日々。
自分が何者かも思い出せず、のろのろとした動きで、辛うじて出てくる単語でなんとなく他のゾンビとコミュニケーションしつつも、
何も生産的な行動が出来ない存在。それが本作で描かれている『ゾンビ」ですね。簡単に言うならキモオタのメタファー。
大量消費社会で消費欲にどっぷり使った亡者のような存としてゾンビを描いた70年代の作品『ゾンビ』が見事であったならば、
この『ウォーム・ボディーズ』も、また2010年代の社会における無感動化した人間をゾンビという存在に上手く落としこんで描いているなぁと。

そんな存在の一人だった『R』がジュリーの恋人だった青年の脳を食べたことから物語が大きく動き始めるんですが、
時折ジュリーの視点になるものの、事態は概ね『R』の視点で描かれていきます。
会話は殆どできないけど心のなかでは饒舌な『R』が何とかしてジュリーとコミュニケーションを取ろうとするところは、
まさしくコミュ障の男子が女子と交流しようと奮闘する姿そのものでありまして、
何かもう涙というか「おう頑張れ」と胃袋を鷲掴みにされるような苦しみを味わいながら見ることになろうかと思います。

そして自分を守ろうとする『R』の姿へ徐々に心を開いていくジュリー、そんな二人を見て死んでいた心が少しずつ蘇ってくるゾンビたち。
ゾンビという存在は今まで概ね『噛まれることで観戦する治療不可能な病気』として描かれてきましたが、
本作ではそれを『人間性の再獲得』『心がよみがえること』という形で『治療』してみせます。これは正直すごく良いと思いましたね!!!
ロメロ監督の『死霊のえじき』や『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』、エドガー・ライトの『ショーン・オブ・ザ・デッド』、
アンドリュー・カリーの『ゾンビーノ』などではゾンビを飼い慣らす方向での解決策が提示されていましたが(概ね破綻するけど)、
本作ではそこからさらに一歩踏み込んで『愛すること』『感動すること』『心がよみがえること』でのゾンビの救済。
うん、これ、今までになかった系統といいますか、ゾンビ化に対するすごい返球だと思いますね……いやぁ見事だった。

心を取り戻していくゾンビたちの前に立ちはだかるのは完全に心を捨てて生者をむさぼる存在へと成り果てた『ガイコツ』ですが、
こちらが今までのゾンビ作品の歴史で描かれてきたゾンビという存在に近いかな。
鼓動するものは何でも襲い死肉を喰らい、ゾンビたちに同化を迫るガイコツたちは、
さしずめ「心を殺して働け何も考えるな」という社会のメタファーかと思います。
最終的にはこのガイコツとの戦いに集約されていくんですが、このガイコツたちがたどる運命もなかなかブラックで(苦笑)。
どうしたって分かり合えないものはあるけどそいつらはもうぶっ潰そうぜ!!!という実にこれもまた現代的というかスパルタンな方向に行くのがシニカルですねぇ。

最近もっぱらモンスターパニック映画の舞台装置、手軽に低予算で作れるモンスター、
理由も何も考えずにとりあえず出しときゃいい原因不明の災害として世に送り出されてるゾンビという存在を、
こうもきっちり現代の社会性に鑑みた風刺を入れ込んだ作品としてこうもきっちり作り上げてくるとは。
最近どうにも『トワイライト・サーガ』『ハンガー・ゲーム』あたりで、あちらの乙女向け作品群から色々とライフを削られてきましたが、
本作は非常にこう、すんなりと賞賛の言葉が出てきましたね……!!!いやまぁ最後にはイケメンが勝つだけなんですが!!!(悔しそうに)

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■14年4月5日 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第一章』

ハイパーテクノロジーの急速な発展とともに、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械……レイバー。
しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特殊車両2課を創設してこれに対抗した。
通称特車2課パトロールレイバー中隊、パトレイバーの誕生である。


というナレーションはもうなんというか心に刻みつけられてるわけなんですけども、
正直今回の実写については「えええーーーーーー実写版とかまた地雷じゃないんですかぁーーーー」と思っておりました!!!!!
いや、だってホラ、押井監督ですし。映画『アサルトガールズ』で実写映画の方ではアレなことになり、
小説『番狂わせ』ではパトレイバーかと思ったら実質サッカーうんちく小説じゃねえかこれ、という、
なんというかこう……こちらのがっかりのスイッチを的確に押してくる最近の活動を見ておりますと、あまりにも危険すぎるプロジェクトなのではないかと思っていたわけですよ。

だがしかし。



こちらのエピソードゼロを見る限り何も問題がないというか
「これ確実にパトレイバーだ!どっちかというとアーリーデイズの方の!」となりまして、
初日に見てまいりました!!!!!

結果、うん、大・正・解。

バビロンプロジェクトの基本行程が一段落する中、ユーロ危機とサブプライムローンの破綻に端を発する大不況が到来、
メンテの手間ばかりかかるレイバーは工事現場からもどんどん姿を消していき、
誘導ミサイル搭載の無人機が空を飛び回る戦場では軍用レイバーなんて夢のまた夢となり陸自の機甲レイバー大隊も解隊。
警視庁警備部特車二課のパトレイバー中隊も第一小隊は解散、第二小隊のみが『レイバー運用経験の継続』を名目に存続され、
それでもレイバー犯罪自体の減少により出動は非常に少なくなった現実の前に、
ひたすらに続く待機時間を6人による二交代制勤務で回し続け、昼食はいつもの上海亭のメニュー(主にチャーハン)。
そんな不毛極まる日々を過ごしていく……。


時代に取り残されつつも各所の思惑によって存続を許された『かつての栄光ある部隊』の話ですが、
後藤喜一隊長の率いた第二小隊隊員たちも今は隊を離れてそれぞれの人生を送り、第二世代は語られることもなく、
現在は無能と評される第三世代の隊員たちが、配備から10数年を経てもはや『動かせばどこかが壊れる』98式AVイングラムを運用している。そんな2010年台の、特車二課の、押井守汁を大量にぶっかけた感じの、物語。

そんな世界でアニメ版とこの実写版をつなぐのが整備中隊を率いるシバシゲオなんですが、
これが千葉繁本人が演じてるだけあってもう間違いなく本物です。ていうか本人です。
榊清太郎整備班長亡き今、イングラムの整備の要となったシゲさんが率いる整備中隊は、
なんというか新OVAの第8話『火の七日間』で見せたような、統制の取れた党組織的なものへと変貌しているのが、
非常に見ていて「あぁ、地続きだなー」と思わされますね……そうだよシゲさんこういうの好きだもんあの人!!!!
隊歌斉唱とかも絶対ノリノリで作るよなこれ!!!!と思いながら腹抱えて笑っておりました。

あ、あと渕山(劇場版のパト2でコンビニ買い出し部隊のところに駆けつけたバンカラ風の立木文彦ボイスだった人)が、
押井作品でお馴染みの藤木義勝(ケルベロス−地獄の番犬で主演してた人)さんだったりします。そこにその人持ってきたか……!!!!

そして今回のエピソード1『三代目出動せよ』では、満を持してイングラムが出動する……んですが、
ええ、何と言いますか、レイバー、動きません!!イングラム、ほとんど動きません!!!
どっちかというとひたすらに長い待機時間を無駄話とネットと暇つぶしのあれこれをしながら無為に過ごす第二小隊のメンツと、
食事(限りなく餌のような)を(限りなく家畜のような勢いで)貪り、空手に汗を流す整備班の面々の日常生活が、
なんというかもういかにも押井節でこれでもかと描かれています。

近場に出前をやってる店がない関係上、特車二課の胃袋を事実上掌握している中華料理店『上海亭』も健在で、
上海亭の店主のキャラこそアニメとは変わっていますがこれがまたインパクト抜群でありまして(笑)。
押井守作品の怪しげな料理人の親父テイストを凝縮したようなあのキャラクター、いやーすごかった……何やあのチャーハンの歌……。

緊急入電で出動準備をしても誤報だとわかり準備を解除、の繰り返しで神経をすり減らし、
夜食にカップ麺を食べ、ゲームをし、また出動準備がかかり、というのがもうねー、本当にねー(苦笑)。
コンビニに買い出しに行く塩原の独白がもう本当に悲哀に満ちてて「すげえ、昔の特車二課って恵まれてたんだなぁ……と思ってしまうのは、
なんというか非常に宜しくない感じですが……!!!!

ただまぁそんな中でもきっちりと出撃して暴走レイバー(あのクラタスですよクラタス!!)と対峙するシーンもあり、
ここでは後藤田隊長の説得とか暴走レイバーの操縦者の動機とかその辺が「あぁパトレイバーだなぁ」と思えるものになってますので、
そのオチも含めてご覧いただけると良いのではないかと思います。
……イングラムとクラタスが動くかって?ははははまさかそんな動かないなんてあるはずが(目をそらす)。

んで肝心のレイバーですが、今回の実写プロジェクトのために実物大のイングラムを作ったという、
国産実写映画としては純然たる大馬鹿野郎プロジェクトになってるんですけども、いやぁ、これ、すごいよ?
『巨大な人型ロボットを運用する組織』としての空気感をビシッと引き締めるものすごいセットになってます。

エピソード0で
「人型巨大ロボが搭載砲で戦うなんて所詮はアニメの中にだけ存在した与太話でしかなく、二足歩行ロボなんて存在自体が純粋な工学技術の結晶というよりある種の願望とフェティッシュの産物であり、そんなもんにこだわってたから日本のロボット産業は後発国の後塵を拝することになったんだよ!!」
と断じながらも「それでも好きだよ!!」と叫ぶシゲさんの姿は完全に『メカフィリア』で押井監督が語っていた言葉と重なるんですが、
本作ではむしろそのイングラムを動かさないことで、舞台装置として非常に上手く使ってるなーと思います。
等身大イングラムなどというアホなものを作ったからこそ各部の細かい描写がフェティッシュなものにできてる、というか。。

登場するのは第二小隊の初代配備機であるおなじみの篠原重工製98式AVイングラム。
現地回収を重ねた結果メーカーサポートすら怪しくなったのか、メーカーサポートが怪しくなった結果として現地回収を繰り返したのか、
どっちが主な原因なのかは分かりませんがかなり外形が変化しており、より一層「存在感のある」スタイリングへと変化しています。
TV版やコミック版のスマートさがあるデザインから一転、無骨なラインへと変化したそのデザインに好みは分かれるかと思いますが、
個人的には懸架式になった肩アーマーとか、額のセンサーを保護するロールバーとか、細かく可動部が分割された足首とか、
その辺りのデザインがツボですねぇ、かなり好きですよこれ……!!!
というか『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』のデザインにならなくて本当によかった……という安心感がですね……(遠い目で)。

話を戻しますが、実物大が存在するだけあって整備班の作業の現実感がすごいと言いますか。
装甲パーツを二人がかりで運び、モップで胸部ハッチを磨き、いざ出動準備がかかればカートで巨大なタラップをハッチの前まで据え付け、
トランスポーターに乗せる乗せないで一悶着。
リボルバーカノンをロッカーから取り出し、ケースから37mm弾をシリンダーへと装填する作業の現実感と、
巨大なリボルバーカノンをリフトでイングラムの脚部ホルスターへと格納する作業の非現実感。
そういった一挙手一投足が『一連のいつもの作業』として描かれているあたりが非常に素晴らしかったなぁ……。
そう、こういうのが!!!!こういうのが俺たちの好きなパトレイバーだったような気がする!!!!!

あくまでも単なる公務員であり、私生活を犠牲にしながら僻地の埋立地でバリエーションに乏しい食生活の中、
無限とも言える待機時間を過ごす隊員たちの姿をひたすらに押井守節で描き切った今回のエピソード1。
さとっちさん的にはもう満面の笑みで、どころか途中で爆笑しながら満足感に包まれて帰宅した結果、
こんなすさまじい長さの感想になってるわけなんですが、じゃあこれをパトレイバー初心者、
あるいは押井守作品初心者にオススメできるかと言いますと、その、なんというか、アレだ。

……かなり難しいんじゃないかなぁ……(頭を抱える)。


劇場でも『アナと雪の女王』を見に来たと思しき小さいお子さんがお母さんに「あのロボットのやつ見るー!!」と絶叫してたんですが、
何かを間違えて予備知識無しに小さなお子さんと一緒にこの映画を見るのは非常に危険だなぁと思いますね……。
まぁ後ろに座ってたお父さんが小学校に入ったか入らないかという年齢の息子さんを連れておりまして、
「来月はユニコーンやなぁ楽しみやなー」とか話しておりまして、そういう英才教育まっしぐらの方々に於かれましては全章見に行くことを義務化しておきたいんですけども……。

あ、あと純粋に興味が有るよ!!という押井守未体験の方々に於かれましては、
できれば『機動警察パトレイバー アーリーデイズ』をレンタルでも配信でもいいのでご覧になられてからが良いかと思います。
間違っても『機動警察パトレイバー THE MOVIE』とか『THE MOVIE2』を見ただけで飛び込んでしまいますと、
かなりの勢いでちゃぶ台をひっくり返す事態にならないとも言い切れませんので……!!!

あ、『立喰師列伝』は大好きだけどパトレイバー見たこと無いよっていう人はいいからこの実写版見るといいよ?


なお余談ですが公開前日まで大阪ステーションシティシネマの座席予約、初回が21人とか初日合計で70人ぐらいしか予約されておらず、
「やべえアサルトガールズをテアトル梅田で見た時よりも少ないんじゃないのかこれ」と戦慄していたんですが、
蓋を開ければ昼からの113席あるスクリーンは8割程度が埋まり(最前列はさすがに埋まらないよね)、ちょっとだけ安心したり。

来月の5月31日からは第二章がまたイベント上映となりますが、これもまたレイバーを動かすつもりが毛頭無い内容すぎるので、
なんとしても見に行かなくては……!!!!!!(満面の笑みで)

・BDはこちら→THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章 [Blu-ray]
・第二章の予告編はこちら→『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章』予告編
・パトレイバーの予習をするなら→機動警察パトレイバー アーリーデイズ [Blu-ray] (2010)
・押井守がレイバーのデザインとか色々語るよ→モデルカステン:押井守・映像機械論 メカフィリア
■14年3月15日 『レッド・ドーン』

ある日、アメリカ本土は北朝鮮軍により占領された。
電磁パルス攻撃を受けた米軍と政府が身動きの取れない中、空挺降下で次々にアメリカの要衝を占領していく北朝鮮軍。
ワシントン州の平和な工業都市も占領される中、かろうじて逃げ延びた若者たちは銃を手に取り、
この街を、そしてアメリカを占領者の手から奪い返すべく、抵抗組織『ウルヴァリンズ』を名乗り立ち上がる。
肉親の死、仲間の裏切り、作戦の失敗。
数多くの障害を乗り越え、やがて彼らは北朝鮮軍の通信ネットワークを担う装置を奪うべく、占領軍の駐屯地へと潜入を試みる……。




はい、いいですねぇ!!

突然侵攻を受ける街!!離れ離れになるガールフレンド!!立ち上がる俺!!敵を殺す俺!!戦う俺!!!

そんなことを中学生、あるいは小学生の頃から今に至るまで妄想し続けてきた皆様!!!!!
佐藤大輔の『レッドサンブラッククロス』でアメリカ本土が東西に分割されて戦争カマしてるのに燃えた皆様!!!!
我々へのご褒美が!!ご褒美がやってまいりました!!!!
最近だと『エンドオブホワイトハウス』とか『ホワイトハウス・ダウン』とかありましたが、また一本ご褒美タイトルが加わりましたというか、
まぁこれリメイクなんですけども、このご時世によくもまぁリメイクしたな本当!!!!!!

爆裂な反共主義者のジョン・ミリアスが監督した84年の映画『若き勇者たち(原題:Red Dawn)』のリメイクなんですが、
原作が「ソ連とキューバとニカラグアの連合軍がいきなりアメリカに攻め込んできた」だったのに対し、
本作では『何者かの援助を受けた北朝鮮がアメリカに突如侵攻してきた』というパンクっぷりになっております。
まぁその『何者か』ってあれ、ロシアなんですけども。ロシアと北朝鮮、ねぇ(遠い目で)。
……ロシアの全面協力とEMP攻撃ぶちかましたとしても全土掌握できるほどの兵力投入できるんですかね……。

いや流石にそれ無理あるんじゃねえかな……と思う方もおられるでしょうけども、というかさとっちさんもすっごい首かしげてたんですが、
元は中国軍がアメリカに侵攻してくるシナリオで撮影も終わってたのが、『せいさくじょうのつごうにより』中国軍→北朝鮮軍に変更され、
その編集作業で公開が遅れに遅れ倒したという経緯があったりします。
……いやそれ最初に中国でゴーサイン出したスタジオすごいな……チャイナマーケットをガン無視するつもりだったのか……。

ともあれそんな『侵略された街でレジスタンス活動を行う若者たち』の話なんですが、オリジナル版ほどの悲惨さは無いというか。
レジスタンス活動の悲惨さを描いてる度合いでは原作の圧勝ですね……ああいう終わり方ですし……(目を伏せる)。

むしろ80年台の「正義のアメリカ!正義の戦争!!」を無邪気に信じてた頃の映画の匂いはこっちのほうがものすごいというか、
こっちはもう「誰からも後ろ指を指されること無く戦争がしたいんです!!正義の戦いがしたいんです!!人間相手に!!」という、
実にこう、うーん、湾岸戦争とかユーゴ紛争とかイラク戦争とかその辺諸々で完全に行き詰まった反動が全力で出た感じですね。
戦争映画がもう無邪気に作れなくなったことでのメタファーとして、大自然が敵になるディザスター映画とか宇宙人との戦いとか、
あるいは問答無用で人類滅亡でサバイバルを強いられるゾンビ映画とかが復権してきたのがここ15年ぐらいだと思うんですが。
いやー、うん、まさか本当、こうなるとは思ってもいなかったな……。

キャストとしてはクリス・ヘムズワース(マイティ・ソーのソー役)がたまたま北朝鮮軍の侵攻前日にイラクから帰ってきた海兵隊員役で、
全体的にワリと銃器の扱いとか戦闘シーンは頑張っています。とは言え出てくるのは軽火器メインですけどね。
恋愛模様なんかもあったりしますが、そこまでメロメロのキューな感じではない(何語だ)ので、まぁ添え物かな、と。

ラストの「俺たちの戦いはこれからだ!!」感とか、もう一切風呂敷をたたむつもりがなさすぎて爆笑せざるをえないんですが、
どっちかというとドラマシリーズに向いてる作品なんじゃないかなーと思わないでもなかったり。
いえまぁ『フォーリングスカイズ』の二番煎じになる可能性もありますが!

ともあれこの終わり方だとなんぼでも舞台を変えて話を作れますし、80年代風味の正義のアメリカ戦争B級映画シリーズとして、
ぜひとも予算をその都度減らしながら6作目ぐらいまで作っていってほしいものですね……(真顔)。

・BDはこちら→レッド・ドーン Blu-ray
・原作はこちら→若き勇者たち [Blu-ray]
■14年3月12日 『キングダム・ウォーズ-魔界からの侵略者-』

オークたちから狙われていた妖精族最後の生き残り、アレヤ姫が逃げ延びたのは、我々人間の世界だった。
アフガンから戻り軍を退役した元海兵隊員のジョンは、引っ越した山小屋近くのトンネルでアレヤ姫と遭遇。
さらにその夜、謎のオークたちが山小屋へと襲撃をかけてくる。
負傷しつつもオークたちを退けたジョンだったが、ホワイトフェザーと名乗る盲目の男から「お前は境界を守る新たなウィザードとなる」と告げられる。
着実に自分の知らないところで外堀を埋められ混乱するジョン。助けを乞うアレヤ姫。
その頃、『向こうの世界』ではオークたちが新たな境界の番人であるジョンを殺してアレヤ姫を捕らえようと、多くの軍勢を待機させていた……。


)

Q:これはバカ映画ですか?
A::はい。これはバカ映画です。


元海兵隊員 VS オークの軍団!!!!!という、心の底から知能指数の低いストーリーラインなんですが、
いやぁなかなか楽しめました!!愛すべき低予算、愛すべき馬鹿映画、いやぁ、うん、こういうのがいいんですよ(お酒飲みながら)。

もともとこの映画、原題は『オーク・ウォーズ』と直球でありまして、むしろ邦題の『キングダムウォーズ』ってなんぞそれ感あるんですが、
オークと海兵隊員がそれなりの、片田舎の山小屋近くでドンパチやって殺しあうだけの話。
アレですね、アルファポリスから出てる『ゲート』を、舞台をこっちの世界にして、スケールを1/20ぐらいにした感じといいますか。

特にオーク側がいいですね。30人ぐらい揃えて衣装とかメイクも頑張ってるんですが、CGで増やす予算はなかったようで、
どこまでも「画面に登場するオークは最大30人ぐらいなので今ひとつ軍団の数がわからない」とか、
「よく見ると同じオークが何回も死んでる」とか、いやぁ、いいですよ!!昔ながらのファンタジー映画だこれ!!!
ジョンをいたぶってたらドライバーとカナヅチでボコボコにされ、ショットガンで撃たれ、山小屋を攻めようとしたらライフルで狙撃され、
バリスタで投石すればRPG-7を撃ち返され、と『オークたちの切り札的なあれこれが全部近代兵器にぶっ潰される』このカタルシス、
どちらかと言うと主人公のジョンよりもオークたちの方に肩入れしたくなりますね……ラストサムライみたいな……。

対するジョンもジョンで「戦場で同僚を多く喪い心に傷を負い軍を退役、安寧を求めて静かな片田舎へ引っ越したらよくわからねえコスプレ女に遭遇するわ山小屋は何回もオークの野郎どもに襲撃されるわ弓で撃たれるわウィザードだの番人だのと勝手にファンタジー系のジョブを割り振られる」という、心の底から同情するしか無い境遇。
そりゃ一番強く主張するのが「ここは私有地だ。俺の山小屋に入るんじゃねえ」ですよ!!!スケール小さいけどめっちゃ切実ですよ!!!
そりゃ捕らえたオークをスタンガンで延々と拷問もしますよ!!!!!!!


かくして「近代兵器は揃ってて戦うスキルもあるけど戦う理由がよくわからないまま巻き込まれた元海兵隊員」と、
「数は多いし装備も揃ってるはずなんだけど一方的にアウトレンジされて壊乱し続けるオークたち」の、
ある意味では非常に悲劇的な戦いが、終盤延々と繰り広げられます。もうたまりません。大好きですこういうの。

もちろん低予算なだけあってガンエフェクトはショボく、銃声も軽く、のどかな感じすら漂うアレなんですけども、
『やりたい画面作りに一生懸命近づけようとする努力』が垣間見えてものすごーく温かい目で見れてしまいます。
終盤なんか「あっはい座頭市やりたいんですね!!!がんばれ!!!」ってなるしなー(苦笑)。

お手軽ファンタジーとしては最近もう本当ゾンビが全盛期というか花盛りというか玉石混交なんですけども、
あえてそっちに行かずに「オークと戦わせたいんですよ!!!!」というこの姿勢、うーん、好きだわぁ(笑)。


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■14年3月6日 『シャークネード』

巨大竜巻にサメが吸い上げられて空から降ってくるよ!!!
冠水した街の中をサメが泳ぐよ!!!さぁどうする!!!!




あらすじを書こうと思ったものの2分ほどで断念しましたというか、上記の説明で大体合ってると思います。はい。

サメ映画といえば地雷オブ地雷ジャンルとしてゾンビ映画以上にアレな立ち位置を確立しておりますが、
今回は『パニック・マーケット』やゴーストシャーク以上に雑さを極めきった脚本!!適当なキャラ配置!!!という、
これぞB級どころじゃないC級D級サメ映画だぜ……!!と満面の笑みで酒飲みながらゲラゲラ笑える映画でしたねぇ(遠い目)。

「中心に爆弾投げ込めば竜巻は消えるぜ!!」とか「空から降ってくるサメに有効な武器は拳銃とチェーンソー」とか、
「竜巻から放り出されてすごい勢いで降ってくるサメが地面にたたきつけられてもピンピンしてる」とか、
もはやサメが飛ぶのって普通であり、細けぇこたぁいいんだよ!!!!!!という、
作り手側の首尾一貫したクソ映画を作るよという決意を噛みしめる次第です。はい。

本当にもう、考えうる限りの頭悪い要素がてんこ盛りになっておりまして、
雑な脚本とかそういうのを通り越して「どこまで馬鹿なことをこの映画はやってくれるんだろうか」という、
そんな楽しみ方をするのが最適かと思いますね……。

ただ真面目にこの作品への不満点を述べるならば、やはり『サメの脅威>>>>>竜巻の脅威』という辺りでしょうか。
巨大竜巻という洒落にならない規模の災害が移動しながらロサンゼルスへと向かっているにもかかわらず、
主人公たちが恐れるのはそれよりも「竜巻からサメが降ってくる」というところでありまして、
「竜巻は中心部に爆弾を投げ込めば消える」という斬新極まる解釈なあたりが「本当にそうだったら今頃米軍が全力でそれやってるよ!!!」という……ねぇ……。
どうしようもなく太刀打ち出来ない、為す術もなく通りすぎるのを待つしか無い、自分たちのところを通過しないことを祈るしかない。
それが竜巻の怖さだと思うんですが、そこを無視、というかスルーして「竜巻は潰せる(ドヤァ)」「サメを飛ばすための舞台装置」
でしかないギミックになってしまったのは本当に勿体無いなーと思う次第です。ええ。
いやまぁ確かに竜巻の被害もほんのりと描かれたりはしてるんですけどね……。

ともあれそんな不満点も「まぁサメ映画だしな!!!」というのでなんとなく納得できてしまうのが悔しいというか、
そういうところも含めて愛するべきなんだろうかと思うわけでございます。ええ。

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■14年2月20日 『ゴースト・シャーク』

幽霊になったサメが 街中に現れて 人をバンバン襲います。


これ以外にあらすじが必要でしょうかいや無い!!!(反語)



いやぁ何と言いますか、先日の『パニック・マーケット3D』では津波の影響でスーパーの店内にサメが、という話でしたが、
本作は「幽霊だから神出鬼没」という、あまりにも思い切りの良すぎる設定になっております。
今まで見てきた中で一番頭の悪い神出鬼没サメ映画は「砂の中を自由自在に動けるんです!」という『ビーチ・シャーク』なんですが、
本作はそのラインを軽やかにくぐり抜けて、個人的にはダントツぶっちぎりでのバカ映画になってると思いますね!!!

サメ映画といいますと大きく『海上、あるいは閉鎖空間に孤立してサメに襲われる』という孤立モノ、
そして『街・住人の危機を救うためにサメ退治へ出向く』という征伐モノの2つにざっくり分類してしまってよいかと思います。
で、そのサメとの戦いは基本的に海上に限定され、その中で打開策を発見し、必死の戦いを挑む……というのがセオリーなんですが、
さすがに『ジョーズ』以来30年以上もあの手この手で映画が作られてきますとシチュエーションにも限界が来たりしますし、
いささか以上に食傷気味、という人もいるだろうなぁとは思います。
そのネタ切れ感がドライブしすぎた結果『ビーチ・シャーク』という作品がひねり出されたんだろうなーとも思うんですけどね。
……そういや陸上を歩くサメが出てくる『シャークアタック』とかもありましたっけね…(遠い目)。

で、本作はさらにそっから踏み込んで「生きてるサメじゃなくてもいいじゃない。サメの幽霊が人を襲ってもいいじゃない」という……。

神出鬼没のサメが『水を媒介にして出現する』という設定のため、どこから襲ってくるのかわからない、というのは面白いところ。
プールで襲われ、風呂で襲われ、故障した水道管からの水で襲われ、洗車してたら襲われ、と、
『生活に欠かせず、非常に身近な水』がサメの出現経路と化すあたりは、オカルト映画としてもなかなか楽しい物があります。
まぁ正直なところこれサメ映画じゃなくていいんじゃね、という感じもありますが!!!

また、登場人物はだいたいみんな知能指数が80以下ぐらいだろうなー常日頃葉っぱ決めてんのかなーという感じのバカばかりで、
実に由緒正しいB級・C級サメ映画のためのキャラクター配置になってると言えるでしょう。はい。本当に。大人ですら馬鹿だからな!!
グロシーンも結構頑張ってるというか、子供ですらバンバン死ぬので、そういうのが苦手な人は見ないほうがいいかもしれませんが、
そもそもそういうのが苦手な人はこのテの映画借りないよな、よし問題ないな!!!


……という感じでひととおり褒めて見ましたが、実際のところぶっちゃけて言いますと『惜しい』映画だなーというのもありまして。
間違いなく今まで作られたサメ映画の中でもトップクラスの脅威度合いなサメ(幽霊だけど)であり、
なおかつ物理攻撃力も半端無く(こちらの攻撃は通らない)、心底厄介な相手ではあるんですが、いかんせんタメがない。
怖さをジリジリ盛り上げる演出がない、というのは心底もったいないと言わざるを得ません。
特に途中で「ほらここにも水があるよ、こっちは水漏れだーこっちにも水があるねぇ、さぁどこからくるかな?」的な見せ方をしといて、

まさか  律儀に  全部から  出現するとは  思わんだろ普通。

そういうのは完全な不意打ちで観客に「えっそこからなの!?」っていう驚きを与えるためのフェイクであるべきだろうと思うんですが、
どうも監督はそう考えなかったようで……いやぁ本当惜しい。
モンスターパニックとオカルト・ホラーを合体させたものの、オカルト・ホラーの演出が出来ないまま完成しちゃった感じですね。
水があるところならどこからでも襲ってくる、という恐怖をもうちょっとうまく見せられなかったのかなーと。
……というか「何からサメが出てきたのかわかりにくい」というのもあったりしまして、その辺もうちょい上手いこと見せることができていれば、
万人に「目新しいサメ映画が見たいならこれだよ!!」といい笑顔でオススメできたんですが(苦笑)。

ともあれ、「幽霊だから!!」というストロングスタイルの突っ張り方によって、チープなCGもなんとなく許せるようになりますし、
上映時間90分ということでポテチ食べながら見るにはちょうどいい感じのバカサメ映画だと思います。
さぁ、次は『シャークネード』が見たいところですが、雪山系サメ映画『アヴァランチシャーク』も日本に上陸してきませんかね…!?

・DVDはこちら→ゴースト・シャーク [DVD]
・次はこれ見たい→シャークネード [DVD]
・アヴァランチシャーク予告編はこちら→Avalanche Sharks - Trailer
■14年2月15日 『パニック・マーケット3D』

舞台は平和なオーストラリアの沿岸都市。
婚約者ティナの兄、ローリーを目の前で鮫に食い殺されてしまった元ライフセーバーのジョシュは自責の念に駆られ、
ティナとの婚約も解消。ライフセーバーも辞め、無気力な日々を過ごしていた。
そんなある日、勤務先のスーパーで強盗殺人事件が発生。緊迫する店内だったが。そこへ更に巨大津波が襲来する。
圧倒的な水の力で店内は水没、辛うじて水面の上に出た棚の上へと避難したローリーたちだったが、
脱出方法を模索する中、警備員のボブが何者かに水中へ引きずり込まれ、食い殺されてしまう。
そう、津波によって鮫までもが陸地へ上陸、水没したスーパーの中を泳ぎまわっていたのだった……!!
さらに生存者の中には強盗犯もいることが判明し、予断を許さない状況の中、決死の脱出行へと挑む一同だったが、
一人、また一人と鮫の餌食になっていく……。
ジョシュたちは無事に脱出できるのか、そして店外で彼らを待ち受ける光景とは……!?




今の俺に足りないのはこういうバカサメ映画だったんだ!!!!!!(歓喜の表情で)

もはや一大ジャンルとなった『サメ映画』ですが、いやぁやっぱりいいですねこういうパニック系の方向の映画は!!!
最近の映画だと竜巻の中から降ってきたり、かと思えば幽霊になったりと神出鬼没、
もはや海水があろうとなかろうと関係なくなってきてるサメたちですが、
今回は「津波と一緒に上陸したから!!!」という合理的説明(棒)で片付けられています。
うん、そういう問答無用の割り切り、嫌いじゃないぜ……!!!!!

基本的には『孤立した空間内でのサメとの戦い』がベースながら、生存者の中に殺人犯がいる、という辺りで緊張感を持続させ、
なおかつ『店内』『地下駐車場』の二箇所を舞台とすることで、それぞれ違った危機感を見ている側に提示してくれるのはいいですねぇ。
出てくるキャラは概ねバカ6:マトモ4ぐらいの割合なのもいい感じといいますか、
地下駐車場組がマトモなの1人とバカ2人と犬1匹(ポメラニアン)、というなかなか絶望的な構成になっており、
店内よりもむしろ地下側の話から目が話せなかったりしますけどね(苦笑)。

なお、公式サイトのあらすじ説明に『人喰いカニ』とか『殺人鬼』とかありますけども大体その辺は誇張表現というか、
「人喰いカニかと思った!?残念!!小さいカニがいっぱい出てきてしかも何もせずに終わるぜ!!」とか、
「殺人鬼かと思った!?残念!ちょっと頭おかしい強盗なだけでした!!!!」とかそういう感じなので、
その辺りも実に古き良き煽り文句一発勝負型パニック映画の伝統を踏襲していますねぇ(しみじみと)。
製作総指揮と脚本が『バイオハザードV』『スコーピオン・キング2』の監督、ラッセル・マルケイなのにはちょっと驚きましたが、
それを踏まえてみると「まぁ雑な展開なのも仕方ねえな!!!」と思えてくるのが楽しいところといいますか。

グロ・ゴア表現に関しては『噛み付かれて胴体真っ二つ』とか『足首プカプカ』とかそういうのはありますけども。
まぁ比較的緩めのものじゃないかなーと思います。苦手な人は苦手かもしれませんが、サメ映画だしね!!
小さな地震の後にいきなり押し寄せる大津波とか、津波が街を襲い人々が飲み込まれていくシーンは、
日本での劇場公開当時にはカットされた(東日本大震災への配慮だと思うしそれもまた理解はできる)っぽく
劇場で見た人は「話のスジが合わないんですけど!!!」と怒っておられたようで……うーん、まぁ難しいよね……。
ちなみにCGはなかなか、まぁ、意外と大丈夫な水準で(失礼だなお前)、特にラストの謎のスタイリッシュアクションからのサメ退治のシーンは結構カッチョいいものがあったりします。

最近のオーストラリア映画ってワリとアメリカとの合作の影響もあってなかなか楽しいのが多いんですが、
今回のはオーストラリア単独でこの(いろんな意味で)クオリティ。いやぁ楽しい映画作ってくれるようになりましたなぁ……。

謎の超進化を遂げてサメなんだか何なんだかもうよく分からなくなったサメ映画もいいですが、
意外と正統派だった本作も結構オススメしたいところですねぇ……!!さぁ次は『ゴーストシャーク』見るよ!!!(ぇー)

・BDはこちら→パニック・マーケット3D Blu-ray
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■14年1月12日 『ワールド・ウォーZ』

世界各地で謎の感染症の発生が報道される中、国連の調査官を務めていたジェリー(ブラッド・ピット)は上層部と衝突し組織を離れ、家族と穏やかな時間を過ごしていた。
だがある日、交通渋滞に嵌って身動きがとれなくなったところへ前方で謎の爆発が発生、更に後方からは謎の暴走トラックが突進。
辛くもトラックの突撃から逃れたジェリーたちだったが、凶暴化した群衆が人々を襲い、
さらに襲われた人々も凶暴化……次々に発生する暴力と混乱の波へと巻き込まれてしまう。

国連事務次官の協力で洋上の空母へと避難したジェリーたちだったが、人々を凶暴化させるウイルスの感染源を突き止め、
その対抗策を講じるため、「家族を空母に留まらせたければ軍とともに行動しろ」と命じられる。
家族を守るため、世界各地へと移動を続けるジェリーだったが、すでに全世界がその感染症と直面、
人類はゾンビとの戦いの最中にあった……。



さて、率直な所「この作品をどう評価するか」で心底悩んでたりするわけです。

日本国内での宣伝において全くと言っていいほど『ゾンビ』という単語は使われず、本作がゾンビ映画であるという事実は伏せられ、
なんかよくわかんないまま「ブラピが主演の戦争モノっぽい大作映画」という認知活動が行われてきたわけですが、
Togetter:町山智浩氏が観客を騙す日本の映画宣伝に苦言
原作をたどればマックス・ブルックス(メル・ブルックスの息子)の小説『ワールド・ウォーZ』に行き着くわけでして、
それが映画になったはずなのにどうしてこんなことに……というのがまず一点ですね。

そしてもう一点、原作はグランドホテル形式が取られていました。
特定の主人公を固定すること無く、『ゾンビ大発生という危機』から戦いを続けてきた人たちの物語であり、
ゾンビ大戦で何が起きたのか、をヒアリングしたレポートとして複数の視点から描いていく物語だったわけですね。
日本のひきこもり学生、アメリカの単なる主婦、当時子供だった女性、軍人、科学者、ブラックマーケットの商人たち。
それらの紡ぐ「自分が見てきた・体験してきた地獄」が、時系列を経るごとに人類の勝利を引き寄せるものになっていて、
『世界規模で起きたゾンビクライシスの原因』『軍隊がゾンビに敗北した理由』『一度は敗北した人類がゾンビを駆逐するに至った物語』というのが非常に面白く、読んでて鳥肌が立ちまくる……というのが原作の醍醐味でした。

しかしこの映画では、『元・国連調査員の男が過去の経歴を買われ、ゾンビクライシスから家族を守るために現役復帰する』物語となっています。
この元・国連の調査員、というのも原作に登場しないわけではないんですが、あくまでも物語のまとめ役、執筆者としての立ち位置で、
彼自身がゾンビクライシスに直面した時の物語、というのは無かったわけです。ある意味ではそこが抜け落ちてた、とも言いますが。
大事なものを守るため、家族たちのため、再び剣を、銃を手に取る男の物語、というのはカタルシスがありますし、それが誤った選択だとは思いません。

ただ、
『主人公を一人に絞りながら』
『世界各地でのゾンビクライシスを描きつつ主人公がその現場に行き』
『主人公は決して死なず』
『事態は解決へと向かう』

という4つの条件を満たした結果、生まれたのは『ブラピ一人がすごい活躍をするスーパーマン映画』になってしまった、という……。
「たまたまそこに居合わせた人たちが経験してきた物語」という要素を投げ捨てた結果、すごい勢いで原作のテイストはどっかに消えることになってしまいました。

なおかつ『世界各地での物語』となったことで、各地で出会う脇役キャラが掘り下げられず、事実上「名前の無い人物」化してしまい、
ブラピ以外のキャラの魅力なにそれ美味しいの、という感じになってるのは心底もったいないところで。
記憶に残るキャラって国連事務次官とイスラエル軍の女性兵士、の二人だよなぁ……。

更に終盤では『超大作映画』にふさわしい一大アクションというかロシアでの人間とゾンビの決戦シーンを撮影したのに、
配給会社のトップから総スカンを食らって全ボツ、慌てて脚本描き直そうにも本来の脚本家は別作品にかかってて時間が足りず、
他の脚本家を起用したらシーンのつながりも悪い強引な展開ばっかりになってしまい、結末までまったくの別物になるという大惨事。
この手のゴタゴタで言うと『サウンド・オブ・サンダー』という悪夢を思い出しますが、
あれと比べるにはあまりにも根回し不足と同時に配給会社のバカさを再確認せざるを得ないというですね……。
サウンド・オブ・サンダーはなんだかんだでプロダクション倒産に加えて大水害の直撃で撮影計画吹っ飛んだのが大きかっただけですし(それは『だけ』とは言わねえ)。

そんなこんなで間違いなく『難産な作品』だったんですが、じゃあその『難産の結果』がどうだったかというと……うん……(目を伏せながら)。

序盤はワリと「日常から非日常へ叩き落とされるパニック感」があるんですが、
第0号感染者を探しにブラピが全世界を流浪流転の旅を続けることになった第一歩、
韓国に『希望の星』と呼ばれる科学者(ただし吹き替えボイスは浪川大輔)と一緒に入った辺りから雲行きが怪しくなり、
イスラエル編で完全に「あ、登場人物全員馬鹿だ」となり、
WHOの施設での人類の命運をかけた『だるまさんがころんだ』に至ってはもう、笑うとかそういうレベルを超えております。すごいぞアレは。

これ全部狙ってやってるんだとしたらもうタイトルから何から全部変えたほうが良かったんじゃないのーと思うんですが、
前述のように配給会社から全ボツ食らったのはイスラエルを出てから後のロシア決戦だけらしいので、
そこまでは……まことにアレなことに、こう、当初の予定どおりだったっぽいのが……(遠い目)。



で。

「原作と違う!」「「スーパーマンはいらない!」と声高に叫び続けるのも不毛なので、この映画はどう見るべきか考えてみたんですが、



ドリフです。









『ブラピだョ!全員集合』です。









あるいは『絶対に笑ってはいけないゾンビクライシス24時』です。



もう、あの、とことんまでブラピが主演のドリフ特番だ!と思って見ると出来の粗さとかシナリオの拙さとか、
その辺りがいっそ愛しく思えてきます。

徹底したご都合主義!!絶対に死なないブラピ24時!!余韻もへったくれもないハイスピードパンデミック!
全力疾走しかしないゾンビ!餌がいないとゆらゆら揺れるだけのゾンビ!!!
出血シーン皆無の残虐シーン!むしろ残虐性のかけらもない残虐シーン!!!

土曜の夜8時から放送されても一切カットや自主規制を掛ける必要がなく、年齢性別問わず万人が見れて、
なんとなくまぁゲラゲラ笑いながらポップコーン食べれる、そんな映画と思えばいいんじゃなかろうかと。
ゾンビ映画らしい感染の恐怖、忍び寄るゾンビの陰湿な怖さ、感染してしまった仲間を撃つことへの苦悩……といった


『ゾンビ映画たりえるための要素』をすべて粉砕デストロイしたブラピの花道オンステージなドリフ2時間特番。


これこそが、この『ワールド・ウォーZ』というタイトルを冠した映画の本質であると思うわけですよ!!!すいませんお酒ください強いのを!!!


ただ、『ネバーランド』『主人公は僕だった』『007/慰めの報酬』のマーク・フォースター監督を使ってこれかぁ……と思うとうーん。
どっちかというと脚本の方の問題だったぽいものの、ブラピと監督の確執もあったようで、なんか色々と不憫な作品ではあります。
それでも興収はブラピ主演映画史上最高規模だったようで、続編の制作にゴーサインが出てますけども、
監督は交代、脚本はまだ決定していない……ということで。3年後ぐらいに公開されれば御の字でしょうかねぇ、うーん。


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■14年1月12日 『ヘンゼル&グレーテル』

両親に森へと置き去りにされたヘンゼルとグレーテルの兄妹は『お菓子の家』に迷い込み、魔女に食べられそうになるものの、機転を利かせて危機を脱出。逆に魔女をオーブンに閉じ込め焼き殺し、無事に生還を果たした。
それから15年後、成長したヘンゼルとグレーテルは凄腕の魔女ハンターとなり、魔女を討伐しながら放浪を続けていた。
子供の連続失踪事件の調査を受けた二人は魔女の関与を確信、自分たちへと敵意を向ける保安官たちと衝突しながらも、
魔女の根城、そして事件の真相へと迫っていく…だがそこには二人が『森へと置き去りにされた』真相、
そして魔女の世界を大きく変える壮大な計画との戦いが待ち受けていた。



どうも最近「ネタがないにも程がある」という感じで、過去作のリメイク祭では手が足りず、
グリム童話やらアンデルセン童話やらのアレンジ映画化にまで手を出すという末期感漂うハリウッドファンタジー映画のあれこれですが、
製作中との噂を聞いた時は「いくらなんでもヘンゼルとグレーテルってお前……」と思わざるを得なかった本作は、
いざ完成した蓋を開けてみますとこれがどうしてなかなかの一品に仕上がっていました!



単なる映像化ではなく『原作の15年後』を描きつつも、そこへ『15年前の真相が解明されるカタルシス』もあり、
更に時代考証的には明らかにメチャクチャながジェットを使用して魔女を次から次へと葬り去る痛快なアクション、
魔女ハンター志望のオタ男子の成長やヘンゼルのラブロマンスなどを打ち込んだ、非常に楽しい映画になってるんですよね……。

特にヘンゼルを演じるのがジェレミー・レナーでありまして、はい、僕等の我らのホークアイさんです。
何というかもう、あの、本当ホークアイといいますか、ホークアイがタイムスリップして魔女ハンターになったんじゃねえかこれ、的なところが多々見受けられましてもう本当、愛しくて仕方ありません。
間違いなく凄腕なのに結構なポンコツ感!
さすがに『魔術が効かない』という設定上、魔女に操られたりはしないけど随所でやらかす感じ!!
いやぁジェレミー・レナーって本当こういう役柄が似合うわぁ……(うっとり)。

対してグレーテルを演じるのは『007/慰めの報酬』でボンドガールに抜擢されたジェマ・アータートンで、
これまたキレのあるアクションをタップリと見せてくれまして非常に見ごたえありますねー。

魔女を討つのも肉弾戦から撃つ、斬る、ワイヤートラップで細切れにするなどのバリエーションが多彩で、
なんだかんだで『単なる童話の焼き直しの、ボンクラぽんこつ映画』かと思ったら全然違ってて驚かされます。
それなりに血とか肉片飛び散る感じになってるので、そういうのが苦手な人はちょっとだけ注意…かな?

唯一不満があるとすれば保安官たちの向けてくる敵意がよく分かんねえ、というところですが、
「まぁ保安官ってああいう連中だよね」と思うのが正解でしょうか!!また保安官という職業のイメージが悪化したけどな!!

日本では配給会社を巡ってゴタゴタがあって結局は劇場公開がかなわず、映像ソフトのみでの展開となった本作ですが、
いやぁこれ劇場公開しないのはもったいなかったんじゃないかなぁ……と思える痛快な作品ですので、
ジェレミー・レナーというかホークアイ好きな人とかボンクラ映画好きな人はぜひぜひ!!

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