たまには真面目に電子書籍とKindleストアへの不満を語ろうか。
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最終更新:2014年6月11日 21時00分
さてさてさて。

『となりのヤングジャンプ』でも最終回を迎えたコミカライズ版『All You Need Is Kill』ですが、
小畑健センセ作画のコミック版が1巻2巻同時に、そしてそのイラストを使った新装版の原作小説が、
6月19日に3冊同時発売。
All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) [Kindle版]
All You Need Is Kill 2 (ジャンプコミックスDIGITAL) [Kindle版]
桜坂洋 All You Need Is Kill (JUMP j BOOKS) [新書]
電子書籍で原作小説を買った身としましては「ぬぉぉぉお」と悩むわけですが。
それはそれとして、その既存の原作小説がちょっとした問題を抱えておりまして。

Amazon:桜坂洋 All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫) [Kindle版]
 このね、原作小説の、Kindle版なんですけども、表紙が、酷いの。


























Amazon:桜坂洋 All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫) [Kindle版]



……いやいやいや。




 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。




 無 い わ。


映画やらドラマ公開に合わせてカバーや帯を変更するというのはよくある話ではありますし、
書店の平台を見たらそういう本でいっぱいで少々げんなりしたり「最初の表紙デザインとは一体」と悩むわけですが、

電子書籍で これは 無い(断言)。

しかも何この『世界が認めた名作』っていうくっそだせえバカ文字サイズ。
映画のメインビジュアル使うだけならまだしもこんなアホみたいなコピー入れる必要あるんですかねこれ。

とまぁ、その表紙デザインに関する怒りはあと2000文字ぐらい書いても足りないので置いとくとしまして、
問題はこれが
「いつの間にか変更されている」点ですね。
これ、以前に(安倍さんVer.の表紙のを)買ってた人が一度端末から削除して、
改めてダウンロードしなおしたらこの表紙になってたりすると、泣くどころの話じゃないと思うんですけども。

ということで、Kindleストアにさくっと聞いてみました。

Q:『All You Need Is Kill』の電子書籍、表紙がいつの間にか出版側の神経を疑うクソダサい物に変わっていますが、今後戻る可能性はあるんでしょうか。

A:Kindleコンテンツの表紙や内容につきましては、メーカーや出版元からの依頼により変更されることもございます。表紙のデザインについて、以前のものに戻るかどうかにつきましては、上記の理由により、お調べすることはできかねます。

どうも「表紙変えたのは出版社なのでそっち次第です。わかんないです」ということらしく。
まぁ以前の安倍さんによる表紙イラストは電子書籍の中に収録されていますし、それほど目くじらを立てるものではありませんけども。
それでも、ストレージに保存している電子書籍の一覧で、






この表紙が出てきたら、これもうストレス以外の何物でもねえよな、というですね。ええ。
というかこの表紙のバージョン、
仮に無料だったとしても落としたくねえなぁと個人的には思いますね……。
2:Kindleストアへの問い合わせあれこれ。

で、ここから少々真面目な話をしていきます。

現状の電子書籍は『DRMを掛けた上でそのストア独自の商品として(読む権利を)販売してる』もので、
普通の書籍みたいに「どこのストアでも同じものが売られている」わけではありません。
そしてユーザーは『本を買う』のではなく『そのコンテンツにアクセスする権利を買う』というものになります。

ユーザーはその本そのものを買うのではなく、その本のデータの複製を保有する権利を得るものであり、
コンテンツの内容をまったく同一のまま保有できるわけではなく、
端末へ落とすたびに「その時点で最新となる原稿データの電子書籍に触れる」形になるわけですね。

最近だと角川マガジンズの『艦これ白書』みたいに
「誤植とミスまみれだった本書ですが電子書籍版は後日アップデートがあります(なお6月11日時点でまだアップデートは成されていません)」

だとか、『未確認で進行形』の1巻みたいに「初期は解像度が低くて読みづらかったので画質上げました!」といった、
ユーザー側の利益となるデータの更新を受けることも可能、というわけなんですが。
……あ、『未確認で進行形』の単行本を3月頃に買った人は一回端末から削除してアップデート版をDLし直すといいよ!!
劇的に画質変わってめっちゃ読みやすくなってるので……(さとっちさんは3月4日に買いました)。
Kindleストア:未確認で進行形: 1 (4コマKINGSぱれっとコミックス) [Kindle版] ¥500(42%OFF)
 
閑話休題。

で、先日、Kindleストアで購入した電子書籍から期間限定無料本とかを削除するべく、
MyKindleのページをチェックしておりまして。
これがKindleの『購入した本をチェックする』MyKindleというページのサービスですね。
ぶっちゃけ爆裂に使いにくいというか検索性最悪、このページ内での本棚編集も不可能、
一個一個ページ送って地道にチェックするしか無い(しかもアイテム一個削除すると1ページ目に戻るという鬼畜仕様)という、なかなか稀に見るレベルで苦行でしか無い管理画面なんですけども。ええ。

グワーッとさかのぼっておりますと、
ほう、『きんいろモザイク』1巻にアップデートが来ましたか、と。
いいですね、きんモザ。あやちゃんにセクハラしたいですね。パンストの匂い嗅ぎたい。
そんなことを思いつつサックリと更新しようと思ったところで気づくのが、

アップデートの内容が一切表示されていない。
なんということでしょう。商品ページに飛んでみてもアップデートに関する情報が一切無いではありませんか。
更に、ファイルサイズが16528KB。
16メガ。4コマとはいえコミックで16メガっていうのはどうなんでしょうか。
こちらはきんモザ2巻の商品説明ですが、うーん。ファイルサイズがこちらは37メガ。1巻の倍ですね。
さて、この容量の違い、1巻のアップデートと関係があるんでしょうか。
『未確認で進行形』はアップデートで画質が上がりまくってましたが、こっちはなんで1巻のファイルサイズが2巻の半分以下なんでしょうか。

というか『未確認で進行形』のアップデートも、ユーザーレビューで
せっかく購入しましたが、残念な画質だったのでがっかりしましたが、アップデートされて劇的に画質が向上しました。 MyKindleからアップデートできます。 画質に不満がある方はアップデートを試して見てください。
と書かれていたのでやっと把握できたわけで、そういや更新内容の説明全くなかったな、と気づきまして。

ということで、この件もカスタマーサービスに問い合わせてみました。
Q:アップデートがあった旨の通知はあるが、その内容についてまったく詳細が無い商品(きんモザ1巻)のアップデート内容について教えていただきたいのですが。

A:アップデートされた原稿は出版社(芳文社)が作っているため、当社ではその内容を把握しておりません。また、アップデートがある旨の通知なども出来ておりません。

Q:内容不明のよく分からないアップデート版を、「ただ出版社から送られてきたから」という理由だけで配布している上、肝心の購入したユーザーに何もその旨を通知していないんですか。

A:Kindleコンテンツの表紙や内容の変更については、メーカーや出版元からの依頼により変更されることがございます。以前のKindleコンテンツの改訂版について、通知をおこなう仕組みが作れておりません。いただいたご意見について、担当部署へ報告の上、改善に努めさせていただきます。
ワリと愕然といたしました。

いや、エロゲだろうとPCゲーだろうとコンシューマのゲームだろうとOSだろうと音楽だろうと、
それがデータという形態で販売・配布されているものならば、
ユーザーが保持してるデータのアップデートに関しては、
ユーザーが読むと読まざるとに関わらず「今回の修正・変更内容こんな感じです」という、一覧を用意しておく。

それがごく普通だと思っていたんですが。

ましてや電子書籍という「必ずしもデータをアップデートしなくてはいけないものではない」ものについて、
ユーザーがそれをアップデートするかしないか、その判断基準がなにも示されていない。
「するか、しないか」の選択肢しか提示されない。
これ、本当、ちょっとどうなんでしょう。倫理的に。

というか
出版社側にもそういったことをしなきゃいけないという意識が無いとは。なかなかのアグレッシヴさです。
3:成年向けコミックの問題点。

で、Kindleストアでの問題、もう一点あります。それが成年コミックの修正度合いの問題。

以前にワニマガジン社の成年向けコミック単行本が大量にストアから削除を食らった事例がありました。
J-CASTニュース:Kindleストアからアダルトコミック大量削除 「何があった?」愛好家が騒然
(一応名誉のために補足しておくと、すでにその書籍を購入済みだったユーザーは端末から削除しても再ダウンロードが可能でした)

その後「局部の修正をコンビニ売りの成年向けコミック誌レベルに変更」したうえで、
改めてKindleストアでリリースされています。
単行本だと棒線修正だったのが、今のKindle電子書籍だと白塗りとか荒目のモザイクとかね。
これ、最近だとメガストアコミックスなんかにも当てはまる話で、別にワニマガジンだけじゃないんですけども。

ここでの問題は
『電子書籍としてリリースされているものと、元の紙のコミックは原稿データが同一ではない』
『以前に販売していたデータと、現在販売再開されたデータでは修正の度合いが大きく異なっている』

という2点。
商品の価値を大きく変化させる改変が行われているにも関わらず、ストアにおける商品ページでその旨の説明がない。
まして、『紙の単行本と、電子書籍を、こうして



併記して掲載しておきながら、両者の修正度合いが異なる(可能性がある/今後そうなり得る)ことを説明していない。
これはあまりにも不誠実ってなものですよねぇ。
だって棒線での修正が白塗りへの修正に変わるって、それ、幕の内弁当の白身魚フライがいつの間にか玉ねぎフライに変わってるようなもんですよ。
しかも気づかぬうちにそういった改変が成されている、という、ね。

確かにKindleストアは無料サンプルを8〜12P程度読むことが(端末に送ることで)可能ですが、
本によっては本文に入る前の表紙+表紙裏+口絵カラーイラスト+中表紙+目次だけで終わり……などもあり、
必ずしも『修正の度合いがどういったレベルなのかを把握することができる』とは言い切れないのが現状です。

出版社のサイトを見ると注意事項として小さく書かれてるところもありまして、
ワニマガジン:お問い合わせ-紙の書籍と電子書籍の内容の差異について
>電子書籍における表現・描写・その他の修正に関しましては、
>各電子書店のレギュレーションに則った内容で配信されますので、
>同名タイトルの書籍コミックス、並びに各電子書店によって一部内容が異なる場合がございます。

少なくともワニブックスに関しては「出版側ではなく電子書籍書店のレギュレーションに沿って内容変わってるよ」と明言していますね。場所わかりづらいけど。

……というかワニマガジンぐらいしか無いな……コアマガジンも若生出版も明記してないな……。
DMM:デジタル配信サービス利用規約-3.免責-2 当社は、本サービスによって利用者が得るコンテンツの正確性、完全性、有用性、安全性を保証致しません。
DMMの規約だとこうなってて、『完全性を保証致しません』ってことで一応説明はしてる……のかなぁ? 
そういった「紙の書籍とはまったく違っている、商品価値に関わる問題」に関しても、
特に説明がなされていないというのは正直どうなんだろうなー……というのが率直な感想ですね。
というかKindleだけじゃなくてDMMでもブックウォーカーでもそうなんだけども。うーん。

あと角川系の電子書籍だと、
・本作品を示すサムネイルなどのイメージ画像は、再ダウンロード時に予告なく変更される場合があります
という一文が奥付に入れられている(艦これアンソロ佐世保鎮守府篇4で確認)んですが、
これまた『イメージ画像』がどこにかかってくるのか(あくまでも端末での書影のみなのか本文にもかかってくるのか)がわかりづらいなぁと。
実物なしで場所を取らずに楽しめる、という強みの一方で、『そのコンテンツの同一性は担保されない』。
それが電子データの特徴なのは先述したとおりですが、事前にそういったところの具体的な説明がなく、
通知機能に関しても事実上投げっぱなしなのは、ストア側、そして出版側の怠慢と不誠実である。
そう言わざるを得ない印象です。
4:最後に

電子書籍も今後はリリース点数の増加とリリースペースが上昇していく中で、
やる気のないストアは淘汰されていき、それにともなってのストア再編があるでしょうし、
Kindle、楽天Kobo、ブックウォーカー、イーブックジャパン、Honto、DMMの6店ぐらいに落ち着いて、
その中で各社がしのぎを削るようなことになるのでは無いかな、と思っています。
あとレンタル電子書籍のパピレスぐらいかな。

そういった少数の大手による寡占が進んでいく中で、既存の「気づかぬうちにデータ更新」や、
「更新内容をまったく何も教えないまま」という体制が引き継がれていっては、こちらが不利益を被るわけで。
ただ、ストア側だろうと出版社だろうと自発的に改善する方向に行くはずもないのが世の常。
今のうちから早め早めに、「最新版が利用できると書かれていますがこれはどういうものですか」
「表紙が/性器部分の修正が勝手に変更されていますがこれはどういうことですか」などなど、
細かく問い合わせを入れて、きっちり「ユーザーの方を向いたサービス」を要求していったほうがいいでしょうね。

物理的に書籍の保存限界を迎えているユーザーからすれば非常にありがたい販売形態ですし、
去年一年間で300冊近く電子書籍を購入しており
(そのうち何冊読んだのか尋ねるのはやめようね)
「置き場所がないし……」で今までスルーしてきた書籍群や、今まで読んだことのなかった過去の作品群を青空文庫による無料配信でサクサクと読むことが出来たのは、読書ライフの充実という部分で非常にありがたいもので、
今後も電子書籍との付き合いは長く続いていくだろうと思います。
だからこそ現状のストア側・出版社側の姿勢のあれこれをもう少し正していただきたいなぁと思うわけです。

セールだけがユーザーへのサービスであるわけも無し、「あぁ、別に通知なくてもクレーム来ないね」
「性器の修正変えたデータにしてもクレーム来ないね」とか思われて、
現状が当たり前、ユーザー軽視したまま走っちゃっても大丈夫……という風潮をこのまま放置しても、
こちらに何もメリットはありませんし!
アップデートがあるなら内容を説明する、そして買ったユーザーにはメール(あるいは商品ページ)で伝える。
ゲームメーカーがごく普通に実施していることではありますが、そういった方向に進んでくれますように……!