視聴映画感想
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■12年11月26日『愛と誠』

幼い時に雪山で見知らぬ少年に助けられた早乙女財閥の令嬢、愛。
自分を救ってくれた少年への恋心を持ち続けて迎えた高校3年生のある日、
新宿の地下街で成長した少年と再会を果たす。
だがその少年、誠は超一級の不良少年へと変貌していた……。
父親の力を借りて誠を少年院送りから救い出し、自分の通う名門・青葉台学園へと編入させる愛。
献身的な愛情を注ぐ愛だったが、誠は愛を疎ましがっていく。
さらに問題を起こし青葉台を退学となった誠は転校先の花園実業でも様々なトラブルを起こす中、
一人の少女と心を通わせていく……。
誠が抱えているものとは何なのか?愛の心は誠に届くのか?
愛と誠の二人に幸福は訪れるのだろうか……?



っと言うことで、梶原一騎・ながやす巧によるコミック『愛と誠』が36年ぶりに映画化され(通算4回目)、
監督が『あの』三池崇史監督……予告編を見る限りトンデモねえ作品になってることは間違いなしだよなぁ!!!と思ってましたが、
いやぁこれは良かった!!!俺達の三池監督だ!!!
具体的には『カタクリ家の幸福』のスーパーパワーアップ版だこれ!!!!!

三池崇史監督と言えば最近の映画クラスタ的には『悪の教典』が注目作だったり、時代劇クラスタ的には『十三人の刺客』が好評で、
特撮クラスタ的には『ヤッターマン』『ゼブラーマン』『ウルトラマンマックス』の15話・16話(主に16話)で大人気、
ボンクラ映画クラスタ的には『スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ』『妖怪大戦争』と言ったところでしょうか。
あと特定クラスタからは
「あぁ、竹内力と哀川翔が悪魔合体するあの映画の」
「ラストでロケットランチャーと元気玉を撃ちあって地球が爆発するあの映画の」
「石橋凌がチンコと眼球に針を打たれるキリキリキリキリーな映画の三池監督ですか」
とか言われそうですが、
さとっちさんの初体験三池崇史映画が『カタクリ家の幸福』で(より正確には監督をちゃんと意識してみた映画)ありましてな……。
あそこで「あぁ日本にもミュージカル映画をこんなエネルギッシュに撮れる人がいたか!!!」と感動したんですが、
そっから10年、いやぁ三池監督パワーアップして帰って来ましたおかえりなさい!!!!!(何)


まぁストーリーに関してはもう古典だし特に解説したりする必要がないと思うんですが、
いやぁ良い映画でしたね!!!実にバカバカしくエネルギッシュで猛烈にパワフルな作品になっており、見ていて全く飽きません。

誠役の妻夫木くんの暴力性は思う存分に発揮されてますし、
棒演技と呼ばれる武井咲も「勘違いした猪突猛進型一途バカお嬢様」のキャラに合ってますし、
出番が少ないながらも脇を固める一青窈と市村正親の歌唱力は楽しく、そして唐突に現れる高校生・伊原剛志。
アカンこれ『岸和田少年愚連隊』のカオルちゃん枠や!!!!!!三池監督良い意味で成長してねえ!!!!!!
むしろ『クローズZERO』とかで経験積んだぶんノリノリになってる!!!!!!!

愛が「一途に主人公を愛するお嬢様」から、先述したように『勘違いした猪突猛進型一途バカお嬢様』という方向へと変化し、
まぁ基本やること全部が善意に基づきながらも、誠の邪魔にしかなってないというあたりのズレっぷりが非常に楽しいんですが、
そこに入るツッコミがことごとく良いテンポで非常に見ていて楽しかったですね。


というか眼鏡クラスタ的にも非常に見逃せないといいますか、愛に情熱的な恋心を抱く青年、岩清水弘がもう……!!!

「眼鏡眼鏡言うな…! 眼鏡は…顔の一部なんだぞ!!!」

「眼鏡をバカにするやつは……眼鏡に泣くぞぉ!!!!!!!!」


など、眼鏡者であることの誇りを持ち続け眼鏡者であることへの否定には敢然と立ち向かうこの心意気……!!!!
我々的には「美少女キャラだったら間違いなく惚れていた」クラスのキャラなんですが、
その眼鏡者であるところを除いても非常に良い活躍を見せてくれます。
終盤、愛を助けるために誠の元へ助けを請いに来るシーンはグッと来ましたねぇ……。
それまでの愛への心情の描かれ方も非常に良いので、ある意味では誠よりも『愛にとっての救い』になってると思います。本当。
彼の場合は一貫してブレてないんですよねぇ。いや、ストーカーと言われたら否定出来ないけどな!!

というかですねぇ!!岩清水くんの視点からこの作品の物語を追っていくともうね!!!岩清水くんマジ良い奴。
告白すれども「付き合ってくれ」と強いることはせず、愛の幸せだけを祈り、愛が危険な目に合いそうならば
不良である誠とも戦いを避けず、『自分の願いは愛が幸せになること』と貫き通し、
最後は自己満足に陥ること無く、『本当に愛を助けられるのは誰か』正しく心得た言葉で恋敵の誠を動かし、
愛の無事と幸せだけを祈るとかもうホンマに……!!!!!!
彼は2012年の眼鏡男子キャラの中でも名前をシッカリと刻み込めるぐらいの逸材ですよ……。
というか気付いたらZoffとコラボしてるしな!!岩清水モデルあるしな!!!
岩清水弘プロデュース 君のためなら死ねる!「愛と誠」早乙女愛 公式サイト

そして『カタクリ家の幸福』成分はというとミュージカルシーンで思う存分に発揮されており、
60年代から70年代のナンバーに合わせて歌い踊り、乱闘シーンが組み込まれます。
『また逢う日まで』『激しい恋』『酒と泪と男と女』『あの素晴らしい愛をもう一度』『夢は夜ひらく』『空に太陽がある限り』
などなど、劇中年代とちょっとだけズレてる曲も入ってきますがそのへんはご愛嬌。
しかしそんな楽曲のおかげで本当にエネルギッシュで楽しくて『バイオレンスだけど痛々しくない・楽しい』映画に仕上がってます。
さすがに終盤は減るけどね。
というか個人的にはあんなにもカッコいい『オ○○○○年○ン』が聞けるとは思ってもいませんでした(笑)。
興味がある人はシネマトゥデイがYoutubeに動画をサンプル公開してるんで見てみるといいかもー。
映画『愛と誠』 - シネマトゥデイ

久しぶりに痛快なエンタテイメント作品を見たなぁ……!!!という気持ちになる一本で、
個人的には大満足ですね……単なる過去の名作の実写化、というだけではなく、
ストーリーは決して原点を外さずに、しかし嫌というほどの『楽しさ』を詰め込んで描き方を一捻りした辺り、本当にお見事!!

・BDはこちら→愛と誠 コレクターズ・エディション 期間限定生産(2枚組) [Blu-ray]
・合わせて見るなら→カタクリ家の幸福 [DVD]
■12年11月25日『ダーク・シャドウ』

魔女からの求愛を受けながらも他の女性を愛した結果、愛した女性を殺され、
自らも呪いによって吸血鬼となってしまったバーナバス。
更に魔女の奸計によって棺桶に閉じ込められ、深い地中へと生きたま埋められるという苦しみを味わうことになるが、
それから200年後、とある工事作業で棺桶が掘り起こされ、封印していた鎖が切られたことで現世へと復活を遂げる。
父と自分が興した町、そして愛する我が家へとたどり着くバーナバスだったが、そこで目にしたものは没落した子孫たちの姿だった。
父からの教えである「何よりの宝物は家族だ」の言葉、そして自らの誇りにかけて一家を再興させようとするバーナバスだったが、
その前には再び魔女が立ちはだかるのだった……。
バーナバスは200年のジェネレーションギャップと魔女の妨害を乗り越え、一族に再び栄光を取り戻させることが出来るのか!?


はいみんな大好きボンクラ映画監督ティム・バートンの作品でございまして。
最近のバートン監督と言えば 『チャーリーとチョコレート工場』やら『アリス・イン・ワンダーランド』で比較的家族向けの映画を作りつつ、
『リンカーン ザ・ヴァンパイアハンター』も作ったりしていてだんだん好き放題勝手やってるなぁという感じになってますが、
本作はまたもやジョニーデップと組んでの作品で、原作は40年以上前のTVドラマシリーズでございます。

結論からいうと『かなり惜しい』作品で、色々と詰めが甘すぎるというか、
やりたい要素(あるいは原作のエピソード)を2時間ちょっとの中に入れこむのに失敗してるというか、
ものすご〜く大雑把な作りになっちゃってるなぁという。何も考えずに見たとしてもまぁ、うん……キツいかな……。

200年の時を経て1972年に蘇ったバーナバスは自動車も知らず、テレビも知らず、マ○○○○ドの看板を見て
「メフィストフェレス……!?サタンめ私を惑わそうとしているのか!!」とか叫びだしちゃう愉快っぷりなわけですが、
そこら辺の「200年後のテクノロジーに右往左往する吸血鬼」というコメディ要素もほんの少量で終わりますし、
いきなり現れて「私は君たちの親戚だ」と名乗るバーナバスを不審がる子孫たちとの関係の描き方も薄く、
ロマンス要素も突然始まってなんか良い感じになっているため全然感情移入できず、
バーナバスが頭首だった時代から発展させてきた街と家との関係性も希薄でな…。
ラブロマンスを描きたいのか、家族(一族)の絆を描きたいのか、呪いとの戦いを描きたいのか、
それとも『町における一族』の復興を描きたいのか……そのどれもが中途半端かつ大雑把な描かれ方なため、見ていてかなりイライラしましたね……。

200年前から生き続けてバーナバスの一族を苦しめ続けてきた魔女との描写は凄く良かったんですが、
他の部分のワリの食い方が非常に惜しいし、正直「もっと的を絞ってコンパクトに纏めて欲しかった」と思います。
少なくとも街の描写は全面カットでも良かったよなぁ、うーん。あれほどドラマに絡んでこないとは。

とはいえ時代がかった(本人的にはごく普通の)喋り方をするバーナバスを熱演するジョニーデップは見事ですし、
あくまでも人間でありながらもバーナバスと手を組み、『家族のために』戦う現当主エリザベスもお見事。
キャストの部分では文句のつけようが無いと思いますね。
何よりもヤサグレ娘を演じるクロエ・モレッツが超かわいい。ヒットガールかわいい。
……いやまぁそんなヤサグレ娘も最後の最後にあの展開っていうかお前それはちゃんと伏線入れとけやバートン!!!!!!
あのワンシーンで説明してるつもりならあまりにもやっつけ仕事だろうが貴様ァ!!!!!!


あとどう考えてもこの映画で最大の勝ち組はデヴィッドの父親。異論は認めない。


……おかしい、「まぁ微妙だけど面白かったよね」と見終わったあとは思ったのに、文字に起こすとフルボッコだよ…!?
まぁバートン監督が好き勝手に昔好きだったコンテンツをいじくり回してキャッキャ言いながら遊んでるだけの映画だと思えば、
ワリとまぁ許せるというか「まぁバートンだし仕方ねえな」とも思えるのがあれなところではありますが。
だんだん「まぁボルだしな」「まぁベイだしな」に続いて「まぁバートンだしな」という閾値ができつつある今日この頃です。はい。

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■12年11月24日『アポロ18』

人類を月面に送り込む快挙を達成したアポロ計画。
だが予定されていたアポロ20号までの計画は、『予算削減』の名のもとに17号の打ち上げを最後に終了してしまう。
それから40年が経過し発見された一本のフィルム。
そこには公式には打ち上げられていないアポロ18号のクルーが、月面で体験した出来事が記録されていた。
彼らが体験したものとは一体何だったのか。
NASAは何故、合衆国政府は何故アポロ計画を凍結したのか……。



っということでアニメの『宇宙兄弟』ではとうとう日々人が月面への着陸に成功、
物語的にもここから終盤へ突入していくのかな……?というところですが、
フェイクドキュメンタリーで『アポロ計画の真実』を語る映画が出てきましたのでさくっとレンタルで見てみましたが、

やぁ


うん











ちょっとMMR呼んできてキバヤシに語らせようぜこれ。



ものすごーーーーーーーくぶっちゃけて言いますと、
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と『パラノーマル・アクティビティ』と『エイリアン』を足して割ってC級映画にしました、がこの映画ですね!!!

ネタバレを避けても「月面で恐ろしいことが起きたのでアメリカ政府がビビってその後の計画やめました」
そんな説明で終わってしまうわけですが、まあx,うん、物語の内容的にはそれで良いとしようじゃないか…(良くないけど)。。

しかし如何せんその物語を見せる方法が下手くそだといいますか、
60分すぎる頃合いまでほとんど何も起きない・怖くない・それ以前に面白くないという三重苦でありまして、
見る人はまず何よりも自分自身の眠気と全力で戦う羽目になると思います。さとっちさんみたいに。

ちなみに中盤以降はちゃんと『恐怖』が描かれますが、アレ系映画の特徴である『説明なしで投げっぱなし』を踏襲しているので、
見てて本当にもうね!!!お前それでいいんかいというね!!!!!

もちろん、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』とは異なり、
アポロ計画という『実際にあった出来事』をモチーフとしてそこへ陰謀論、政府により隠蔽された出来事……というフィルターをかけ、
「これが実際に起きたことなんです」で月面と着陸船内で撮影された映像、という触れ込みの映像を流すという取り組みは、
フェイクドキュメンタリー形式のホラー映画の中でもかなり優れた部類になるとは思うんですが。

ただ、うーん、やっぱりねぇ……その『It based on true story』な部分を生かしきれず、
なおかつ途中まで驚くほど退屈な時間が続いてしまう、という部分は全く評価できないかなと。
その途中段階が面白ければ(宇宙兄弟的な意味で)また評価も違ってくるんですけども……。

個人的には『パラノーマル・アクティビティ18』とかのタイトルでこれが作られてたら笑顔で見れたんだろうなぁと思います。
映像表現だけはまぁ頑張ってたんじゃないかな、というところが評価出来るポイントかな。
いえまぁそれでもこれをオススメする度胸はあまりないといいますか、これならみんな『アイアン・スカイ』見ようぜ!!!という(笑)。
同じ月面での出来事でもあっちのほうがタノシイヨ!!!!!(そらジャンルがまず違うからな)

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■12年11月20日『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』

っということで、先日アメリカ合衆国の大統領選挙が無事に終了しオバマが再選となりまして。
CNNやらABCやらを追っかけてますと、アメリカの選挙は選挙であるという以前に一つの『お祭り』なんだなぁと思う今日この頃。
まぁ日本でも解散総選挙に向けて(12月16日投票だからみんな行こうぜ)色々と動きが活発化しておりますが、
自分たちの手で国のトップ、大統領を選べる、っていうのは本当デカいよね……。
んで今回の一本はそんな大統領選挙の予備選挙、各党の候補者を一本化する予備選挙を舞台にした作品です。


アメリカ大統領の座を目指し、民主党予備選挙に出馬したペンシルベニア州知事、モリスを支える選挙スタッフたち。
その中でも将来を嘱望される若き広報官、スティーブは最大の山場であるオハイオ州の予備選挙を控え、
対立候補であるブルマンに確実に勝利するべく動きを進めていた。
ところがある日、ブルマン陣営の選挙参謀ダフィから密会を求められ、「モリスは負ける。うちへ来い」と告げられる。
選挙の行く末を決める大物、トンプソン議員の取り込みに成功したと告げるダフィの申し出を拒否するスティーブだったが、
数日後、インターンで選挙スタッフに参加している女子大生モリーと一夜を過ごす中、彼女の携帯に一本の電話が。
それはスティーブが最もよく知る人物からだった。
ダフィの言葉とモリーへの電話、そのふたつがスティーブの運命を大きく揺るがし、モリス陣営を混沌の中に叩きこんでいく……。


タイトルになってる『スーパー・チューズデー』は大統領選挙がある年の2月または3月の火曜日、
多くの州で一斉に予備選挙が行われて代議員を獲得出来る日を指し示しまして、
この作品でもそのスーパーチューズデーを控えての候補者陣営の動きが描かれた作品です。

相手陣営の参謀の引き抜き、メディアを使った牽制、大物議員との裏取引、そういう生々しいやり取りは、
「そりゃまぁあるよねぇと思ってる」ことではありますが、かなり赤裸々にぶっちゃけられて描写されてたり。
議員の支持つっても結局はそりゃ将来のポスト約束が条件だよねぇ……とかね。
実際に04年の民主党予備選挙でハワード・ディーン候補の予備選挙スタッフだった人の書いた戯曲が原作だけありまして、
全体的なリアリティが半端じゃありません。

でもそれ以上に、信念を持って、モリス知事の正義を信じて動いてきたスティーブが予想外の事態に見まわれ、
自分が持ってきた『信念』を揺るがされた時、どう行動するのか、何が起きるのか。
そこを上手く描いた非常に怖い映画だといいますか。ええ。ラストシーンのスティーブが本当に怖いと感じましたね……。

タイトルにある通り『正義を売った』スティーブの行動、それがもたらす選挙戦の結末、そしてスティーブの運命の先、
そういう点を踏まえると、政治・選挙が舞台になっていますが、描いてるのは「人間の成長」だと思います。
その成長が果たして見てる側にとって心地よいかどうかはまた別ですけどね(苦笑)。

監督はジョージ・クルーニーですが、静かに抑えて物語を描いていく演出が非常に良い緊張感とかを出しており、
こういう作品にはおっそろしく向いてるんじゃないかな…などと思ってみたり。まぁ自分自身も出演してるからかもしれませんが……。

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■12年11月10日『シャーク・ナイト』

試験を無事に終え、一夏のバカンスで湖へと遊びに来た大学生のサラ達6人のグループ。
思い思いにバカンスを楽しんでいた彼らだったが、ウェイクボードを楽しんでいたアメフト部のマリクが
『何か』に右腕を食いちぎられてしまう。
医学生のニックが必死の応急処置を試みるも出血はひどく、携帯は圏外で救助は呼べない。
マリクを助けるべく、ボートで町まで運ぼうとするが、ボートもまた『何か』に襲われ、もう一人の犠牲者が……。
サラたちは『何か』の正体がサメであることに気づき、地元の保安官たちの助力を得てこの状況から脱出しようとするが、
それは最悪の選択肢だった……。


『何故か安全なはずの場所にサメがいる!!!!と言えば『レッドウォーター鮫地獄』を思い出す人も多いかと思いますが(そうかなぁ)、
本作ではみんな大好き殺人ビデオを作るための舞台装置……という作り。
塩水湖に多種のサメを放流し、遊びに来た連中がサメに食われる様子をネットで配信するぜヒャッハーな地元連中の罠に飛び込んでしまった大学生たちが、必死に生還を模索するサバイバル系の映画となっています。

ただこの手のサメ映画に付き物(そして楽しみ)である『馬鹿な若者』成分は非常に抑えられており、
どっちかというとほぼ全員が良い奴なので(もちろんバカ女は存在するけど)見ていて忍びない、といいますか。
「サメさんやっちゃってください!!がぶっと!!!」とか思うことなく見終えることになったのは初かもしれません(苦笑)。
いや、俺この手の映画でおっぱいが出てこなかった作品とかめっちゃ久しぶりかもしれないよ本当!!!!!!!

その代わりに地元連中の腐れ外道っぷりが強いんで、連中がその報いを受けるシーンで溜飲を下げる、というところでしょうか。

サメの種類は大型から小型まで結構多めになっていますが、『遺伝子操作で異常な知能を身につけた』とか『突然変異の超大型』とか
『何故か頭が2個あるけど特に理由は明かされない』とか『何故か土の中を移動できるけど特に理由は明かされない』とかのミュータント系ではなく、そのサメ本来の生態で動いてる感じが良いですねぇ。
ダルマザメの『群れで獲物を襲う』シーンなんかはなかなかグッと来ます。

ただ、いかんせん『人が人を殺す』という描写ではなく、『サメに人を喰わせる』という方向性のため、
この手の殺人ビデオ撮影ジャンルの肝である「人間がここまで残酷になれるのか」とかの恐怖は薄かったかなぁ。
何せサメに食われてるのを眺めてる限り、地元連中も単なる傍観者ですからね。このへんは実に惜しい。
積極的に学生たちをいたぶろうとするキャラがいることはいるので、そこに注目というところでしょうか。

『ホステル』ほど痛い系でもなく、『レッドウォーター鮫地獄』ほどサメが忘れられもせず、良い感じにバランスが取れた
『サメ映画入門者向け作品』という位置づけでしょうかねー、個人的にはもうちょっとハッチャケてくれても良かったんですが。

……と思ってたらエンドロールがとんでもねえ事になってるので、これは皆様見逃さないようにな!!!
いや、本編での抑えてたあれこれを監督キャストが何かこう!!あれな感じで炸裂させてる!!!!!(爆笑)
これは完全に不意打ちでした、やられたなぁ(笑)。

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■12年11月1日『The Raid』

麻薬王が支配する30階建ての高層ビル。
突入するは警察のSWATチーム20名。
任務はビルに潜む麻薬王を逮捕すること。
だが彼らは麻薬王の部下や犯罪者集団の待ち伏せを受け、形勢は一気に逆転してしまう。
刻一刻と減っていく仲間の数、失われていく装備。
孤立無援、脱出不可能の状況を切り抜けられるのか…!?


っと言うことで日記の方でもチラッと触れましたが見てきました『The Raid』!!!!!!
いやぁ凄かった凄かった、こんなにもシンプルで小細工抜きで一直線に突っ走り、
そして見るものをグイグイ引きこむパワーあふれる映画久しぶりでした!!!!!!!

冒頭からいきなり思う「いやその人数少ないだろ20人て!!!本当に捕まえる気あるのかよ!!!」というツッコミも、
ちゃんと理由がフォローされますし、みんなそれなり以上に強くてチームワークもあるのに、
チームワークもクソもない住人集団の『数の暴力』の前に成すすべなく壊乱していく辺りは壮絶。
その中で、生き残りの新人隊員(そして主人公)のラマが見せる格闘技『シラット』の冴えが!!!もう!!!!!!

ラマを演じてる主演のイコ・ウワイスは『ザ・タイガーキッド 〜旅立ちの鉄拳〜』でも見たんですが、
あの映画だと相手を制するために振るっていた技の数々が、今作では完全に相手を倒すため・殺すための技として振るわれており、
そんじょそこらの映画じゃ見れないキレッキレのアクションになっています。
トンファーとナイフの二刀流で、狭い廊下で十数名を相手にたった一人で無双するラマの動きはもう圧巻。
とにかくもう動きが美しいわ重さと鋭さが見事に合致してるわ、ワンカットでこれでもかというほど動きまくるわで、
文字通り『目が離せない』展開目白押しです。
予告編などで使われてるアクションも凄いんですが、「あぁ、ここ予告編で見たわ」にとどまらず、
え、あそこからこんなアクションにつながるの!?という驚きがあったりしますからね……。

銃撃戦もあり、刃物を使った戦いもあり、そして拳と足を使った格闘戦はてんこ盛り
とにかくもう『生身のガチアクション』というものをこれでもか!!!と魅せつけてくる作りの巧さは本当素晴らしい。

アジア映画だとトニー・ジャーの『マッハ!!!!!!!』なんかが鮮烈な印象を与えましたが、
あの作品ほど「見て見てこのアクション凄いでしょ!?」なスローモーションとリプレイの多用もありませんし、
マトリックス以降のアクション映画に多すぎる「演舞のように決まったところへ合わせるだけの軽い格闘技」でもありませんし、
まさにもう『肉・弾・戦!』という感じですねぇ、いやー本当見応えあった……。
『マッハ!!!!!!!』が掲げた『ノーワイヤー!ノーCG!ノースタント!』に加え『ノースローモーション!』も入れての一本、
いやぁ実にお見事かつ良い物を魅せていただきました……!!!!!!!

しかしこの映画、大ヒットを受けて続編の制作と、ハリウッドでのリメイクが決定しているようでして。
続編はともかくリメイクは「いやこれ超えるのは無理だろう」と思えてくるんですよね……それぐらいにアクションと魅せ方が抜群に上手い。
正直、ハリウッドでこの作品作るにはあまりにも……うーん、ここまで動ける人らを集めてなおかつここまで見せるアクションを出来るの…?
そういう不安しか浮かんでこないわけでございまして、正直あんまり興味が、うん。
そう行ってしまえるぐらいにこの映画、完成された傑作だと思います。皆さんこの三連休で見るとかどうですか!!!(バンバン)

・予告編はこちら(海外版)→The Raid: Redemption - Official Trailer HD (2012)
・予告編はこちら(日本版)→映画『ザ・レイド』予告編
・イコ・ウワイスの前作はこちら→ザ・タイガーキッド~旅立ちの鉄拳~ [DVD]
■12年10月29日『ジェヴォーダンの獣』

1764年のフランス、ジェヴォーダン地方で正体不明の獣が出現。
女子供ばかり100人以上を次々と殺害するも、誰一人として獣を狩ることもできず、
その正体はおろか足取りさえ追えないままでいた。
業を煮やしたフランス国王ルイ15世は博物学者のフロンサックをジェヴォーダン地方に派遣、
獣の追討と正体の解明を命ずる。
ジェヴォーダンに到着したフロンサックは調査を開始するが、予想を超える現実が立ちはだかっていた……。


何やらニコニコ動画で『ハロウィン海外ホラー特集』と題して生放送されてたっぽいですが、
「テメエあれのどこがホラーだ大馬鹿野郎!!!」と激昂した映画クラスタがこちらとなります。
いや、さすがにこれをホラーと分類したら他のホラー映画が泣くよ……?

じゃあ『ジェヴォーダンの獣』は何の映画だと言われましたらば『アクションミステリ』と呼ぶのが一番かなぁと思いつつ、
今ひとつ評価の分かれるところがある本作をちょいと感想書いとくのも良いかなぁということで、
ニコニコで見たわけじゃないんですけども(手持ちのDVDでな)さっくりと。

映画としては『フロム・ヘル』や『JFK』と同じで、「史実で実際に起こったが、謎が解明されていない」事件に対し、
制作側の用意した「こういうことじゃね!?」という解答を提示するタイプの作品となっています。
良い感じにアクション多めですし、この事件が起きた当時のフランス社会の情勢の知識があると「あぁ、なるほどねー」と納得できるものなのは確か。

ただ、ルイ15世という王様がフランス社会にどういう影響を与えていたかや、冒頭でも少し語られる『啓蒙主義』の広がりなど、
世界史的な部分の知識がないと楽しめない・今ひとつ腑に落ちない部分があるのも確かで、
そういう意味では『フロム・ヘル』なんかよりも少々難しい内容ではあるかもしれませんね……。

当時のフランスは新大陸(アメリカ)でイギリスとの戦争に負け、七年戦争でもプロイセンとイギリスに負けてエライこと落ち目、
さらに『啓蒙主義』が広まって絶対君主制やキリスト教自体も衰退の気配が見えていた、っていう歴史的事実を踏まえると、
登場人物たち(貴族階級ならびに教会の人間)の行動原理にかなり納得が行きますし、
新大陸で失ったものと得たものとのコントラストも鮮やかに浮かび上がるなぁと思います。
冒頭、この物語の語り手として出てくる男性の素性や、彼がこの事件の中で果たした行動、
そして彼がエンディングで迎える運命などもまた『18世紀のフランス』に於いての貴族階級というものの立場をこちらに簡潔ながらも印象深く刻みますしね……。

アクションについてはかなり良好で、フロンサックと義兄弟の契りを交わしたモホーク族の男(BL脳な方々には申し訳ないがそういう描写はないよ!!)、マニが見せるアクションの切れ味は素晴らしいですし、
『獣』とフロンサックたちの決死の戦いは高低差・奥行きを存分に使ったトラップ大会にもなっており、
非常にゲーム的なところはありますが、見ていて飽きません。
終盤のフロンサック無双は……うん、まぁ、何というか、サイヤ人だったのかな彼は(目を伏せながら)。
ちなみに相手役の使う蛇腹剣が非常にカッコイイので、あのアクションはぜひ見て欲しいところですね。
序盤の雰囲気ぶち壊しだけど!!!

上映時間が140分、というのはちょっと冗長(前半がもう少しテンポ良ければなぁ)ではありますね。
ラブストーリーとミステリとアクションと『当時の世情の描写』とを入れてしまい、どうしてもどっちつかずな印象はあります。
ミステリだけ、あるいはアクションだけ、に絞ってれば間違い無く一級品の映画だったろうになぁ、と。

でもまぁ『フロム・ヘル』ほど陰鬱な空気のままではないですし、『JFK』ほど理詰めで3時間半近くしゃべりっぱなしでもないので、
個人的にはツッコミどころもあるけれど面白い映画だと思います。
フランス映画はリュック・ベッソン監督だけじゃない!!!というところを知る意味でも、ぜひ見てもらいたい一本ですね。
……いやまぁこの監督も『サイレントヒル』以降は音沙汰ないんだけどな……。

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■12年10月26日 『96時間』

元CIA工作員として数々の修羅場をくぐってきたのも今は昔。
現役を退きカリフォルニアで引退生活を送っているブライアンは、
別れた妻と共に暮らしている娘のキムから、友人とパリ旅行へ行くための同意書へサインを乞われる。
若い娘二人での旅行に「危険だ」と首を振るブライアンだが押し切られ、定時連絡を条件に旅行への許可を出してしまう。

しかし不安は的中、キムと友人のアマンダはパリに到着した矢先、人身売買組織に拉致されてしまう。
拉致される寸前までにキムと交わしていた電話での数少ない情報を元に、パリへと単身乗り込み犯罪組織へ迫るブライアン。
「お前が何者なのかは知らない。何が目的かもわからない。身代金を望んでいるなら、言っておくが、金はない。」
「だが、俺は闇のキャリアで身につけた特殊な能力がある。お前らが恐れる能力だ。娘を返すなら、見逃してやる。」
「だが返さないならお前を捜し、お前を追い詰め、そしてお前を殺す。」

拉致事件で人質が無事だとされるデッドラインは96時間……孤立無援の状態で、娘を救い出す戦いが始まる。


っと言うことで先日とある動画で「Top 5 Dangerous Mafia」という危険極まるものがあったんですが、
その中で堂々のトップに輝いたジャパニーズヤクザ……はまぁともかくとして、
2位にアルバニア・マフィアがランクインしていたので、じゃあアルバニア・マフィアが出てくる映画を……ということで、
非常にシンプルかつ切れ味の良いシナリオでまとめあげた一本でございます。

バカ娘が調子に乗ってたら海外で拉致された、ではなく、
程々のバカ娘がさらに輪をかけてバカな友人(これがもう本当にバカの極みで彼女の運命には同情の念が湧いてこない)のせいで拉致されることに……
ということで、
バカ娘が「単なるバカ娘」ではなく、「バカな友人のバカ行動の巻き添え」という立ち位置になってるのも非常にプラス。
見ているこちらのストレスがいささかでも軽減されるのは良いですね(遠い目)。
いや、これが「自分のミスで拉致された馬鹿娘の尻拭いをする父親」だったらイライラしてたと思うんだよなぁ……!!!
そういう意味でも本当に脚本の作りが上手くて好感をもてますね。

ブライアン役はリーアム・ニーソンで、そこら辺のマッチョな俳優ではなかなか出来ない格好良さですねぇ。
ワイヤーアクションなどではない、純粋に「殺すための格闘術」の切れ味と、現地調達した少量の銃器を使ったアクションは小気味良く、
それでありながらも知性がシッカリと漂うあたりや哀愁の漂わせ方にはキャスティングの上手さを感じます。
……いやもう本当、先日見た『Black&White』とは雲泥の差やでアレ……!!!!

変に捻らず真っ直ぐなストーリーで「怒れる親父がパリを走り回って娘を助け出す」という物語作りには、
最近のハリウッド映画が追い詰められまくってアメコミ原作やら続編祭になってる状況を打破できるものがあるなぁ、と思ってましたが、
何かこれも続編が公開されるようで……うん、大丈夫かなーこれと思ってはみたものの、
どうも今作での行動がアルバニア・マフィアのボスを怒らせ、今度はブライアン自身が標的に……という模様。
これはこれで『ダイハード3』で見た展開のような気がしないでもありませんが、いやぁこれはこれで楽しみですね!!
しかしフランスではどんだけアルバニア・マフィアって恐れられてるのコレ……(震えながら)。

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■12年10月24日 『貞子3D』

貞子が画面から飛び出すよ!!!!!
いつもズルズルあなたの隣に這い出る混沌、山村貞子、でっす!!!!!


……いや、うん、これ以外に説明できない……(遠い目)。

いやまぁ一応、あれ、ストーリーはあるんですよ。

人気エアブラシアーティストがネットで大爆発炎上カマした末にニコ生で自殺を実況配信、
その自殺放送を見てたユーザー(たったの5人)が後日、同じ日の同じ時間帯に不審な死を遂げる。
さらにその自殺動画はミラーがアップされては運営に消され……を繰り返すものの、
運良く(悪く?)見てしまった人間は謎の死を遂げるという都市伝説と化していく。
主人公の茜が勤務する女子高でも呪いの動画ムーブメントが起こり、ついに一人の生徒が変死。
さらにもう一人の生徒も動画の再生に成功、画面から女性が這い出て首を絞めつけてくるが茜の絶叫でモニタが割れ、
事なきを得る。
実は茜には隠し続けてきた超能力「絶叫するとモニタやガラスが割れる」があったのだ……



……すいませんあらすじ書いてたらだんだん面倒になってきたんで
『画面から半身だけ這い出てくる山村貞子VS超音波シャウト女 世紀の激突!!!』とかでいいですかね……。

とにかくもうこれ、アレだ、3D環境で見るか見ないかで評価が大きく食い違ってきそうだといいますか、
『貞子が這い出るよ!!!』というギミックの部分にだけ全力投球してボディがガラ空きという感じになっておりまして。
自宅視聴で『3D』という要素をスポイルしてしまうと途端に見るべきものがない映画になってしまいますねこれは……。
かといってコレを3D環境で見て面白いかどうかはまた別の話ですけども!!!!!!!

何というか『大炎上した人気アーティスト様の自殺生配信』なのに視聴者数が5人しかいない壮絶な過疎っぷりには涙が出ますし、
その人気アーティスト様がやってた計画も何というか迂遠かつ壮大な時間の無駄感が半端無く、
でもその計画のせいで半端復活しちゃった貞子、というあたりには思わず天を仰いで「どうしてこうなった」と思わずにいられません。

さらに「動画を見た人間を殺す」のもかなりの実力行使なストロングスタイルへと切り替わっておりまして、
貞子さん前まではもうちょっとスマートにやってましたよね…?とか、
いや待て『量産型貞子強攻型(多脚仕様)』とかそれは俺の知ってる貞子じゃねえ!!!!!!とか、ツッコミどころの数は随一、
まさに制作側の手のひらの上で踊らされてる感じが半端ないところではありますが、
多分このツッコミどころの数は天然だな……意図しての物とかいう話じゃねえな……とも思いましたり。ええ。

一応過去のリングらせんシリーズとも関係があるようではあり、
茜の恋人の名前が『安藤孝則』だったりする点には過去作を知ってる人はニヤリと……する…かなぁ…(悩)。
いやまぁこれどっちかというと過去作と切り離されてた方が幸せだったかもしれません。
原作小説の『S(エス)』によると、『らせん』と『ループ』の間に存在する話らしいんだけどね。
つまりは多分アレだ、仮想現実の中で起きたこと…ウワァ……(遠い目)。

しかしこの貞子さんの変遷を見ていると何か色々と心あたりがあるというか、
なんつうか……日本版のフレディ・クルーガーみたいなことになってますね貞子さん。
最初は純然たる恐怖の対象(でも少しだけ可哀想)なのに、今ではすっかりダメな子アホの子の側面が……!!!

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■12年10月23日 『バトルシップ』

ハワイ沖で各国海軍艦艇が参加する環太平洋合同演習(リムパック)が開催され、
各国の艦艇と乗員たちが今年こそ他国に勝利せんと気合を高める中、宇宙から5つの飛行物体が地球へ突入。
それは太陽系外の惑星との更新を試みる国際ビーコンプロジェクトにより発信された信号に導かれ、
地球へとやってきたエイリアンたちであった。
リムパック実施海域の近くへ落下した物体の正体を探るべく接近する艦隊だったが、
謎のバリアによって先遣艦隊が完全に孤立、閉鎖空間内でエイリアンの母艦との戦端が切って落とされる。
レーダーに映らない敵、圧倒的な火力の差、先遣艦体の生き残りは駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズのみ。
絶望的な状況の中、救出された海上自衛隊の長田一佐が提案した戦術により活路が開かれていくが……?


っということで『月面からナチスがやってきた』映画を紹介したら、まぁ外宇宙から飛来した異星人物を紹介したいよね、ということで、
これまた気楽に見れる一本でございます。

日本ではあまり馴染みのない『バトルシップ』というボードゲームを原作にエイリアンの艦隊との戦争映画を作るという、
何というかこれまた発想としてはものすごいウルトラCを叩きこんできた感じがありますが、
いやぁ実に気楽に見れましたね!!!!!

『レーダーが使えない』『孤立無援』『敵は複数』という結構絶望的な状況を、駆逐艦一隻でどう切り抜ける……?という海戦パートと、
『ハワイの通信施設に陣取ったエイリアンたちをどう排除する?』という陸上パートに分かれていますが、
陸上パートの方はツッコミを入れ始めるといろいろ止まらなくなるので流しましょう。……親父に電話しろと何回思ったことか……!!!

海戦の方は良かったね!!!海上自衛隊の『みょうこう』も出てますしね……いやまぁ一瞬だったけども。
何故か127mm単装砲があたごに配備されてるタイプの形状になってたには一体……(軍クラ脳)。

物語的にも至ってシンプルで「人類がヤバイから異星人の船を叩け!!!」という至極単純なストーリーがメイン。
過去のイザコザで犬猿の仲だった『みょうこう』艦長の長田一佐と、JPJの砲術士官であるアレックス(主人公)が協力しあい、
反撃のプランを練り、実行し、勝利へと近づいていく……という辺りは典型的なバディムービーの様相ですが、
その二人の考えで艦内各所が流れるように命令を実行していく辺りの心地よさもあるんですよね。
「アレックスで大丈夫かよ」「長田一佐はウチの海軍じゃないだろうに」とかの思いが溶けて、ひとつの艦船、プロフェッショナルの集団として動き始める辺りのカタルシスはやっぱり良いなぁ。

そしてタイトルになってる『バトルシップ』は単なる原作ゲームへのリスペクトだけではなく、ちゃんと『戦艦』も登場しますといいますか、
場所がハワイということで記念艦として保管されている戦艦ミズーリが久々にスクリーンへ復活。
相変わらず巨大な艦体を震わせて異星人の超巨大母艦と正面切って殴り合うに至っては、
血中の燃え濃度が爆裂に上昇しますね本当……主砲副砲重機関銃に機関砲ありったけ持って行きやがれ!!という(笑)。
いやまぁ一番の燃えポイントはミズーリの活躍そのものよりも、アレックスたちがミズーリに辿り着いてから動き出すまでの流れかもしれませんが(笑)。

深く考えずにだらりと見ながら随所随所で「おぉー」と思ったりするには良い映画ですし、
字幕が戸田奈津子だという点を考えると、まぁ吹き替えで見るのをオススメしたいところですね!!!

しかし『大切な家族の喪失』『ライバルとの和解』『激戦の果ての勝利』『帰還して英雄に』『恋人との物語』などなど、
実に典型的なアメリカン戦争映画の要素で構成されてるなぁ……といいますか、
痛快な娯楽戦争映画を撮るには時代と世界がちょっと複雑になりすぎてて、敵を『宇宙人』にでもしないと……って時代なんだなぁと。
それが良いか悪いかはともかくとして、80〜90年台の『悪の帝国倒したぜヒャッハー!!』な映画が懐かしくもなってくる今日この頃です。

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■12年10月23日 『アイアン・スカイ』

第二次世界大戦で敗北したナチスドイツ。
その残党は月面へと逃れ要塞都市を建設、来るべき地球帰還と世界征服への準備を着々と進めていた。
しかしある日、アメリカの宇宙飛行士が月面着陸ミッションを成功させる中で
ナチスの要塞都市を目撃してしまう。
宇宙飛行士を地球からの月面侵略部隊の尖兵だと思い込んだ月面ナチスは地球侵攻作戦を発動、
今ここに人類VS月面ナチスの戦いの火蓋が切って落とされた……!!!


はい、まぁそんなことで2008年ぐらいに情報が公開され「おいフィンランドがとんでもねえモン作ってるぞ!!」と話題騒然、
むしろこれ本当に作れるの……?いろんな所からの横槍で潰れない……?と心配になった人も多かった本作ですが、
日本でも無事に公開の運びとなりまして、まどマギの前編と一緒の日に見に行ったわけですが、
いやぁまぁ凄かったね!!!!何というか、けなすところがない(笑)。

実際にはPVなんかから想像するような戦争モノとかアクション満載の作品ではなく、
ブラックジョークと政治風刺ネタとが大半の政治風刺コメディに仕上がっているんですが、
随所随所に「俺はこういう画が撮りたいんだ!!」という制作側の意気込みを感じるシーンが盛り込まれ
全体的にすごい熱量の作品に仕上がっています。

チャップリンの『独裁者』を上手くネタとして昇華してみせたなぁ!!という爽快感(あの扱いはお見事だった)、
アメリカ大統領選挙を見事に皮肉ってみせた中盤からの展開には、今まさにアメリカがオバマとロムニーでグッダグダと討論会やってるのを見てるといろいろな思いがこみ上げてきますね(苦笑)。
しかも本作での大統領はサラ・ペイリンだしな!!!!(白目笑顔)。

政治風刺コメディという作品ではありますが、地上・宇宙での戦闘シーンも後半にはシッカリと入れ込まれ、
アダムスキー型UFOの形状をした月面ナチスの戦闘機を搭載してるのがヒンデンブルグ号みたいな飛行船型宇宙船だったり、
アメリカの持ちだした秘密兵器が『ジョージ・W・ブッシュ』だったり、いや待てお前ロシアはそれかよ!!!!!だったりといった、
「バッカじゃねえの!!!!」と大笑いしながらもワクワクさせられるメカニック部分は素晴らしい。
何というか、ちゃんとお金をその部分へ突っ込んでるなぁと(笑)。

あとまさか、こう、アレだ、ブルーノ・ガンツ主演のあの映画の、日本でさんざんMAD作られまくってる『あのシーン』を、
まさかああいう形でパロって来るとか想像もしてなかったっていうかそのシーン必要だったのかよ!!!と思いつつ、
いやはやあの場面では本当に腹筋鍛えられましたわ……。

ネタバレせずには面白さを語り尽くせない程のネタとバカさと愛情がこれでも注ぎ込まれた逸品で、
エンディングの酷さ(褒め言葉)も含めて本当に愛すべき作品だなぁと思います(笑)。
何やら監督曰く続編も作ってる(アレの続編って一体どうなるんだ)らしく、今後の動向から目が離せないところですねぇ。
いやはやしかし最近の北欧映画は元気だなぁ(笑)。

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■12年9月30日 『Black & White/ブラック&ホワイト』

親友同士で兄弟のようにお互いのことを思っているCIA局員のFDRとタックのコンビが
ふとしたことから同じ女性と恋に落ちてしまう。
「友情を最優先にしてフェアに勝負しよう」と紳士協定を結ぶタックとFDRだったが、
徐々にその方向性はあさっての方向に吹き飛んでいき、CIAの装備をフル動員してお互いの邪魔をしあうことに……。


アメリカ映画で『ポップコーンムービー』と呼ばれるジャンルがありますが、
本作はまさにそれ……といいますか、何かを期待して見てはダメ、肩の力を抜いて何も考えずに見るのが正解の一本ですね。
『史上最大の職権乱用』というキャッチコピーから想像されるようなスケールの大きさは皆無なのでそこだけ注意ね!!!

プレイボーイのFDRと、恋愛不器用でバツイチなタックのコントラストは面白いですし、
二人の間で揺れ動くヒロインと、そのヒロインにいらんアドバイスしかしない親友の馬鹿さもライトで良い。
盗聴器に監視カメラに解析チーム、衛星から無人偵察機まで動員してお互いのアプローチを邪魔しあうあたりは、
『トゥルーライズ』のハリーがやってたことを現代版にブラッシュアップした感じですねー。
こういう職権乱用とスキルの無駄遣いはやっぱり見てて楽しいものがあります(笑)。

ただまぁちょっと下ネタ方面が炸裂しすぎてて、いささか以上に『品のない』映画になってるとは思います。
軽妙洒脱とかじゃなくて、下品でライトという。ここはちょっと予告編見て想像してたのとは違ったなぁ。
これはもう監督がマックGということで仕方ないですけどね……。
チャーリーズ・エンジェルの人だからなぁ……上品に、とか言うのを期待するだけ無理だよなぁ……。
なのでそのへんは事前に割りきって、というか覚悟して見るのをオススメ。

最終的にヒロインがどちらを選ぶのかは映画の序盤からちゃんと見てれば「まぁこの着地点しか無いよな」というのが見えてきますし、
それを裏切らない作りになっているのはお見事。
でもまぁ、お互いに友情を潰したくないという思いに駆られる主役コンビを見てると、もうタック×FDRでいいんじゃないのと思ったりですね(待て)。

ポップコーンムービーとしては以前に見た『ナイト&デイ』が最近では頂点突っ走る出来なので、
どうしてもそれと比べらてしまうのは苦しいところかも。というかオススメするなら『ナイト&デイ』だなぁ(苦笑)。

あとメインビジュアルから漂うコラ素材臭がすごいので誰かこれ使って一ネタですね(ぇー)

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■12年09月23日 『タッカー&デイル 史上最悪にツイてない奴ら』

ある夏の日、キャンプに向かう大学生のグループは途中立ち寄ったスーパーで不気味な男性2人に出会う。
ニタニタと笑う挙動不審な髭面の巨漢、無愛想な禿頭の中年男性……。
その場は何事も無く終わったが、その夜に湖で遊んでいたアリソンが行方不明になり、
不気味な男性二人のボートで運ばれていってしまう。
奇しくも場所は過去にキャンプ中の学生グループが虐殺され、犯人は未だ発見されていないという話のある地。
アリソンが殺される前に二人組を倒し、アリソンを救おうと決意する大学生たちだったが……

その男性二人は単なる『念願の別荘を購入して湖へ遊びに来た人畜無害なタッカーとデイルの二人組』だった……!

勘違いと偏見から生まれるとんでもないドリフ的な悲劇の連鎖、自爆していく学生たち、
警官をも巻き込んでの果てしない泥沼から彼らは抜け出せるのか……!?



っということで、ホラー映画のお約束である『田舎に行ったら襲われた』系の作品ではありますが、
見事にその『田舎に行ったら襲われた系映画』のセオリーを逆手に取って90分を走り抜ける、傑作と読んで差し支えない一本でした!!!!

襲われる側も襲う側も田舎に遊びに来たよそ者同士であり、殺人鬼なんか存在してないのにひたすら勘違いのお陰で人が死に、
落ち着いて話しあおうと思ったら今度は正義感を突っ走らせたバカが暴走してお膳立てをぶち壊す……。
「お前らちったぁ落ち着け!!!!!だがいいぞもっとやれ」と思いながら見てしまう、何というかとんでもない作品でした(笑)。

自爆していく大学生たちの死にっぷりも見事なまでのアレさ加減であり、
転倒する拍子に土手っ腹へ鉄杭が刺さったり(しかも持ってきたのは自分)、
ウッドチッパーに頭から飛び込んで上半身ミンチになったりと、あっけない系からグロ系まで各種取り揃えられており、
スラッシャー系映画としての要素もばっちりと。

勘違いから生まれる盛大な自爆と、それを見て更に勘違いが加速し学生連中がさらに憎しみを募らせる辺りは、
ホラー映画に結構多く見られる『本当に怖いのはモンスターや殺人鬼ではなく人間』という要素をしっかり踏襲していますし、
最近多い(多すぎる)ホラー映画のお約束だけで作りました、なB級映画とは一線を画する出来になっています。
巻き込まれてオロオロしてるうちにどんどん自体が悪化していく中で、タッカーとデイルが能動的に動き始める辺りからまた話がグッと転換してガッツストーリーの趣も出てきますしね。
そこからのカタルシスは素晴らしかったですし、非常に良いまとめ方になったんじゃないかなぁと。

冒頭に一瞬映る映像と最後の最後の映像がもうちょっとうまく結びつく仕掛け作りができてれば、とは思いますが、
アレはまぁ別になくても良いかなぁ…という所だったり。ここは実際に見て判断して欲しいかな。
ともあれ最近見たB級ホラー(風)作品の中では随一の出来と面白さ、見て本当に「楽しかった!!!」と思える一本でしたね!!


・予告編はこちら→Youtube:映画『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』予告編
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■12年7月5日『ゾンビ大陸 アフリカン』

死者が蘇り人を襲い始めるようになってから数週間。
駐アフリカ米軍は撤退を開始するが、燃料不足で最後の撤退機は墜落。
唯一の生存者となった機関エンジニアのブライアンは、母国アメリカへの帰還を目指して本国と連絡を取るべく
米軍基地施設を探しアフリカ大陸を歩みはじめるが
目の前にはゾンビの群れだけではなく、広大なサハラ砂漠と厳しい気候が立ちはだかっていた……。



ゾンビ作品としてはよくある『数少ない生存者によるサバイバル』ものですが、
いやーーーーータイトルのバカ映画臭からは想像もつかないものすごい真っ当なロメロオマージュを感じる逸品でしたね。

ゾンビの動きは非常にスローモー(ショーン・オブ・ザ・デッドよりも遅いかもしれない)、
数もそんなめちゃくちゃ多くはないので非常にマッタリモードな映画なんですが、
『本当に怖いのは人間』とかではなく、むしろ『生き残ることの難しさ』をしっかりと描いてるのが印象的でしたね…。

よくあるゾンビものだと市街地でのサバイバルだったり、(確実に半数が馬鹿な)仲間がいたりというのが定例ですが、
本作はとにかく『モノがない・気候が厳しい・地形が厳しい』中でのサバイバル。
照りつける太陽と高温に削られる体力、見つからない水源地、貴重な移動手段の車が故障すれば修理出来ない環境……。
そういった中で立ち往生すればゾンビたちに襲われるという緊張感は、下手すると『ダッシュで向かってくるゾンビ』よりも恐ろしいものがあります。なにせ生き残るための選択肢がハナっから少ないんだもん。

途中で西アフリカ軍の兵士と合流して二人でのサバイバルになりますが、
それでも限界があるんですよね。疲れもするし、眠ってしまうし、全周をカバー出来ない。
なのにゾンビたちは疲れることもなく、ゆっくりと着実にこちらを包囲してくる……。
こういう辺りの恐怖は最近久しくなかったので、非常に楽しめましたね。

演出やカメラワークも非常に良くて、アフリカ大陸の荒涼感をじっくりと見せてくれましたし、
これは正直、映画館とかブルーレイの画質良いメディアで見たかったかな(笑)。

終盤の展開も実にゾンビ作品として正しい絶望感があり、実に王道のゾンビ作品だったなぁと。
最近多い『ゾンビがゾンビの演技せずに元気いっぱい飛んだり跳ねたり走ったり』映画に辟易してる人にはめっちゃオススメしていきたい一本です。

DVDはこちら→ゾンビ大陸 アフリカン [DVD]
■12年6月21日『ミッション:8ミニッツ』

シカゴへと向かう列車が爆破され、乗員乗客全員が死亡するという悲惨なテロ事件が発生。
犯人からの「次はシカゴの中心部を爆破する」という通告を受け、政府はテロを止めるべく、一つのプランを実施する。
それは、死亡した乗客の『死ぬ8分前の記憶』へと他者の意識を介入させる』というもの。
陸軍のヘリコプターパイロットだったコルター大尉は乗客の一人だった男性の意識をジャックし、
手探りで「いったい何が起きたのか」「どうすればこの状況を覆せるのか」を何度も繰り返していく。
幾度も迎える失敗、爆発、自らの死。
徐々にプロジェクトや自分自身の状況へと膨らんでいく疑念、覆すにはわずかに足りないピース、
それらが一つ一つ解き明かされ、そして迎える結末とは……?

『過去に自分の意識を飛ばし、この後に起きる悲劇を食い止めろ!!』
『幾度となく繰り返される失敗!迎えるバッドエンド!!磨耗していく精神!!』
『愛する女性、クリスティーナをこの死の運命から救うにはどうすればいい!?』


おにいちゃんあたしこれ知ってる!!
この前ゲームでやったしアニメも放送してた!!!!!


そんなことを思わず叫びたくなる感じのあらすじですが、いやぁ一言も嘘言ってないですからね!!!
タイムリープ系の映画であり、比較的オーソドックスな感じの作りの佳作でしたね。

たったの8分間でできることって一体何なのか、と考えてみると意外と少なく、Twitter見てるとあっという間に過ぎますし、
コレクターズ事業部新製品の予約戦争に参加してたら決定的に生死を分けるだけの重みを保持しうる時間ではある……
という、まぁなかなか絶妙な時間設定ではありますよね。
その『8分間』を何度も何度も繰り返すことで、行動は最適化されて事態を確実に解決する方向へと動いていく辺り、
非常にゲーマー好みのシチュエーションといいますか。

舞台はほとんど列車の車両内という閉鎖空間ですが、奥行きもあるし高さもあるし、という構造を上手く使って、
少ない予算ながらも密度の高いドラマが展開されます。
最初は何が何やら分からず右往左往するだけだったコルターが、『前回はこう行動してダメだったんだから次はこうだ』とか考えて、
懸命に事態を解明しようとする辺りのドラマはお見事。
プロジェクト担当の博士とオペレーターと主人公との会話に生じる変化も面白いですし、
90分程度のタイムリープドラマとしてのクオリティは水準以上でまとまっていると思います。

ラストのどんでん返しも『英雄である主人公』へのご褒美としては非常に良いですし、
あの事故を防ぐことに成功した、その先にあるものって一体何なんだ……?プロジェクトは一体どういうものだったんだ……?という処に興味がある人には非常に良いご褒美になってますね。

しかしちょっとねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、うん。
さとっちさんとしては心底愚痴りたいというか納得行かねえというか、な部分があるのでそれだけは別ページにて。


※こちらのリンクにはおもいっきりネタバレを記載しているので、未見の方は読まないことをオススメいたします。
『ミッション:8ミニッツ』ネタバレ愚痴方面感想を読む。


ふぅスッキリしましたな!!!いやーラストの展開がどうしてもちょっとあれで、それは吐き出しておきたかったのよ……。
とは言えタイムリープ作品として見ればなかなかの良作ではあり、90分ちょっとという短い尺で綺麗にまとめた感じはしっかりと得られます。
まぁあと10分伸ばしてれば、もう一つドラマを入れていれば、という思いは尽きないところですけども……。


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■12年5月11日『レア・エクスポーツ 〜囚われのサンタクロース〜』

クリスマスを間近に控えたフィンランドの片田舎。
ある日、国境沿いの山中で行われている大規模な発掘作業の現場を目撃した少年ピエタリだったが、
それが実はサンタクロースの墓だと知り、サンタの伝承を調べるうちに実は『サンタは悪魔の手先で恐ろしい存在』だと思うようになる。

数日後トナカイを捕まえるために雪山へ繰り出した住人たちだったが、トナカイの群れは何者かに襲われ全滅。
収入が途絶えることを知り絶望感にくれる中でクリスマス当日を迎えたものの、
あらゆる家からヒーターが盗まれ、ドライヤーも消え、収穫した芋を入れていた袋『だけ』が盗まれ、
そして子供たちは行方不明になっていく。
不穏な空気が漂う中、オオカミ用の罠にかかった男性を
「めんどくさいからバラしちまおう」と屠殺場へ運び込んだピエタリの父親だったが、
その男性が実はサンタクロースだと知り「発掘業者に高値で売りつけよう」と考え始め、
世にも奇妙な戦いの一夜が始まることとなる……。


はい、まず最初に一言。

「囚われの」ってそっちにかよ!!!!!!!!!!

えーっと「偶然見つけたものに手を出したらエライことになった」もホラー映画的には定番のネタですが、
それをサンタクロース伝説と絡めて上手いことカオスなブラックコメディに仕立て上げたのが本作。
フィンランド制作の映画ということで、先日書いた『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』のアイスランド、
気づくと公開期間が終わってて見れなかったけど評判の良かった『トロール・ハンター』のノルウェーに引き続き、
北欧産の映画がまた一本やって来ました。

しかしまぁ、本作、何というか久々に見る『怪作』でしたね!!!!!
サンタクロースが実は悪魔の手先で子供たちを攫いに来るから自衛しなきゃ……とかではなく、
「トナカイの群れ全部やられたぜチクショウ失うものなんかあるかボケ」という自棄を起こした猟師たちの、
どっちが悪魔なんだかわからない企みがたまりません。
なにせ行方不明の子供を助けることとかよりも先に「おいサンタ捕まえて売っぱらうぞ」だしな……!!!

また、サンタクロースという扱いのジジイのインパクトたるや抜群で、
全裸で股間にぼかしの入ったハゲのジジイが200人近く、ツルハシとか斧を持って雪山をダッシュするスローモーション映像とか、
俺は一体なんの映画を見てるんだ……!!!という凄まじい衝撃を覚えますといいますか、うん、ここ数年で見た映画の中でもトップクラスの怪奇映像だった気がします(白目)。
あとこのジジイたちがマジ仕事人。発掘現場の作業員たちをあっという間に制圧(殺したっぽいけど)したり、
不意打ちの一撃でトマホーク投げ込んできたり、いやぁなかなか素敵です。本当しかしこれ何の映画なんだろうとか思っちゃいけない。

序盤はサンタを信じてウジウジしてた子供のピエタリが、後半でサンタに対して仕掛ける大勝負は唐突感があるけど見応えがありますし、
親子の絆の話だったりもするしで、結構幅広い年齢層に見てもらってもいいかもしれませんこの映画。いや、ワリとマジで。
映像作りも結構上手くて、最初の山頂のシーンなんかはさすがに北欧の美しい山岳地帯が堪能できるしね。

やや要素の描き方が散漫というか『後半になってやっと全部のピースが結びつく』感じだったり、
アクションでもホラーでも純粋コメディでもないごった煮映画なので結構集中して観て行く必要があるのが若干アレですが、
後半の怒涛の展開は実に問答無用で楽しかった!!!
最後の最後のオチにいたっては「サンタどころじゃねえよこの悪魔!!!」と笑顔で言い放ちたくなるもので、
こう、サンタを調教する人間とか……うん……メリークリスマス……(笑顔で)。

タイトルの『レア・エクスポーツ』は一見するとエクストリームスポーツみたいな事を想像する人もいるかも知れませんが、
エクスポートの複数形でな……このタイトルも原題通りみたいですが、いやぁなかなか良いセンスしています(笑)。
サンタクロースという存在が商業的主義的に利用されてることへの皮肉とか、
サンタの原産はうちらフィンランドなんだぜーとかいうメッセージを盛り込みつつ、
大上段からではなくひねったブラックジョークのネタとして扱っているので重苦しくもありませんし。
本当、なかなかの『怪作』であり、北欧映画の持つポテンシャルを見せてもらった気がします。お見事!!。

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■12年5月1日『アイガー北壁』

ベルリンオリンピック開幕を目前に控えた1936年・
ナチス政権はドイツ民族の威信を示すため、アルプスの名山アイガーへの北壁からの初登頂に成功したドイツ人に
オリンピックでの金メダルを授与すると発表した。
多くの登山家たちがアイガー北壁に挑もうとする中に、昔から数多くの山を踏破してきた山岳歩兵のトニーとアンディがいた。
かつての恋人である新聞記者との再会、ライバルとなるオーストラリア隊との出会いを経て、トニーとアンディは北壁を登り始めるが……。


っということで「大自然こええええええ!!!!!!」となる作品という意味では去年見た『フローズン』がありますが、
こちらはもっと凄まじい作品でしたね……。
実際に1936年に起きた話を描いた作品だというのもありますが、重みがハンパではなく……いや本当にすごかった。

雄大で美しい北壁も吹雪になれば一気に登山家へと牙を剥く存在になり、あっという間に体力を奪い、傷を負わせ、
死に至らしめる『大自然の脅威』の描かれ方は見事の一言に尽きました……。
この脅威を劇的な描写でも、悲壮感を盛り上げることもなく、あえて淡々と描いていることで、
どうしようもなく対抗できない自然の怖さを見せつけられます。

手袋を一個失っただけであっという間に凍傷になり自由は奪われ、結果として死んでしまうことになる……。
悲嘆も絶望もすべてが等しく飲み込まれてしまい、実力があろうがなんだろうが終わり。
そんな『絶望的なとでも言うしかない状況を、淡々と、あくまでも淡々と描かれるわけなので、
そりゃもうこちらの精神がゴリゴリ削られるわけですよ(苦笑)。
進んだ先の雪の中に、以前に北壁へ挑戦した人間が凍死して埋まっていたりね……。
途中で死んでしまった人間はもう、シュラフに包んで崖の下へ落としてやるしかないという悲壮さも凄まじい。

『フローズン』の場合は「楽しいはずのスキーがアクシデントで孤立してしまい追い詰められていく恐怖だったのに対し、
こっちは「自分から進んで挑んだ環境に、為す術もなく生命を奪われていく」というのがなぁ、本当になぁ、
自然に勝てる・征服できるなんて思い上がりも甚だしいわー、という強いメッセージを感じさせられますねぇ、本当。

また、単に登山家たちの苦闘を描いているだけではないのもまた良い感じでして、
国威発揚のため『だけ』に前人未到の難行を行わせようとする政府、
高級ホテルの暖かな室内から登山家たちの苦闘を娯楽として見つめる富豪たち、
北壁の下から登山者たちを見つめるしか出来ない記者たち、そして貧弱な装備で北壁へ挑む登山家たち。
どれもが丁寧に描かれている中でも富豪たちの感覚にはイライラさせられるものの、
それはすなわち自分自身の写鏡になってるんだなぁと考えさせられますしね……。

最後の最後にドニーが迎える運命も、イヤというほどにキツイものがありまして(アレは救助隊も堪ったもんじゃねえ)、
非常にキッツイ映画ですが、美しい自然と、自然の恐怖とのコントラストが実に見事な作品なので、
出来れば実況とか考えずにじっくり見れる環境で見て欲しい一本ですねー。

DVDはこちら→アイガー北壁 [DVD]
■12年4月30日『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』 

かつての捕鯨大国アイスランドも国際世論やらそれを煽りまくる環境保護・動物愛護団体のキチ○イ活動により、
捕鯨からホエールウォッチングへと鞍替えし、昔ながらのクジラ漁師たちは肩身の狭い思いというよりむしろ活動できない状況に追い込まれている今日この頃。
今日も今日とてレイキャヴィクにホエールウォッチングの外国人観光客がやってくるものの、
航海の途中で酔っ払ったフランス野郎のアホな行動によって船長が瀕死の重傷を負ってしまう。
乗組員はさっさと自分だけ逃げてしまい無線も使えない状況で進退窮まったところへ、
運良く通りがかった漁船に助けてもらった……と思いきや、
その漁船に乗っていたのは捕鯨で代々生計を立ててきて、今ではホエールウォッチング観光客に憎悪を燃やす漁師一家だった。
そして漁師一家の息子が辛抱たまらず鉈で女性観光客の脳天をカチ割ったところから、あらゆる意味で『大惨事』の幕が開く!!


シーシェパードという名の海賊野郎が日本の捕鯨調査船に大迷惑行為をしてるから見たとかいうことはなく、
ただ純粋に予告編の馬鹿さ加減『アイスランド初のスラッシャームービー!!』という煽り文句に心のアンテナが反応したのであり、
特に政治的思想的なあれこれで見たわけじゃないですよと一応予防線だけは貼っておきますね(ホジ)。

90年代にトレンディドラマとか見てた人には馴染み深いけど多分平成生まれの人にはあんまり印象がないんだろうなぁ、という女優の裕木奈江が主演した!!ということで一部話題になってた……というか何やってんだ裕木奈江、という反応が大半だったような気がしないでもない……作品ですが、いやー、うん、良いバカ映画だったねというか登場人物にバカしかいなかったね!!!(笑顔で)

こういう「○○に行ったら襲われた」系の作品を見ていていつも思う
「相手が武器持ってるとはいえ襲われてる側のほうが人数多いんだから結束して立ち向かえば何とかならないですか」
というツッコミも、基本的に初対面の観光客様ご一行で人種国籍バラバラと言うことを考えると「まぁ無理やな」と思えますし、
漁師たちが観光客をぶっ殺すのが、勝手知ったる自分の船……という舞台設定の巧さ(海に飛び込んで逃げると捕鯨用の銛が打ち込まれる)で、なかなかに魅せる一本に仕上がっていますね。

基本的には漁師一家のマジキチっぷりが楽しいんですが、それ以上に裕木奈江のネジの外れ方が素晴らしい……。
日本人(というか日系人)の社長夫妻の部下として鬱憤が溜まりまくる生活してんだろうなぁ、という地味眼鏡っ娘っぷりが一点、
襲われ始めてからは積極的に反撃を試みるというか、社長の嫁もろとも漁師一家の母親をぶっ殺す辺りの昏い演技は白眉でしたね本当……。
終盤では無事に陸へ逃げてからも大活躍をしますし、いやぁ本当、うむ(笑)。

ただ、どうも場面の部分部分がカットされているのかシーンのつながりに脈絡がない場面が後半出てきたりするのはちょっとうーん。
熱心に見てても「これは一体どういうことなのかさっぱりわからない」というシーンがあるのはちょっと悲しいですね。
何か規制が入るようなシーンがあったのかなぁ、うむむむむ……ディレクターズカット版早く。

……そしてこの映画の好評を受けてなのかシリーズ化が決定、第二作目も裕木奈江を主演に据えて舞台はブラジルのアマゾンに移るとかいう話が聞こえてきましてちょっと待てという(笑)。
監督とプロデューサーのインタビュー記事見てると裕木奈江に惚れ込んでるなぁ……裕木奈江もいい舞台を見つけられたんじゃないでしょうか。
というかこの作品で失敗こいたーという感じがしてこないのは非常に良いところですねー。

一応参考に
「シーシェパードはアイスランドでは鼻つまみです(笑)」 『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』監督&プロデューサーにインタビュー
映画『レイキャビク・ホエール・ウォッチング・マサカー』公開記念 裕木奈江さんインタビュー


DVDはこちら→レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー [DVD]
■12年4月28日『ゾンビ処刑人』 

なんか気づくとまたえっらいこと放置してた映画感想ですが、『さんかれあ』とかも放送が始まったのでそっち系の作品を!!!ということでご紹介。

イラクでの派兵任務中、待ち伏せ襲撃にあって死亡してしまった兵士、バート。
母国へと送還され、結婚を約束していた恋人や友人に見送られながら葬儀が行われるものの、
なぜかその夜、墓場の中で突然蘇ってしまう。
わけもわからないままに親友であるジョーイの家へ転がり込むものの、身体は食べ物を受け付けず、
試行錯誤するうちに自分に必要なのは『人間の血液』だということを知ってしまう。
苦悶しつつも結局医療センターへ強盗に入り、なんとか人心地ついたところで強盗に遭遇、
銃で撃たれてしまうバートだったが、何のダメージもなく強盗を返り討ちにしてしまう……どころか血まで頂戴してしまう。
そう、バートはもはや自分の体自体の腐敗が進行しない限り死ぬことのない、レヴナントと化していたのだった……!!!
かくしてここに『食料としての血を確保するために、街の悪人どもを狩る』夜回りレヴナントが誕生、街の悪人どもを狩りまくってドンドン話題となっていくが……


というお話。

もうタイトルからしてトロイ・ダフィー監督の『処刑人』をさらにバカ度UPさせた感じがありますが、
いやぁなんのなんの、こんなタイトルですが実に真面目な作りで感心してしまいました。

タイトルこそ『ゾンビ処刑人』という安直さですが、作中でも言われてるとおりにゾンビと言うよりはレブナント。
もっと分かりやすく言うならば岩井志麻子の『屍鬼』みたいな感じですね。
死んでるけども理性はあるし感情もある。倫理観も持ち合わせてるし会話もできて、生前のままのコミュニケーションが成立する。
なのでタイトルに『ゾンビ」と入ってはいますが、一般的に思うゾンビとは全然違うものだと思ったほうが良い感じです。
人を喰うのではなくて血を呑むだけだしね(相手死ぬけど)。
というかこの作品に『ゾンビ』って付ける神経がわからないといいますか、ゾンビってのは、こう、違うんだ。うむ。
過去に似た路線の作品としては『ゾンビコップ』という珍作C級映画もありましたが(大好きだけどね)、あっちほど下品でもないし、
ドラマのまとめ方が非常に上手いので、タイトルで損をしちゃってる感じがしますなぁこれ……。

理性も感情も生前のまま持ち合わせているがゆえに、どこまでいっても自分自身はモンスター。
レヴナントとしての存在を受け入れてくれる恋人と共に歩むことは出来ないことを理解してしまうバートと、
それでも一緒にいたい、自分を求めて欲しいと願う恋人が到達してしまう悲劇は本当に切ないものがあります。

また、夜回りの最中に生命の危機に瀕したジョーイの運命などはバディムービーとしての路線を補強するもので、
これもこれで非常に良い展開、むしろこれがあるからこそ後半の悲劇性が際立つといえるかもしれません。
中盤までは実に爽快感溢れる感じというか、悪人を襲って銃を撃ちまくるノリノリの図が心地よいですし、
最終的にバートとジョーイが迎える運命の岐路などはねぇ、想像はついていてもやっぱりグッと来ましたわ……。
いやまぁ声帯の代わりに使う道具が道具だったんで爆笑したけどな!!!!!

そんなわけで予告編を見た感じでは実に良いバカ映画、という感じでワクワクしていましたが、モンスターとなってしまった男の悲しい運命を丁寧に描いた良作だったなぁと思います。
むしろ派手なアクションとかホラー要素(血がブシャーの臓物ダバァみたいな)は薄いですね、うむ。
というか『処刑人』よりも映画としてはしっかりしてるかもしれない(遠い目)。
グロ要素はかなり低いのでホラー苦手という人でも安心して見れる一本だと思います(さとっちさんの思う基準が当てになるかどうかはこの際考えない)。

・DVDはこちら→ゾンビ処刑人 [DVD]
■12年3月6日『その男 ヴァン・ダム』 

ハリウッドで一世を風靡したのも今は昔、B級・低予算・劇場公開なしのセルオンリー作品の仕事しか回ってこず、
監督からは嫌味を言われ、娘の親権争いには敗北し、カードは使用停止処分を食らい現金の持ち合わせも無し。
やっと巡ってきた主演の仕事もセガールに奪われどん底の境遇にあるアクション俳優ジャン・クロード・ヴァンダム。
それでも故郷のベルギーへ帰ると今でも街の誇りで英雄で、若者から年寄りまで誰もが彼を応援してくれる……
そんな状況に喜びを見出したのもつかの間、立ち寄った郵便局で強盗による立てこもり事件に巻き込まれ、
あまつさえ警察からは犯人の一味だと勘違いされてしまう。
拳銃を突きつけられて手も足も出ないヴァン・ダム、ヴァン・ダムに会えたと喜ぶ犯人一味、
真相を知らずただ「ヴァン・ダムが強盗で立てこもってる!!」と騒ぐ若者たち、泣き崩れるヴァン・ダムの両親。
どんどん混沌の度合いを深めていくこの状況からヴァン・ダムは無事に脱出することができるのか……!?


ジャンジャンジャジャン!ジャン・クロード!! ヴァンヴァンヴァヴァン!ヴァンヴァヴァンダム!!!
ヴァン・ダムが!!香港で!!筋肉フィーバー!!!(Wow!!!)
全身の毛穴で受け止めろぉ!!ノック・オフ!!!!!

間違いなく歴史に残ってもいい頭の悪さとインパクトと天才的なまでの編集を見せた『木曜洋画劇場』の予告編の影響で、
「作品は見たことないけど知ってるよ」という人間が多分12億8千万人ぐらい日本に存在してるんじゃないだろうかと思われるぐらいに大人気な僕らの我らのジャン・クロード・ヴァンダムが、まさかの本人役で主演して自分の境遇をネタにした怪作ですが、いやぁこれがなかなか楽しくて困った(笑)。

実際の所最近の映画でヴァン・ダム全然見ねえなぁと思ったらエライこと老けこんでますし、
劇中でも「昔とは違うんだ!!」とヴァン・ダムが叫んだり、ファンから「意外と小さいな」と言われたり、
親権問題で弁護士に払う金が無いから強盗やっちゃったのかーとみんなから納得されちゃったり、
そこら辺のダメすぎる側面をこれでもかと全面に押し出して『かわいそうなヴァン・ダム』が見れる映画になってますが、
ウェットな笑いが散りばめられていて飽きさせません。

物語としても70年代の傑作映画(ヴァン・ダム主演じゃないから注意)『狼たちの午後』のオマージュになってる部分があり、
「ちょっとヴァン・ダムを利用しようと思ったら妙なことになっちまった」と苦悩し苛立つ犯人グループの描かれ方もいいですし、
何よりも犯人グループの一人のヴァン・ダム大ファン親父が非常に憎めない(笑)。
他の二人が「おいこの先どうすんだよ!!!」って揉めてるのを横目に、「おいテメエ、今ヴァン・ダムのこと笑ったろ!!!」と人質の若者に詰め寄ったり。ヴァン・ダムにハイキックの実演お願いしたり。
いやー俺でもこの状況ならそれお願いするわという身近な感じが凄く楽しいんですよね。

盛り上がるポイントっていうのが多分「想像してる以上に少ない」映画なので人によっては退屈かもしれませんが、
事件ラストの展開からエンディングへの流れはなかなか楽しいので、見て損はないと思います。
ヴァン・ダムの吹き替えが山寺宏一さんじゃないのが唯一残念なポイントかなぁ、とは思うけどね!!

ともあれヴァン・ダムももちろんダメな話ばかりじゃなく、この映画での盛大な自虐っぷりが功を奏したのか
『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』ではドルフ・ラングレンとのガチンコ勝負が熱い快作に仕上げてきましたし、
今年公開予定の映画『エクスペンダブルズ2』ではスタローンに敵対する傭兵部隊のリーダーとして登場、
ヴァン・ダムVSスタローンという夢のマッチが見られそうですし、
まず本作を見てからエクスペンダブルズ2を見ると非常に味わい深く楽しめそうな気がしますのでぜひぜひ!!!

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