ボークス モエコレプラス第一弾 1/7
超昴閃忍ハルカ 閃忍ハルカ
さてさてさて。

元々はレジンキャスト製組立てキットの完成品を安価で提供するという方向から発展した美少女キャラクターのPVC完成品市場。
最近のコスト高によってガレージキットとPVC完成品の価格がどんどんと接近してきており、気軽にポイポイ買えた一昔前を懐かしみたくなる今日この頃ですが、それでもガレージキットを購入するより手軽にキャラクターをそろえることが出来る、という点で、実にオタの身近なコレクションアイテムになった感もありますね。

ともあれそういった業界的な立ち上がりの経緯がありますので、過去に美少女キャラのガレージキットを発売していたメーカーのほぼ全てがPVC完成品市場に参入した……と言っても過言ではない状況でしたが。
だがしかし、ボークスだけは頑固なまでにコールドキャスト製完成品にこだわり続け、コールドキャストなモンだから大量生産にまったく向かず、自社店舗と通販で少量展開するしか無いという状況にあえて我が身を放り込んでいたのです。
そう、電撃ホビーマガジンとの連動企画でスパロボOGのアクションフィギュアを手がけるようになろうとも、キャラクターフィギュアは全部コールドキャストの少量生産
一体何万人のスパロボファンが怨嗟の声を撒き散らしたろうかと考えるとちょっと暗澹たる気持ちになりますが……。というか本当に、何がしたかったんですかボークスさん。

ところがそんなボークスが今年、『アージュ アルティメットキャラクターズ』でTFCサイズながらもPVC完成品フィギュア業界へ参入してきたワケでして、買ってはいないものの各所レビューを見てると「おぉ、意外にやるじゃねえか!?」と思っていた(過去形)ワケですよ。

そして晴れて今回、明確にスケールを切ったフィギュアシリーズ『モエコレプラス』でPVC完成品市場に正式に参入してきたボークス。
気合の入れ方も違うようで、ブランドホームページによりますと

業界初!トゥルートレース方式
『原型師が製作初期段階から直接手を加え、原型からの変型を最小限に抑えるという、とても贅沢で手間のかかる方式を採用。美少女を美少女のままでお届けします』



……ちうことで、どうもこう、読んだ瞬間にイヤな汗が噴出してきたというか、
「いやそれってぽりごさんが前々から和風堂玩具店でやってねえ!?」
と言いたくなったりしたわけで、一抹……いや結構な勢いの不安が沸々と沸いてもきたのですよ。
つーか他のメーカーさんでも表に出してないだけで結構あるんじゃないのかと思ったりしますし。

とは言えボークスはボークス。造形力に定評はありますし、腐ってもそれなり以上のモノは出してくるだろう、まして況や新ブランド第一弾だし……と思ってサクッと予約してしまったワケですね。 何かよく考えると極後ろ向きな感情を抱えてますけど気にするな。
というか、引き返すべきラインを自分から軽やかに飛び越えてますけど気にするなorz
まずは全身をグルッとな。
スケールは1/7ですが、ポージングに癖があるため何となく大きいのかな……?という程度ですね。
しかしこう見て分かるかと思いますが、『どのアングルがメインアングルなのか』『どこからどう見て欲しいのか』がまったく分からない、
実にレビュワー泣かせな構成だと言えましょう。
というかこのポージング自体がやや謎というか、どういうシチュエーションなのかサッパリです

何となく見てると真正面、もしくはハルカと目線を合わせる位置のやや上から俯瞰で見るのが正解なのかしら。
上半身はこんな感じで。
前に突き出された左腕と、顔を若干隠すように配置された右腕とが絶妙に撮影において邪魔になります

あと顔の造形と言うか配置バランスも若干おかしいかなーと。髪の毛ももうちょっと頑張って欲しかったものであります。
前髪のシャープさは好ましいんですけどね。アホ毛〜エアインテーク周りの表現がちょっと。
ベースはクリア成型で、表面に作品のロゴが入っています。
ただし、全重量を支えるのは左脚一本なのでぶっちゃけすげえ怖い。下半身丸ごとABS製とかなら、何とか安心も出来るのになぁ……。
そしてさとっちさんの怒りが炸裂したポイントが、このおっぱい周り。
おっぱいがどう考えてもどう見ても別パーツなのは許すにしても、おっぱいの根元部分にあるゲート跡はどうにかできなかったのk……というよりも、どうにもする気が無かったとしか思えません。テメエらおっぱいナメてんじゃねえぞ。

いまどきこんな雑な仕上げの商品を出してるところなんて海洋堂とか和風堂とかグリフォンとかその辺りだぜジョニー……と、
アメリカ西武の酒場にいるウザいカウボーイの酔っ払いっぽく語りたくもなりますが、いやぁコレは酷い。
そして怒り第二弾がこちらの下半身周り。
内腿部分にゲート跡は全開で残っていますし、フトモモに縦一直線でパーティングラインが残っているのもどうなのかと。
アルターにしてもコトブキヤにしてもグッスマにしても、ここまでアホみたいに目立つパーティングラインが見受けられる商品なんて出していないこのご時世に、よくもまぁこんな仕上げで参入してきたモンだと思います。


原型担当者がどんだけ頑張ってエロい下半身を作っても、塗装担当者がどれだけ気合を入れてエロ塗装をしてもアホなゲート跡とパーティングラインで全部評価がひっくり返るというこの現実、よく考えてもらいたいものです。
ちなみに下着造形は非常にナイス。喰い込みっぷりが堪らんです。
背中のマフラー部は脱着可能ですが、背中にダボ穴が開いているため……外してしまうと背中禁止に。
構成的にはスッキリするんですが、やっぱちょっとなー……。
まぁ背中を向けて飾るか、という以前にこのハルカを飾るかどうかがまずそもそも怪しいんだがな!!!!

ちなみにマフラーはABS製です。
あ、大型のクナイは一見パキッとした出来に見えますが、実際のところはPVC製。地味に歪んでます。出来はいいのに勿体無い……。
最後はコトブキヤのナリカと並べまして。
ナリカの方が1/8スケール、ハルカの方が1/7スケールなのにナリカの方が圧倒的に出来が良うございます。
やはりコトブキヤ、業界でもトップクラスの安定性(肌の色除く)の開発生産力を誇るだけのことはありますね……。

ということで、ボークスの新ブランド『モエコレプラス』第一弾、閃忍ハルカでございましたー。
正直、全体的にパッと見ての出来は良いんですが、細部の出来は二流以下。
『神は細部に宿る』を具現化するようなアルターの商品や、安定性では随一のグッスマ・コトブキヤ商品と比べると圧倒的な差があります。
新ブランド立ち上げ第一発目の商品がコレかよ!!!と思うとやや暗澹たる気持ちになりますねぇ……。

何せコレ、自社流通と通販でしか販売されないワケでして、商品の市場動向の良し悪しを恐れる必要が無いんだもん。
流通さんや小売のバイヤーの顔色を伺う必要も無く、売りたいものというか作りたいものを作って、自分たちの土俵でだけ勝負できる、ある意味チートくさい商品となりますから果たしてこういう(一応)お客様の声が届き、反映されるのかどうか……。
ちなみに次の『1/6 初音ミク』も予約してすでに代金振り込まれてるモンですから、さとっちさんは今から戦々恐々としております。

それも珍しく置き場所よりも出来の面で