バンダイ 1/144 HGUC
AMS-119 ギラ・ドーガ
さてさてさて。

相変わらず『塗装をせずに組み終わる』プラモのレビューサイトとなっている.30CAL CLUBですが、
今日も今日とて同じく無塗装のキットインプレッションレビューです。
ジオン最後の量産機である『ギラ・ドーガ』が今回のお題ですが、
バンダイと言えば『妙に力の入った設計の量産機』に定評がありまして。
今回も一筋縄ではいかない、コチラを驚かせてくれるキットが……と思っていたんですが。

ちょっとこちらの想像の斜め上を行く、実にストレスフリーなキットでした。
組む上で苦戦したポイントは殆どゼロ。
せいぜい、いつものゲート跡処理に苦戦した程度でしょうか……。
まずは全身をグルリと。 さすがに元の設定が大きいため、1/144とはいえ、かなり大きい立体物です。
基本的には空間戦闘用の機体ということもあり、各部に設けられたスラスターはかなり多くなっています。
本来なら全身のスラスターは内側をイエローで塗装するべきですが、
どうもイエローのスラスター内部、というのに抵抗があるので完全に無視です。
……というかスラスターをイエローで成型してくれたら物凄く楽なんですけどね塗装も。
上半身をグルリと。
全体的な印象は本当にザクのレイアウトを踏襲した、オーソドックスなデザインであるという点ですね。

バックパックは長距離航行用のものを標準装備していますが、これは潤沢な補給手段を持ち得ないネオ・ジオンという組織ゆえか。
ベース・ジャバーなどのサブフライトシステムを大量に揃えられない以上、
モビルスーツ自体に長距離移動手段を持たせざるを得ない、ネオジオンの懐事情が見えてきます。
頭部の可動範囲は意外と広く、νガンダムと同じ設計によって首を大きく上に向けることも可能です。
また、モノアイは左右に振らせることも可能ですが、ツマミが首の下部にあるため、動かそうと思うたびに頭部を外す必要があるのが少ししんどいところ。
ザクの流れを強く汲んでおり、右肩にはシールド、左肩にはスパイクアーマー。
スパイクアーマーはやや偏執狂的な印象を受けるスパイク5本配置となっていますが、果たしてこのスパイクが役に立つ日は来たのでしょうか。
頭部は指揮官用のパーツとコンパチ方式。 とはいえ組んだら組みっぱなしではなく、いつでも交換可能です。
腰アーマー後部にはビームソードアックスのラックが設けられています。しかし引き抜くには少々手間取る配置ですね、コレは。
股関節部分はダブルオーシリーズからの技術フィードバックで、フトモモ付け根自体を前後にスイング可能です。
脚部を大きく踏み込ませるポージングの際など、非常に有効な可動部となっています。
脚部はスネパーツが左右張り合わせというコトもあり、やや合わせ目が目立ちます。
特に膝のカウル部分は少し面倒なポイントでした(左脚は処理ミスしました)。
スネの内側・外側に設けられたバルジ内に大型のバーニアが。
付属品一覧がこちら。
上からビームソードアックス(展長状態・収納状態)とその刃、ビームマシンガン、シュツルムファウスト×4、シールドとなります。

(画像ロールオーバー)
白兵戦用装備であるビームソードアックスは収納形態/展長形態が2種類付属。
ビームアックスと、ビームピックの2種類となっています。ビームピックの方が貫通力に優れ、アックスは切断力に優れるとのこと。
設定上はビームソード発振も可能ですが、キットには付属していません。
なので、ギュネイ専用ヤクト・ドーガに付属するビームサーベルを流用してみました。
収納形態は先端部分にサーベル用と思しき穴が開口されていますので、保持力は弱いものの一応再現可能です。
レズン専用機にはサーベルが付属するんでしょうか(サザビーのサーベルは流用不可でした)

(それぞれ画像ロールオーバー)
ギラ・ドーガの主兵装であるビーム・マシンガンはこのような感じで。
銃身下部には左右に展開できるサブグリップとグレネードランチャーが配置されており、
その影響でマガジンが機関部右側面に配置されるという、特殊なレイアウトになっています。
尾部のストックは展開可能ですが、どうも見ているとネオジオンの設計陣の迷走が伺えます。

本来ならマガジン交換は左右どちらの手でも可能なアンビ設計とするため、銃本体の上部か下部に装填するのが一般的。
ベルグマンMP18短機関銃のように、銃の側面から装填してマガジン自体をサブグリップとするものもありましたが、
重量バランスが極端に崩れたりするため突然変異種とも言えるもの。
ですがこのビームマシンガンは銃機関部の右側面に……ということで、非常に奇怪なレイアウトなんですよね。
ストックの伸縮機構を盛り込んだ結果ブルバップ方式にもできず、
銃身下部にグレネードとフォアグリップを設けた結果、マガジンハウジングを設けるスペースが無くなり、
左側面にマガジンを配置すると機体の腹部などと干渉する上フォアグリップも握りにくくなる
、という……。
そういう理由で右側面が選ばれたのでしょうが、結果としてマガジン交換に非常に手間取る配置となっています。
本来ならフォアグリップやグレネードは後で考えて、まずはメインの弾倉と機関部の配置を第一に考えるべきだと思うんですが。

(画像ロールオーバー)
シールドのデザインは質実剛健な板2枚の組合せ。
この時代のシールドの傾向を組んで、対弾能力よりもマルチウェポンプラットフォームとしての側面が強調されています。
……そうとでも考えなくては、
νガンダムのバルカンで穴だらけにされて撃墜されたパイロットたちが浮かばれないではありませんか。

シールド上部の4つの突起はグレネードランチャー。
と言ってもこのサイズですから、グレネードというよりは信号弾/照明弾/発煙弾などを発射するマルチディスペンサー、という側面の方が強いでしょう。
グレネード弾としてはサイズが小さすぎて、対MS用には威力が不足するイメージがあります。
シュツルムファウストは脱着可能で手に持たせる事も可能ですが、基本はシールド裏側からの直接発射か。
フル装備の全身図。
乾装状態でもマッシブなギラ・ドーガですが、シールドとマシンガンを付けるだけで重厚感が3割増です。

なお、シールドマウントと下腕部の接続はユルい感じ。
瞬着などで軸を太らせてやるなど、してあげた方が良いかもしれません。
劇中では宇宙戦闘のみだったので、地上戦には一切参加していないギラ・ドーガ……ということでフライングベースを使って浮かせています。
しかしよく考えるとギラ・ドーガが格闘戦やってた印象ってありませんね……。
UC0080年代のモビルスーツとのサイズ差、ということで、当時としては大型の部類に入るであろうヘイズルと比べて。
どこもかしこもギラ・ドーガの方がボリュームを持っており、モビルスーツの質の違いを見せ付けてくれます。
いえまぁギラ・ドーガも基本設計は0080年代であり、0093年の『シャアの反乱』時には
すでに旧式化していた、という話も説明書に掲載されていますが。

……しかし
たかだか3年4年で旧式化して機種転換直前とかどれだけ技術が日進月歩なんでしょうか……。
ッというコトで最後はネオジオンの怪物モビルスーツ2機と並べまして。
ヘイズルよりも二回り近く大きいギラ・ドーガも、ヤクトやサザビーと比べると子供扱いって何ですかこの切ない現実は。

っということで、HGUCのギラ・ドーガでありました!!
驚くほどストレスなく組む事が出来た良作キットで、量産機好きには自信を持ってオススメできます。
合わせ目を消す必要があるのも肩アーマーとスネ部分ぐらいですし、プラモ初心者の入門編にも持って来い。
さて、こうなると逆シャアシリーズの最後に残っているジェガンも楽しみなんですが……いつ頃発売になりますかねぇ。