海洋堂 ノンスケール
涼宮ハルヒの憂鬱 朝比奈みくる
さてさてさて。

ついこの前、無事にDVD最終巻が発売されて……というか予約段階でアマゾンなんかは完売していた『涼宮ハルヒの憂鬱』ですが。
エンディングのフルダンスVer.を見てその動きの凄さに圧倒された人も多いかと思います。

そのせいとは言いませんが、最近では『ハルヒ出しときゃ売れるだろ』的思考なのか、多種多様なハルヒ関連商品が出ているわけですが。
その最たるものがフィギュアでしょうか。
マックスファクトリーの『1/8 涼宮ハルヒ』は初回5000個が予約で即完売、第二次生産の5000も予約で瞬殺、今はやっと第三次生産の予約がまだ完売せずにいる、という程度で、需要が一番大きいフィギュアでしょうねー。
あとはアトリエ彩の1/6シリーズで、ヒロイン3人が全員バニーで立体化、という展開もありますが。
……今ひとつ売れ残ってるよね、うん。

そんな『決定版』(マックスのハルヒのことです)がまだ発売されていない中で、海洋堂がハルヒ関連フィギュアに進出してきました。
海洋堂つったらさとっちさん的には

           『まだブリスターパッケージで商品展開しやがる大バカ野郎』

というイメージしかないんですが(酷いようだが事実です)、今回はウインドウボックスでの発売で。

「何だやれば出来るんじゃないか……」と思ったのも束の間、開封1秒で前言撤回したくなりました。
はい、長い前置き終了っ!!!!!

ちなみに今回は辛辣なコメント『しか』浮かんでこなかったので、もうそういうコメントのレビューだと思ってください!!!!!
立体化のモチーフは『朝比奈ミクルの冒険』で着ていたウェイトレスのコスチュームで。
より正確に言うと、原作小説第2巻『涼宮ハルヒの退屈』の表紙イラストです。

今回の原型担当は宮園博久さん。ついこの前『魔法少女ペケ』で、色んな意味でヤバすぎる造形を担当された方ですね。
ワンフェス2006冬で会場限定のレジンキットとして発売され、当日即完売だったとか。
それが1年ほど経って、PVC完成品になったわけですね。

……そう、発売前まではさ、「ロリ系得意な人なら、ロリ巨乳のみくるを上手に立体化してくれるだろうなぁ」とは思ってました。
ワリとこう、裏切られました。

あ、とりあえずこのバストアップのポイントで言うと、髪の毛のハイライトは塗装で表現されています。
あと前髪越しに見える眉毛も、『前髪に直接眉毛を書く』というアルキメデス的発想で表現。
それが良いかどうかは別にして、フィギュア界の眉毛表現や髪の毛の塗装表現へ一石を投じる製品に……


ならんだろうなぁ、やっぱり。
特盛りっ!!!!



…はーいここら辺からさとっちさんのテンションは下がる一方デスヨー
スカートは超ミニですね。プリーツのパリッとした感じが強く出ているかな。
逆に残念なのは、エプロンを引っ張っているシチュエーションなのに左手にエプロンが収まらない点。
アドピーエムのトリプティックTFCサイズでも可能だったんですから、このサイズのみくるでも出来ない理由はありますまい?
はい、今回さとっちさんの怒りポイントその2だかその3だか。
背中のコルセット上部、設定と違っております。そして、それを宮園氏も把握したうえで、この形状で発売しています。
パッケージ裏には

    『背中側のイラストが無かったので設定と違ってますが、これはつっこまないでください(笑)』

とありますが。
アホかと。

そりゃマスターであるレジンキット版を製作した当時なら、背中側の設定も無かっただろうしこれは仕方ない。
ただ、今回、完成品として発売されるまで1年の期間があったわけで、なおかつ『涼宮ハルヒの公式』というアニメ設定画の掲載されているムック本が発売されているわけですよ。
ならば、何故それをフィードバックしないのか。

背中が設定と違っていることに宮園さんも海洋堂の担当者も気付いていないなら仕方ないですが。
まぁその場合、両者に『徹底的に無能』というレッテルを貼ることになりますけどね?情報収集も出来ない無能、という。

違っていることに気付きつつ、それを修正しないっていうのはちょっと悪質なんじゃなかろうか。
タミヤが大和でそんなことをしますか?ドラゴンがティーガーT型でそんなことをしますか?ハセガワが零戦でそんなことをしますか?

何のために時間があったんですか?

アルターの1/7フェイト、爪塚さんは思いっきり作りなおしたうえで完成品として発売しましたが。
そういうことをしようと思わないんですね、海洋堂は。宮園さんは。
はい、まぁ髪の毛のハイライトやら前髪眉毛は置いといて。
とりあえずリボンとかカチューシャに関しては及第点以上かしら。
ぱんつはものすっっっっっっっごいシンプルな造形。
物足りません。ものすっごく物足りません。もうちょっとこう喰い込みとか食い込みとかヨレとかシワとかね。
靴はエナメルっぽい光沢表現で。
ベースとの接続は両足裏にピンを接続することで行います。重心も偏ったりはしてないんで、変形はしそうにないですね。




さて。

ここからは本当にもう、『フィギュア自作できねえ人間が何言ってんだ』というレベルの話になるので、そういうのが嫌な人はスルーを推奨。
見てもらえれば判るとおり、サイズとしてはマックスのブランネージュ(1/7スケール)と殆ど同じ『高さ』です。
……まぁこの画像で一番見て欲しいのは肌の色、なんですけれど。
幾らなんでも赤すぎです。パッケージ開けた瞬間に絶望したぜ?お前はシャア専用なのかと。

最近は海洋堂というとBOMEコレの鬼娘3ぐらいしか買ってないんですが、アッチはまったくもって肌の色に問題が無かったワケでして。
原型担当がしっかり監修してなかったのか、担当者がイカれてたのか、中国工場がクレイジーだったのか、その全部が原因なのかはどうでもいいんですけどね。

買う側からしたら『ゴミ』の一言で片付けたくもなる肌の色です。

後はこの下半身の細さかしら。
メリハリに欠け、ボリュームに欠け、ただ単に『長いだけ』というのはどうなのかと。
で、サイズ比較ですが。
1/8の柚原このみ(グッスマのV.I.P3D)と殆ど同じ大きさの上半身ですねー。
このみより手がずいぶん長いですが、まぁその辺は許容範囲内かもしれません。

ついでに木ノ下留美と並べてみると、上半身に関しては殆ど大きさとして変わらないのが判るかと思います。
ところが。実際に並べて下半身まで映してみるとこんな感じになるわけです。
このみでいうと京極夏彦の『鉄鼠の檻』、木ノ下留美でいうと『狂骨の夢』と同じぐらいの差があります。微妙に判りにくい表現で申し訳ありませんが。

いやまぁもちろん、このみ・留美のポージングにも原因はあると思いますけどね?


それでも、どう考えても、朝比奈みくるのほうがむやみやたらに頭身が高いんです。脚が長すぎるんです。
ぶっちゃけ、このバランスってすっごく気持ち悪いです。

イラストを再現するのは大いに結構ですが。立体としてのバランスを考えてください本当に。
さて、ここからはもう本当に個人的な『消費者としての怒り』の文章になるので、
そういうのが嫌な人はスルー推奨。





パッケ裏の宮園氏コメントで

「Q:原型製作の時、苦労した点や造形のアピールポイントってあります? これは見て欲しいなぁっていう。」

「M:う〜ん……アピールできるようなところは特にないんですが……。でも、とにかく必死で作ったので、よろしければ買ってください! おねがいします!』


とあるわけですが。

特にアピールしたいポイントは無いけど必死で作ったんですか。
必死で作ったのに、アピールポイントは無いんですか。必死で作ったのに、設定との違いはスルーですか。


何かおかしくありませんか。
それでいいんですか。

そもそも必死で作るのなんて、それが仕事であるなら当然で。わざわざコメントに出すほどのことじゃない。
必死で作ったことがアピールポイントなら、イベントに出すだけにしてください。
マスプロダクツに関わらないで下さい。造形を『仕事』にしないで下さい。
そういうことをアピールされるほど、海洋堂という企業へのイメージが低下していくことが判らないんでしょうか。
……まぁそもそも海洋堂のイメージが良いのかどうかは別にしてな。

少なくとも宮園さんは『海洋堂』という企業のブランドを背負って、これを作ったことになるんですから。
原型の修正が無かったのも、肌の色も、脚の長さが明らかに立体として狂ったバランスなのも。
全部、『海洋堂の商品はこれだから』というイメージに繋がるんです。
若手だろうがベテランだろうが、原型担当2作目だろうが20作目だろうが同じです。
今回のみくるは、そういう『看板を背負った責任感』が見えてこない商品ですね。
担当がアホだったのかもしれませんけども。

結局のところ、私は今度発売の『BOMEコレクション 鬼畜王ランス 山本五十六』に対して、非常に多大な不安を抱きました。
海洋堂、これでいいんですか?
宮園さん、これでいいんですか?