コナミ 武装神姫 第4弾
EXウェポンセット 砲兵型MMS フォートブラッグ
さてさてさて。

お久しぶりの武装神姫でございます。
いや、何と言いますかですね、第2弾は買おう買おうと思っているうちに買うタイミングを逃し、
第3弾は顔がアレでスッパリ断念、ツガルだけは買ったけど天然由来のPOLPLIシステム搭載で、レビュー前に遊んでる段階でジャンク箱に直行した(一部パーツはアーンヴァルへ)という体たらく。
第4弾も花型の2人はどうでもいいかー、と思ってコレだけ買いました。何かもう本当にごめんなさい。

このフォートブラッグさん、あくまでもEXウェポンセットなので素体は入っていません。
素体は今回もストラーフさんのを使っています。

デザインはスーパーロボット大戦Jでベルゼルートやラフトクランズ、スーパーロボット大戦Wでヴァルホーク&ヴァルストークの機体デザインを手がけられた、柳瀬敬之氏が担当されています。
さとっちさんが大好きなデザイナーさんなので、コレは何かもうマストバイだったらしいとか。
さて。
色々といじっているうちに「コレは本当に砲兵なんだろうか」という疑問がわいてきまして。
脳内でグリグリと設定をいじったり、現代戦闘における砲兵の役割を考察したりしているうちに買ってから2週間が経過していたとか言う話です。長いよ!!

……まぁそんなワケで、どういうギミックがあるのかとかどれぐらい動くのかとかは他のサイトさんのレビューを見てもらうとして(投げっ放し)、さとっちさんは今回も軍&銃器オタとして、このフォートブラッグさんの戦闘における役割を考察してみたいと思います。
そもそも砲兵というのは、正面から機甲戦力と殴り合うのではなく、間接照準で遠距離から砲弾を降らせ、
最前線の部隊を援護したり敵の進軍・集結・攻勢準備を叩く部隊となります。
つまりそこに求められるのは、『曲射弾道による遠距離射撃(山越え射撃)が可能であり、大威力の攻撃を可能とする装備』
となります。
一般的な榴弾砲なら射程は20km〜30kmとなります。

また、前線部隊からの援護要請に従い、指定された座標へ砲弾を叩き込めるだけの精度も必要となります。
そんなワケで射撃だけではなく通信担当や弾薬補給担当、弾着観測部隊そういったものの統括本部も必要な、金のかかる部隊だったりするわけですよ。
ちなみに自衛隊では榴弾砲やロケット砲を装備する野戦特科と、高射砲や地対空誘導弾を装備する高射特科が存在しており、
なかなか混沌としております。でもパトリオットミサイルを運用するのは航空自衛隊だったりするし、この辺を把握できればテストには受かりそうですね(何の)。

上から『FB256 1.2mm滑腔砲』 『FBモデル M16A1アサルトライフル』 『FB0.9Vアルファ・ピストル』
一般的に『砲』と『銃』の違いは明確に区分されていないものの、
銃よりも大威力なのが砲、という物凄く大雑把な認識で良いでしょう。
ちなみに『機関銃』と『機関砲』の違いは、20mm以上の弾丸を発射するのが機関砲、
それ以下の弾丸なら機関銃、というところです。
ただ、12.7mm口径を用いる銃を『重機関銃』と分類することもありますので、このあたりは臨機応変に対応していきましょう。

で、このフォートブラッグさんが装備している『砲』はパッケージの表記で見る限り『1.2mm滑腔砲』となっているわけで。
…どう考えてもこれは『砲』じゃねえよなぁ、対戦車ライフルだよなぁ、と思ったわけですよ。
この口径となると、フォートブラッグさんの『砲兵型MMS』と言う部分への認識変化があります。
少なくとも現在の榴弾砲なら155mm、大きい口径だと203mmとなりますし、高射砲でも旧ドイツ軍の88mm砲(正式にはFlak36/37)があったわけですから。

となればこのフォートブラッグは仮に実寸に直しても14.4mmがいいところであり、その到達距離は良くて2km。
そういった認識を踏まえますと、このフォートブラッグは『砲兵』というより『対機甲戦闘砲兵』と言って良いでしょう。
判りやすく言うならば、対戦車砲兵です。
フォートブラッグさんが装備している滑腔砲ですが。こちらは砲身の内部が滑らかで、ライフリングの刻まれていない砲となります。
元々、『砲』というものが生まれた当初は滑腔砲(あるいは銃)だったのですが、
技術の進歩と研究により、弾道の安定を図るには弾丸自体に回転をかけることが有効だという検証が成された結果、
その後の主流砲は艦砲から榴弾砲に至るまで、ライフル砲(あるいは施条砲)だったわけですね。
これはもちろん戦車砲にも適用され、各国のいわゆる『戦後第二世代戦車』までは殆どライフル砲が採用されていました。

ただ、戦車の開発競争の中で装甲は分厚く硬くなっていき、それに伴って主砲の威力増加が急務となります。
高威力の砲、砲弾の開発に力が入れられる中で、ライフル砲から砲弾を発射する際、砲弾の回転に用いられるエネルギーと、ライフリングと砲弾の間から漏れるガス圧が問題となりました。
つまり想定されたガス圧が完全に伝わらないままに砲弾が発射され、同時に弾丸が得たエネルギーの一部が回転に用いられ減耗した状態で目標へ向かう……ということですから、着弾した際の威力はデータ上の数値よりも劣る威力となるわけです。

それを解消するべく開発されたのが、砲身内部を滑らかにし、弾丸に回転をかけず発射する滑腔砲です。
回転の掛かっていない砲弾は弾道が安定しませんが、砲弾に姿勢安定用の翼をつけることで空力的な姿勢安定を実現。
滑腔砲が最初に導入された戦車は旧ソ連のT-62であり、搭載された115mm滑腔砲U-5は、世界で始めて制式化された対戦車滑腔砲となります。

……世紀のやられメカことT-72神、世界のどこにでもあるT-55と比べて地味すぎる印象のT-62ですが、実は近代戦車開発史においては重要な位置にあるといえるでしょう。使えないけど。設計みてると何考えてるのか甚だ疑問だけど。
砲弾に翼をつけて空力的な安定を得る、と先述しましたが、それを実現するのがAPFSDS……装弾筒付翼安定徹甲弾です。
これは重金属製の細長い弾頭部を軽金属の装弾筒で覆ったもので、全体的な重量を軽くすることで高初速を実現しました。
ただ、翼による安定を図っているため横風の影響を受けやすく、射撃時には風向センサーによる補正が必須となります。

発射薬のエネルギーは装弾筒・弾頭の双方が受け取りますが、砲口からの発射後に空気抵抗を受けて装弾筒が分離、弾頭部のみが目標へ向かいます。
針のような形状の弾頭部は着弾時、極小さな抵抗で目標装甲を貫通することが可能です(細い針と鉛筆を豆腐に刺すとき、どちらがスムーズに刺さるかを考えてみてください)。
APFSDSとは、装甲の貫通に特化した砲弾であるといえるでしょう。

……そのハズなんですが、イギリス陸軍の誇る現用主力戦車チャレンジャー2は、未だにライフル砲を採用しています。
さすがイギリス。伝統を抜いたら何も残らない国だけありますなぁ……。
まぁ120mm滑腔砲への換装も計画されているらしいですが、それが完了する前に次の主力戦車が出てくるんじゃないでしょうか。
逆に言うと滑腔砲が有効なのは対戦車砲に対してであって、榴弾砲などに対しては通常のライフル砲が求められます。
以上の点を踏まえて、フォートブラッグは対戦車(機甲部隊)用装備だと断定できるでしょう(長いわ)。

背部のバックパックからアンカージャッキを伸長、同時に安定脚も展開し、着座状態で砲撃を行うフォートブラッグ。
第二次世界大戦当時、対戦車砲は非常に有効な戦力であり、戦車エースである旧ドイツ軍のミヒャエル・ヴィットマンですら対戦車砲の撃破には戦車撃破の倍の価値を見出していたといいます。
戦車と違って小さい目標であり、低い姿勢で待ち伏せするために発見されにくく、砲威力によっては敵戦車をアウトレンジから撃破できるためであり、スターリングラードの戦いでは市街地の瓦礫の中に据えられた対戦車砲によってドイツ軍戦車が手痛い被害を受けたという話もあります。

おそらくフォートブラッグも塹壕内・あるいは掩体壕内に陣取り、頭部バイザーで捕捉した目標に対して遠距離射撃を行うのが主任務となるでしょう。
砲の左右への指向は不可能なため、安定脚を動かして姿勢転換、目標へ砲を指向します。

制式装備に拳銃とアサルトライフルが含まれていますが、対戦車砲兵が白兵戦を行うような事態が発生するのは戦線が瓦解するときでしかなく(その際ですら砲兵などは撤退を命じられるべきですが)、あまり有効な装備だとはいえません。
しかし対戦車砲兵ということでその姿勢安定・照準システムは他のMMSの装備を超えているため、市街戦での狙撃任務などにも借り出されたものと思われます。
アサルトライフルにスコープが装着されているのはそのためでしょう。
コレはさとっちさんの完全な妄想なので聞き流して欲しいんですが(上の文章全部そうじゃねえ?)、
今まで出てきたMMSを見ているとなかなかいい感じの分類が出来るかと思います。

・アーンヴァル……戦闘爆撃機
・ストラーフ……戦闘ヘリコプター、あるいは強襲空挺部隊
・ハウリン……対陣地装備の歩兵
・マオチャオ……主力歩兵(白兵)
・ヴァッフェバニー……主力歩兵(分隊支援火器)
・ツガル……制空戦闘機
・サイフォス……重戦車
・紅緒……重戦車

という感じでしょうか。
ツガルが制空権を敵から奪いアーンヴァルが上空から高速で敵陣に爆撃を実行。
紅緒とサイフォスで敵の攻撃を誘引しつつヴァッフェバニーとマオチャオ、ハウリンが敵陣に肉薄。
同時にストラーフが空挺強襲を行い突破口を拡大する、というところでしょうか。
攻勢にあたってはフォートブラッグの活躍する場面がない可能性もありますが。