アルター 1/100スケール
戦闘妖精雪風 FFR-31MR/D スーパーシルフ“雪風”
さてさてさて。

『マクロスF』で大いに空戦シーンが盛り上がっている今日この頃。
TV放映とは思えないクオリティに驚きを隠せないのですが、それも『マクロスゼロ』があったから……というのは事実です。
だがしかし、『戦闘妖精雪風』の存在を忘れてはいけないと思うのです。

神林長平先生の小説『戦闘妖精雪風』および『グッドラック 戦闘妖精雪風』をベースにGONZOが制作ということで、
一抹どころじゃない不安を抱きつつ結局全部見たんですが(ぇー)、
全体的にはやっぱり不満があるなぁ……というレベルだったのはまた事実。
でもしかし、フルCGの空戦シーンの迫力は本気でかなりのモンでありまして、さとっちさん大興奮だったわけですよ。
やっぱりGONZOにややこしいストーリーをやらせちゃいかんなぁ……という確信を強めるに至ったワケですが、
というか、何故にエンディングテーマ担当がムッシュかまやつだったのかは、未だ解き難き謎です。


それはそれとしまして、また後ほど議論しましょうか(するんですか)。

今回アルターから『アルメカ』シリーズ第一弾として立体化されたのは、初代雪風であるFFR-31MR/D型です。

フェアリィ空軍の主力戦闘機であるシルフィードを『戦術偵察仕様にする』という名目で予算を獲得し、
まったく別個の機体として開発されたのがFFR-31MRスーパーシルフ。
それをさらに改良したものがFFR-31/Dスーパーシルフとなります。
通常、D型というと複座タイプを指すというイメージがありますが、
FFR-31MR(ややこしいな)もFFR-31MR/Dも、両方共に複座型の航空機です。

型式を詳しく分析していくなら、
FFR-31(シルフィード)のM型として書類上存在するのがスーパーシルフ。
MRの『R』は偵察を意味するReconのRですね。 日本にもRF-4Eファントム2がありますが、アレも偵察仕様です。

で、そのM型R仕様のスーパーシルフの先行型が所謂『FFR-31MR』型で、
配備後に出て来た問題点や改善要望ポイントを改良したのが『FFR-31MR/D』型ということかな。
通常の航空機でも、先行量産型のA/B型と、正式量産型のC/D型の間には無数の改良点が見受けられますし……。
D型はもしかしたらラムジェットブースターを装備しないタイプのことを指すのかもしれませんが。


なにやら前説で実に疲れ果てたのは何故かしら。
まず一発目は漢の浪漫たる装備品の展開図から。
ここに載っているのが雪風に付属するオプションというコトではありませんが、それはそれとしまして。
でも皆さん、ミサイル大盛りとか大好きでしょ?

しかしお見せしたい部分が非常に多いため、今回も2回に分けてレビューさせていただきます。
まずは機体の全周を。 ライン的にはSu-27フランカー系を彷彿とさせます。
キャノピー後部のカナード翼に下反角の付いた主翼、首脚格納庫前のスタビライザー、外反角が付いた二枚の尾翼と、
機体中央部に配置された垂直尾翼、エンジンブロック斜め下のベントラルフィンなどなど、
機体の安定性や空力操作に重きを置いた機体設計なのが良く分かります。

今回立体化されたのはフェアリィ空軍の戦術戦闘航空団、その中の特殊戦第5飛行隊‐通称ブーメラン戦隊‐に配備されている
主人公である深井零の愛機『雪風』。
ラムジェット・ブースターを装備せず、研究評価用に配備された機体でした。
まさか第一巻でぶっ壊れるとは思いませんでしたけどね……。

なお、FFR-31MR/DスーパーシルフからFRX-00へと撃墜される間際にそのデータ全てを転送したことで、
FRX-00(後に正式配備後、FFR-41)にその名が受け継がれています。

後に登場するメイヴほど突き抜けたデザインではなく、あくまでも現用機が発展していったらこうなるかもしれないという
リアルさを感じられるデザインが好印象ではあり、かなり好きな機体です。
スケールは1/100となっており、一般的な航空機プラモデルのスケールよりも二周りぐらい小さい縮尺です。
しかし元々の機体サイズが非常に大きい(全長22.0m)ため、決して小さくはありません。
航空機が好きな人であれば分かるかと思いますが、Mi-24ハインドのようなコクピット配置機種ですからね……。

ちなみに全長22メートルと言うのは、米軍だと大型戦闘機としても有名なF-14(19.1m)、F-15(19.4m)を大きく引き離しており、
ついこの間ペリカンに撃墜されかけたF-111アードヴァーク(22.0m)がやっと太刀打ちできるぐらいです。
そのワリに全幅は小さく13.2mと、F-15よりも1回り以上以上コンパクトにまとまっています。
機体ラインが近いスホーイ系と比べると、Su-27(全長21.9m、全幅14.7m))とほぼ同サイズになっていますね。

いずれにしても双発タンデム複座の偵察機としては破格のボリュームになる機体です。

(画像マウスオンでロールオーバー)
機体の上面と下面を。
表面の塗装はグレーの単色迷彩。 裏面は惑星フェアリィの空の色である、薄いグリーン塗装になっています。
現用航空機でも、表面と裏面で迷彩のパターンを変更している空軍が非常に多く、
一昔前の表面も裏面もグレー単色(あるいはグレー二色)迷彩……という機体は少なくなっていますね。
機首部には『雪風』のマーキング。キャノピーの枠部には搭乗員の名前が記載されています。
前席がパイロットである深井零中尉(後に大尉)、後席がオペレータのリチャード・バーガディシュ少尉。
コクピット内には二人とも着座状態で造形されていますが、やはりスケールの関係でそこまでシャープではありません。

なお、通常だとパイロットの名前ではなくコールサインを記載することもある模様。
ちなみにちょっと前ですが、もう現存しないF-14の飛行隊でコールサインを『マーベリック』と『グース』にしている、
実に愛すべき大バカ野郎どもがいたのを思い出しました。 あの画像どこいったかなー。
機首の右面には搭乗員の名前はありません。
こうして見ると、かなり下方視界は悪いんですね。
機体のストレーキ右側上面には20mm機関砲。 薬莢の排出口がないということは、ケースレス弾使用ということでしょうか。
カナード翼の下部(左右)にはブーメラン戦隊のマークが描かれています。
胴体背面に大きなインテークが設けられていますが、吸気/排気というよりはボーテックスフローコントロールのガス噴射用かな。
空中給油用のブロープ収納部は、左尾翼の前側。
翼端に大きな下反角の付いた主翼はこんな感じ。 各翼縁が非常にシャープなのが嬉しいです。
左右で色の違う翼端灯もちゃんと再現されています。
左側が赤、右側が緑(ブルー)ね。 ちなみに船のライトも、左側は赤色ですので『赤色→ポート→左側』と覚えましょう。
だから赤玉ポートワインは『ポート』って付くワケですね(本当かよ)。

なお、翼上面にある赤色のラインはウォークウェイ。
このラインの外側には動翼がありますので、整備員がウッカリこのエリア外を踏んだ日にはぶっ壊れます。
ミサイル/増槽を装着するハードポイントは翼面下部とエンジンブロックの横に。
左右で4箇所なら充分かと一瞬は思いますが、4箇所へ同時に装備させることが出来ないため、実質2箇所のみとなります。
エアインテーク内部にはタービンブレードが設けられています。
結構シャープなイメージですが、肉眼では見えても撮影しにくいことこの上ありませんでしたorz
インテーク前のDANGERマークとかも丁寧ですね。
エンジンはベクタード(推力偏向式)ノズル。メタリックの塗装が栄えますね。
推力偏向フィンはかなりシャープなので、落としたりして破損しないよう注意しましょう。
尾翼は左右ともに機体番号の503とブーメラン戦隊のマークが描かれています。 尾翼のライトは左右共に赤なんですね。
恐るべき精度で構築されている着陸脚収納部はこんな感じに。
ハッチの前面にある凹みへ治具を差し込み、テコの要領でパネルを外し、着陸脚のパーツを差し込みます。
着陸脚収納部の内側は現用機テイストで、ホワイトにカラーリングされています。
左右共に着陸脚収納部は治具を使っての差し替えです。
このカッチリ感が嬉しいところ。 機体下面のグリーンに、ホワイトがワンポイントで良い感じですね。
首脚収納部は機首下のスタビライザー後部に。
一見すると、ここに収納部があるとは分からないぐらい綺麗なラインです。
首脚収納部はこんな感じで。一旦機首上面のカナード翼を取り外し、そこから治具を差し込んで収納部ハッチを下へ押し出すように。
そこへ、首脚を展開した状態のパーツを接続します。
変に開閉可能にしたりせず、潔く差し替えを行っているため、一見そういうギミックがあるとは思えないぐらいのまとまりがあります。

なお、首脚・着陸脚は両方共にABSパーツ。
本体もABSパーツでそこそこ重量があるため、経年変化での破損などが少し心配ですね。
ちなみに主脚パーツが折れて航空機が倒れることを、『主脚転倒』と言います(ぇー)
ふと思い立って同じ1/100スケールなコア・ファイター(MGのSガンダムより)と並べてみて。
しかしもうアレですね、スケールが同じと言うだけで、オモチャと模型の違いというのがハッキリ分かります。
正直、ココまで痛々しい結果になるとは思いませんでした。
っということで、まずは雪風の基本の部分でありました!!
次回は雪風の装備品あたりを全部ひっくるめてレビューしますので、しばしお待ち下さいな。