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戦闘妖精雪風 FFR-31MR/D スーパーシルフ“雪風” 装備編
さてさてさて。

前回の雪風では主に機体構造を説明しましたので、今回は装備を主に。


装備を主に……と言うか装備しか紹介してませんが、皆様の予想通り、やたらと長くなってます。 
こちらは前回も掲載しましたが、雪風の装備品展開図。
空対空ミサイルが4種類×2と、ドロップタンクが2個付属しています。
また、雪風の本当の意味での最強装備であるTARPSは胴体下面に装備中なので、この画像には映っておりません。
付属するベースはブーメラン戦隊のマークをモチーフにしたものです。
ビス止めで角度変更が可能なのが嬉しいところ。グラデーション塗装も綺麗ですね。
こういう航空機の展示だと、やはり飛行状態で飾りたい気持ちがありますからコレは嬉しい。
裏面を見るのにいちいちひっくり返さなくて済みますしね(笑)。
ベースの接続は後述するTARPSの中央部に。
上下への可動軸と、左右への可動軸が設けられていますので、かなり自由度が高いですね。
軸が緩んでしまったら小型ドライバーで締め直せるのは素晴らしい。

(マウスオンで画像ロールオーバー)
雪風の最強装備、戦術航空偵察ポッドシステム(Tactical-Air-Recon-Pod-Systemの略かな)、TARPSはこういう形状です。
翼を生やせばすぐにでも航空機として活動可能っぽいですが、これは稼動する際に下面へ大きく張り出す必要があるからですね。
空力を無視した形状の物体はさすがに装備できません。

なお、グリーンの面が地上を向いて配置されます。中央の軸穴はベース接続用のものですね。
TARPS中央部にある翼状の物体はマルチバンドESMセンサーブレードです。

一般的によく聞くのは『ECM』であり、『ESM』はあまり聞かないですが、
ECMは『Electoroniic-Counter-Measures』であり、電子対抗手段を意味します。
つまり敵の電子機器‐レーダーやセンサー、通信を妨害したり欺瞞したりと言った、積極的な電子戦手段に当たります。

対してESMは『Electronic-Support-Measures』であり、電子支援手段を意味します。
友軍以外の対象を探知・識別し、潜在的脅威や標的の位置を特定したりするのが優先ですね。
ここで得られた情報・データを元に友軍を誘導したり支援したり、という、戦闘の大前提になるデータ集積の手段と言えるかな。
ECMはその後の話、ということになります。
何より、ESMは基本的に受動的な電子戦手段であり、敵から捕捉されるリスクを限りなく小さくすることが可能です。
TARPS起動時は展張用のシャフトパーツを胴体とTARPSの間に挟み込んで。
TARPSの先端にある薄いグレーのブロックにカメラが集中配置されているのが分かるでしょうか。

(マウスオンで画像ロールオーバー)
センサーブレードを展開すると、大型スタビライザーを展開したように見えますね。
翼が一枚増えたような感じで、シルエットにハッタリが付くのが面白い。
さて、次はどんな飛行機にも欠かすことの無い要素であり、ある意味で最も大切な装備のドロップタンク。
簡単に言うと使い捨ての外付け増加燃料タンクで、目的地までの移動時に使います。

ドイツ軍が第二次世界大戦でイギリス上陸作戦に失敗したのは、主力航空機がバトル・オブ・ブリテンで勝利できなかったから。
足の短かったMe109やFw190では、ドーバー海峡を渡ってイギリス上空に行っても戦えるのが10分〜15分では何も出来ません。
飛行機の行動可能時間や半径と言うのは、つまるところ燃料搭載可能量そのものですから、
航空機メーカー各社は色々と苦戦するんですよねー。

なので基本的に軍用機は機内燃料タンク以外にも外付けの燃料タンクを追加することが求められるんですが、
そもそも機内燃料タンクの搭載にすら苦戦したイギリス空軍(RAF)のライトニングというバカ戦闘機がありまして。

双発単座のジェット戦闘機でインターセプター任務……というコンセプトは良いんですが、
何故かエンジンを並列じゃなくて縦列に配置したモンだから胴体は必然的に縦長に。
さらに機首部には二機のエンジンに必要な大吸気量を稼ぐためのバカデカいショックコーンを配置したおかげで
コクピットの位置はやたらと高くなってパイロットが落ちたら骨折必至。
しかも中翼配置にしたとは言え元々胴体が縦長なので着陸脚もクソ長くなり、
それを収納する主翼下部の着陸脚収倉が大型化した結果、主翼下部にハードポイントを設置できず
ハードポイントは胴体真下部にミサイル二発分だけ。
その他にも空力特性を良くするために胴体中央部を絞り込んだ結果、胴体内に燃料タンクが増設できなくなり
主翼下が無理なら上だ!!とばかりに主翼の上にドロップタンクを配置すると言うクレイジーっぷり。
機関砲も積んだは良いけどそもそも燃料搭載スペースにすら苦戦する勢いですから、
弾倉スペースはごく小さくて弾丸搭載量はたったの120発

要するライトニングUは『足が早いけど短くて、武装が少ない』という、迎撃機に使うしかない戦闘機でありまして、
当然のように輸出競争ではミラージュF-1やアメリカのF-104に惨敗しました。
コンセプトは良いんだけどね、強力なエンジンで急上昇して敵機にミサイルを叩き込むって言うのは……。
というか、コンセプトを完全に満たす戦闘機という意味では傑作なんだけど発展性が0でした
現に60年代の設計ながらマッハ2.0を叩き出し、上昇力ではF-15クラスというのは凄い話なんですよ。
それでも珍飛行機であることに違いは無いんだけどな。

物凄く脱線しましたが、つまり航空機で一番大事なのは燃料搭載量だ、ということでよろしいでしょうか。
偵察機というコトで航続距離が実に重要な雪風のドロップタンクはエンジンブロック両側のハードポイントへ一箇所ずつ。
TARPSを胴体下面中央部に配置している関係上、一般的な配置である胴体下面中央部には配置できないわけです。

なお、戦闘機動に移る際には、これらのタンクは投棄します。
こんなデカくて重いのをぶら下げたまま空戦は出来ませんし、被弾時に真っ先に爆発炎上しますからね。
エンジンブロック両サイドのハードポイントには、AAM-Vを一発ずつ装備することも可能。
個人的には、このエンジンブロック側面部〜主翼下面に繋がるバルジはコンフォーマルタンクじゃないかと思います。

コンフォーマルタンクもドロップタンクも同じく増槽ですが、コンフォーマルタンクは機体表面に密着するよう装備されます。
そのためドロップタンクよりも空気抵抗が小さく……あるいは空力的に充分配慮した設計にすることが可能。
なおかつハードポイントを使用しないため装備の数を減らす必要がありません。
その分設計が面倒だったり高価だったりしますけどね。.

現用機ではF-15Eストライクイーグルと、F-16Cのブロック60に装備されています。
この雪風(スーパーシルフ)の装備形式はF-15Eと同じタイプ。
コンフォーマルタンク自体にハードポイントを設けているのも共通していますね。
ちなみにF-16のコンフォーマルタンクはイギリス人が考えたんじゃないかと思うぐらいちょっとブサイクな装備方法です……。
AAM-Vは主翼下面のハードポイントに、連装ランチャーで装備することも可能です。

ちなみにAAMというのは『Air-To-Air-Missile』の略で、空対空ミサイルを指します。
なお、空対地ミサイルの場合は『Air-To-Surface-Missile』で『ASM』、または『Air-To-Ground-Missile』で『AGM』と呼ばれます。
なお、空対艦ミサイルであるハープーンはASMでもあり、SSM(Surface-To-Surface)でもあります。

(マウスオンで画像ロールオーバー)
AAM-Vの連装ランチャーはこんな感じ。 オーソドックスな作りですね。
ロケットノズルもオーソドックスな円形で、現用戦闘機に搭載されていても不思議じゃない形状です。
シーカーヘッドのサイズやミサイル自体のサイズを考えると短距離空対空ミサイルでしょう。
現用ミサイルで言うならAIM-9サイドワインダーに相当するのかな。
こちらはAAM-X。
形状的にはAAM-Vよりも大型で、シーカー部も大きいですからレーダーホーミングタイプのミサイルでしょうか。
ロケットノズルは推力偏向式ですから、空中機動性は非常に高いと思われます。
現用機で言うならスパローとかその辺かな。
これがスーパーシルフの最大兵装であるAAM-Z。
形状的にはAAM-Xと似ていますが、サイズはこちらの方が二周りぐらい大きいですね。
現用機で言うならAMRAAMというところでしょうか。

こちらもAAM-Xと同様、推力偏向式ノズルを備えたミサイルですが、AAM-Xと違い、安定翼が可動式のようです。
推力偏向ノズルと可動翼の組合せですから、空中機動力の高さは恐るべき物かと。
逆にいうと、これぐらい強力なミサイルでなくては対抗できない敵、それがジャムだということですね。
ミサイルを装備可能とは言え、本来の任務は偵察と情報収集。
なので味方がどんなに苦戦していても、高みから戦場全体を見下ろし自らは介入せず、確実に帰還することを最優先とする……。
それこそが『ブーメラン戦隊』であり、そうであるがゆえに友軍からも嫌われる存在でした。

ですが、OVA最終巻のFAF総力を挙げた航空作戦において、苦戦するグール隊のシルフィードを颯爽と援護し、
電子戦タイプのジャムを探知して一斉攻撃で撃破するスーパーシルフの姿には心躍らされました。


「…特殊戦!?…助かった!」

「幸運を!」

「そっちもな!帰ったら地球で一杯奢るぜ、兄弟!」


この一連のやり取りだけで、もう、泣けます。
さすがにフェアリィの空……というわけには行きませんが、本物の空を背景に撮ってみました。
本来なら抜けるような青空の方が良かったんですが……梅雨時期ともなるとそうも行きませんね(苦笑)。

正直、OVAシリーズの内容はとてもとてもアレな脚本でGONZOクオリティ満載でしたが、
空戦シーンは本当に素晴らしいものがあります。
空戦シーンのためだけにブルーレイBOX……というのは苦行以外のナニモノでもないので全力で止めますが、
レンタルで見るのはちょっとオススメさせていただきますよ。
さとっちさんは一応こう、原作好きとしてこの雪風を飾る次第です。


元々このスーパーシルフもメイヴも、バンダイからEXモデルとして1/100スケールで発売されていました。
出来は良かったようですが、スケールモデラーからすると1/100スケールは異端スケールですし、
そもそも如何に現用機テイストに溢れているとは言え、架空メカを作成するかと言うのは尽きない疑問。
さらにキャラクターモデラーからすれば、ロボットではなく純然たる飛行機、
しかも題材は傑作小説を下敷きにしたダメ脚本OVAに登場するだけ……となりますと、
これもまた購入から作成への動機付けには弱い物。
ましていわんや、『飛行機モデル=作るのが難しい』という先入観から、購入を断念していた人も多いのではないでしょうか。
アマゾンでは取扱いがありませんが、模型店を回ればまだまだ店頭でEXモデルも見かけます。
この雪風と並べるため、ということでメイヴを買うも良し、雪風と並べて他のスーパーシルフバリエーションを作るもよし。
ちょっとだけ、架空メカのモデルを作るキッカケになりそうですね。


……もっとも、アルターからメイヴが出るのを待った方が確実のような気もしますが……(ぇー