バンダイ 1/144 HGUC
RX-93-ν2 Hi-νガンダム
さてさてさて。

数あるガンダムの中でも、これほどまで人によってイメージの変わる期待はそうそうあるまい、というのが今回のHi-νガンダム

元々は角川スニーカー文庫の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に掲載された、出淵裕氏によるイラストがベースであり
ホビージャパン誌上で1990年に立体化されたのが、おそらくもっとも多くの人の持つ『Hi-νガンダム』の共通イメージではある、と思います。

しかしそういったワンオフモデルが元である以上、やはり微細な印象のズレが生まれやすいのもまたj現実。
特に昨今ではより『一般受けするバランス』へとリデザインされたものが主流になってきており、
異形のMSとしてのHi-νガンダムが好きな人間と、オーソドックスなガンダムタイプの機体としての
Hi-νガンダムを好む人との間で無用な軋轢が生じ、非常事態宣言が出たりもしました。 
ウソですが

まぁどちらにしましても、半公式的な扱いだった機体が完全に公式機体となっちゃった辺りには、
いささかの違和感を覚えている方がオールドファンの大部分であろうかと思います。

かくいうさとっちさんもその一人で、νガンダムとHi-νガンダムとは同一の機体であり、決して『強化発展型』ではないという意識なんですが……。

閑話休題。

そんなワケで初のプラキット化となったマスターグレードのHi-νガンダムはあまりにもプロポーションがイメージとかけ離れていたため
サックリと購入を断念したりもしたさとっちさんですが、今回のHGUC版はこれまたサックリと購入しました。
MGのあのアホみたいなプロポーションの最悪さは一体なんだったのかとバンダイを問い詰めたくなるぐらいに素晴らしい、
傑作の呼び声も高いノーマルνガンダムも、νガンダムHWSも購入して組上げておりますし。
今回のHi-νは色分けがハンパじゃないとホビージャパンで読みましたし。
ならば味わってみなくては……ということで、『HGUCでバンダイがどこまで出来るか』を見定めるため、とでも思ってください。

なお、今回はいつもの方針をちょっと転換しまして、スミ入れを行っています。
ホワイト、ブルー、グレーというシンプルかつ地味な配色のため、機体各部のモールドが予想以上に目立ちませんでして……。

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まずは恒例の全身グルリ。
1/144スケールですがかなりのボリュームを誇り、かつ上後方に重心が来ているためちょっと自立が厳しいかな、と。

プロポーションはややどっちつかずの感もありますが、
オールドファンも新規ファンもまぁ納得、と言う感じのスタイルですね。文句は特にありません。

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正直、アップにするとスケールが分からなくなるぐらいに情報密度が高い胴体。
Ho-νガンダムのイメージとはちょっと違っているかもしれませんが、非常に『カッコいい』デザインで立体化されていますね。

頭部はνガンダムと同じで、合わせ目の出ない一体成型ヘルメットを採用。
強いて言うなら頭部側面にパーティングラインが来ているので、そこをペーパーがけしてやるだけで充分です。
今回使用したシールは東部ツインアイとメインカメラ部のみ。
テトロンシールのEFSFマークやアムロのパーソナルマークが付属していますが、
何となーく、使用していません。
面倒だからとも言う。
ミクロン単位での彫刻が可能という造形マシンで彫り込まれた額の文字。
正直なところ見えるか見えないかギリギリのサイズなのにここまで頑張るバンダイはちょっとアタマがおかしい(誉め言葉)。

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首関節には通常のνガンダムと同じで、上方へ大きく跳ね上げるタイプのパーツが配置されています。
飛行シーンのディスプレイに高い威力を発揮しますねぇ。

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背部ファンネルラックからは一端ファンネルを外して。 後述のプロペラント/スラスターユニットも外しています。
ファンネルラック上部にはサーベルラックが設けられており、左右に1本ずつ収納されています。当然ながら脱着可能。
脚部はかなり良い感じで色分けされており、なおかつパーツの合わせ目が目立たない構成。
ゲート跡をしっかり処理さえしてあげれば、非常に良い出来ですね。
武装一覧はこちら。
ビームサーベルは2本付属していますが、サーベルの刀身は1本だけ。 どうせなら2本付属させていただきたかったなぁと思います。
プロペラント/スラスターユニットは2本付属していますが、先端に4基配置されているバーニアは市販部品に交換してやるのが良いかもしれません。
ビームライフルとハイパーバズーカはORE-GUNのガンラックに懸架しています。付属しないので要注意。
ハイパーバズーカはνガンダムのものとほぼ同じデザインですね。グリップは可動式。
シールドはこの色分けを少ないパーツ数でしっかりと再現しているのが恐ろしい、何でしょうかこのバンダイの変態的成型技術は。
フィンファンネルの展開可能なものが2基と収納状態のものが2セット付属しています。
ファンネルラックマウントするうち、トップの位置に配置されるのが可動タイプですね。
全部展開可能ではないのが残念ですが、同じようなパーツを延々と組み続ける苦行がなくなったのは喜ぶべきか。

なお、このファンネルラックは外側に広ける事も上方/下方へスイングさせる事も出来るので、
かなりハッタリの利いた見せ方も可能です。
ただしやりすぎるとストライクフリーダムガンダムになってしまうので要注意。
足底部は肉抜き穴なし、モールドバリバリというこの恐ろしさ。
バーニア部だけグレーや金属色で塗ってあげれば良い程度ですね。恐ろしい。

ただしスネ内部の可動軸と、足首側の可同軸の配置に少し問題があり、あまり可動範囲は広くありません。
忘れていましたが右前腕にはマシンガンが。
銃口も弾倉も別パーツで再現されているあたり、本当にバンダイはちょっとフューチャーに行き過ぎていると思います。
まぁコトブキヤのキットの偏執狂的な色分けに対抗してきただけ、とも考えられますが!!!
Hi-νガンダムのフル装備状態をグルリと。
νガンダムと違い、背中中央部にスタビレーターが配置されているためハイパーバズーカのマウントラックはありません。
銃の持ち手は右手首用が1個しか付属していませんので、事実上どちらかの選択式ということに。
左用の持ち手も付けてくれれば良かったんですが……。
個人的にアムロの駆るνガンダムは、回避と射撃が同時に行われる印象があります。
回避は回避、射撃は射撃、なおかつ見え切りまで交える福田流(キラ風)の戦い方とはまったく違いますね。
ライフルも体に近づけて重心位置の近くから撃つ、というべきかな。

ロボットアニメ的には福田監督の流儀を否定することもありませんが、
やはり『トップエース』たる者の戦い方は、それなりに説得力がないとね!!と思いますね。

フライングベース接続用のポリキャップはいつもの股関節真下に設けられています。
基本的に宙間戦闘しかしてない機体なので、フライングベースは必須かなと思いますよー。
ビームサーベルは柄の下部からもビームが発振される形式。
νガンダムの性能的には、相手に切りかかる瞬間にビーム刃が形成されるのが正解のため、こういった見え切りポーズはありえませんが一応ね。
サザビー自重してくださいといいたくなるこのサイズ差。
同じスケールだというのに何でしょうかこのボリュームの違いは……。
ナイチンゲールが出た日にはどんな大惨事が繰り広げられるのか楽しみ怖くて仕方ありません。

っということで、HGUCのHi-νガンダムでした!!!
出来の良さは折り紙付き、足首の可動範囲を広げる工作が出来れば概ね文句なしじゃないでしょうか。
もちろん、付属品の部分で少し言いたい事こそありますが、
この値段でこのクオリティで……と考えると充分以上かと思います。
あとはもう一個買って、オーソドックスなνガンダムカラーにしてみたいですねぇ。
組む上でのストレスもなく、いやぁ実に良いキットでした。