バンダイ 1/144 HG
MSJ-006V-A セルゲイ専用ティエレンタオツー
さてさてさて。

おそらく機動戦士ガンダムダブルオーの中でも『もっとも惜しまれた戦死』を遂げたセルゲイ・スミルノフ大佐。
友人によるクーデターを止める事も叶わず、実の息子の誤解を解くことも出来ないまま、その息子に討たれて散った、
あまりにも悲しく、あまりにも呆気ない死に
「とうとうブラック黒田さんが本領発揮を……」と思わされました。

そんなスミルノフ大佐の最期の機体がこの『セルゲイ専用ティエレンタオツー』となっています。
タオツーと言っても脳量子波対応型だったソーマ・ピーリス搭乗機とは違い、便宜上『タオツー』と呼ばれているだけであり、
正式名称は『ティエレン全領域対応型』となります。
人革連の時期主力機として開発されていたものの、擬似太陽炉搭載のGN-Xの配備によって開発終了となったこの機体。
カラーがピンクからダークブルーになっただけでこんなにも落ち着くとは……(黙れ)。

連邦軍にもGN-XVが配備されているのに、どうしてこの機体でセルゲイがハーキュリーの説得に向かったのか……というところを考えると、
色々なものが見えてきますね。

その辺は以下のレビューで書いていきましょうか。
まずは恒例の全身グルリ。 1/144ですが、やっぱりボリュームがありますねぇ。
実はティエレン系の機体キットを組むのは今回が初めてなんですが、非常に素性が良くて驚かされました。


さて、セルゲイが極秘任務としてハーキュリーの説得に向かわされた理由ですが、まずは
軌道エレベータの占拠が連邦の反乱部隊によるものだ、という事実を隠す必要があったから
という前提条件があります。

アロウズからすれば『反アロウズ勢力が連邦軍内に存在する』という事実は、
自分たちの権力確保にマイナスとなりますし、連邦軍内部でそういった『反アロウズ』の動きが出てくれば、
少数精鋭であるアロウズの対処能力を超えてしまいます。

それにそもそもアロウズの権限拡大傾向をストップさせよう、という動きが議会に出てくれば、
あの段階では留めようがありません。 アロウズはまだ単なる1部隊でしたからね。

ということで、アロウズからすれば
・軌道エレベータ占拠に巻き込まれた市民はすべて反政府思想の予備軍
という認識にすることで、占拠部隊もろとも人質を吹き飛ばすと決めていたわけですからね。
上半身は直線が交差しまくる立体構成になっていますので、ヒケ処理やゲート跡の処理をするときはしっかりと当て木をして、
ラインにヨレが出ないように注意しましょう。
今回、付属するシールは両肩上部のライトとモノアイにだけ使用しています。
モノアイはよくあるパターンですが左右へのスイングが可能です。


さて、軌道エレベータ占拠部隊もろとも人質をブチ殺す事を決めたアロウズですが、
ならば何故カタギリ司令がセルゲイをハーキュリーの説得に向かわせたか。
今から殺すと決めてる人間の説得なんて必要だったのか?という疑問がありますが、それはやはり

・クーデター前のハーキュリーと接触していたから

ではないかと思います。つまりセルゲイも危険視されていた。

とはいえ連邦軍の一部隊の指揮官足りえる人間であり、なおかつクーデター部隊との直接的なつながりも無し。
そうそう簡単に逮捕も出来ないし、暗殺するのも目立ちすぎる。

その一方で、先述したように『連邦内に反アロウズ思想の持ち主がいる』
という事実を公にするわけにはいかないアロウズからすれば、
何とかしてセルゲイを穏便な形で処分する必要があります。

ということでカタギリが相談し、セルゲイを送り出したのはキム司令。
セルゲイを『誰にも見られない場所で』 『特に妨害もなく』殺す計画が上手くいけばアロウズに貸しを一つ作れる、ということで、
「成功の際にはアロウズへ将官待遇で」
と言っていましたしね。
結局のところ、セルゲイはアロウズにおもねるキム司令個人の欲得で
命を勝手に葬り去られた形です。

軌道エレベータを昇っての説得に、GN-XVではなくわざわざ専用ティエレンで行かせてるのも、
今から死ぬような人間に与えるGN-XVは無い、とでも言うところでしょうか。
それにセルゲイがハーキュリーの側に付いたところで

・乗機がティエレンであれば、アロウズのMS部隊の脅威とはなりえない

と考えられていたかと思います。

(画像ロールオーバー)
腰後部にマウントされている大型プロペラントタンクは可動式。


結局あのアフリカタワー倒壊事件が『反連邦のテロリストによるもの』という形で決着がつき、
アロウズの傘下に連邦軍が組み込まれるという形を迎え、
アロウズの権力が異常なほどに肥大化したことを考えれば、
本当にもうアロウズのゲスなやりかたとキム司令の判断の(いやな意味での)正しさが目立ちますね。
まぁ一応そのバックにいるリボンズの『人類の意思を統一する』という計画からすれば、
実に正しい帰着ではあるんですが。

あぁ、セルゲイもハーキュリーも、おそらくは「アフリカタワー占拠事件の鎮圧に向かい破片落下に巻き込まれ戦死」扱いでしょうね。
セルゲイの一番の不幸はそういった自体に巻き込まれてしまったことであり、
バカ息子に誤解されて殺されてしまった、という点ではない……と思いたいものですが。
肩部に装備されたシールドは蛇腹状の接続アームによって大きな可動範囲を誇ります。
ついついクローアームっぽく動かしてしまうのは……何故でしょうね。
このデザインからは想像出来ませんが、立て膝も可能な可動範囲があります。
上半身と違って滑らかな曲線で構成されているのが面白い。

(画像ロールオーバー)
ティエレンの基本装備である200mm×25mm長滑腔砲は放熱板装備の宇宙型用が付属。
勿論放熱板を取り外して地上仕様にも変更可能です。
マズル部分は開口されていないので、ピンバイスで銃口を開けてやるか、マズルを削り落として市販のノズルパーツを使ってやると良いかも。
カーボンブレードも付属していますがコレはあくまでもランナーに含まれているから、というところですね。
コチラが本来の装備である、非太陽炉搭載型もビルスーツ用試作型ビームライフル。
大型のGNコンデンサーを用いて、GNドライブ無しでもビーム兵器の使用を可能としています。
ただし機体事態をビーム兵器対応にすることは難しく、現状だと光学センサーを用いたマニュアル射撃になっているとか。
まぁFCSを完全に交換する必要がありますからねぇ……。
肩関節を前方にスイングできる可動機構のため、ビームライフルのダブルハンドホールドも可能。
OS制御ではなくマニュアル射撃専用の機体というコトで、許しましょう(何)。
砲身下部からはビームサーベルも発振可能。
もっとも、付属しているのはクリアパーツではないので少し悲しい見え方になります。
機体構成が殆ど同じアヘッド(ブシドー専用)と並べまして。
アヘッドを組んだことがあればティエレン組むのは簡単ですねぇ。(その逆も然り)
題:『明るい家族計画』
……第7話時点ではセルゲイ大佐はソレスタに付くか、第三勢力として台頭するかと思ったんですが……何故こんなことに……。
最後は娘との共闘シーンで。
あんなにも燃えるシーンだったのに、どうしてあのアンドレイのクソバカは……。

(以下延々とアンドレイに対する恨み言が続きます)


っということでセルゲイ専用ティエレンでした!
正直なところ第一期の時点では殆どプラモを購入していなかったさとっちですが、
コレは傑作キットだなぁ……と実感しながら組み上げていました。
こうなると1/100スケールのティエレンも組んでみたくなるなぁ。