バンダイ EX-F 『DEVILMAN』版 デビルマン
さてさてさて。


人生において大切な事は、いつも突然やってきます。
恋であり失恋であり異動の辞令であり退職勧告であr(重いわ)。
さとっちさんにもそういった、実に『大切なこと』が現れたのは先週の事。
しろがねさんから「とあるフィギュアが100円で売られているよー」という情報を教えてもらったことにあります。


この大量生産大量消費の社会において、1個100円とは実に甘美な響きを持ちます。
原油や小麦を原料とした商品がメーカーの勝手な都合で値上げとなり、本業の給料は上がらず、欲しいフィギュアは延期を繰り返しつつ大量に発売され成人コミックは股間を刺激し猥褻DVDは本能を直撃し昨秋放送アニメのDVDリリースは佳境に入り、買えども買えども止まらぬ購入物資の着弾量。
もはや楽しむために買ってるのか買うために買ってるのか分からない、そもそも分かったところで止めようがない。
自ら這い上がれる見込みのない深い穴を掘ってはそこに身を投げてのた打ち回りながら無理やり這い上がるような生活をこなす、そんなハードな日々を生き抜かんとする我が生活スタイルはどうにかしていきたいものですが、まぁ無理だと思われます。

そんな現代社会を戦い抜く戦士たるさとっちさんですが、1個100円で買えるものといえばせいぜい安いおやつや安いガチャガチャ、あと100均ショップでアヤシゲな生活雑貨ぐらいのもの。
レビューで使うようなものはとてもではありませんが買えるものではないだろうと。 そう、思っていた日がありました。


話は変わりますが、2004年に『DEVILMAN』という映画が公開されました。
それは1千万の言葉を費やしても語りつくせぬ、少なくとも21世紀に入ってから作られた邦画の中でもトップクラスに酷い映画であり、
映画という存在を超越した所にあると言っても過言ではないあらゆる意味での問題作。
公開当時にありとあらゆるメディアで酷評されていたのを見て、むしろそれは見なければさとっちさんの存在意義に関わるよね!!!
と思い、劇場へ観に行ったのが4年前か。5年前か。予想をはるかに超えるダメ映画っぷりに散々打ちのめされ危うく再起不能になるところでございました。
一人ではさすがにアレなのでツレを無理やり巻き込んで行ったらより一層大惨事になったのも良い記憶です。

……そんなダメ映画をその後、会う人会う人全員にオススメし続けてたさとっちさんも非常にアレですが、
そんな映画を10回以上も見ているしろがねさんも鬼極まると思います。既にマイスターの領域にいると言っても過言ではない。


閑話休題。


そんなワケで、少なくともさとっちさんの映画趣味嗜好に何かしらの影響(悪、が付く方の)を与えていると思われる『DEVILMAN』ですが、
あんな映画でもバンダイが製作に携わっている関係で、実は立体アイテムもリリースされておりました。
売れ行きとかもう考えたくも無い、考えなくても判るレベルのものではありますが、誠に残念なことに、問屋が買取で入荷しちゃったものはやっぱり廃棄されることも無く、倉庫に眠ってたりするわけですね。
かつてプロメテウスは人の世界に怒りや憎しみ、病気、謀略などの醜いものがはびこらぬよう、
黄金の箱にそれらを封じたと言います。

しかしエピメテウスの妻であるパンドラは、エピメテウスがプロメテウスから預かった黄金の匣に魅せられてしまいます。
兄であるプロメテウスの「開けてはならぬ」との言いつけを守ろうとするエピメテウスに対し、「開けてくれなければ命を絶ちます」とまで言い張るパンドラ。
パンドラを失いたくないエピメテウスは黄金の箱を開けてしまいますが、その瞬間、箱の中に封じ込められていた悪しきものが人間の世界に解き放たれてしまいます。
慌てて箱を閉めるもすでに手遅れとなり、途方に暮れる二人。
そのとき箱の中から聞こえる「私も外へ出してください」の声。
プロメテウスは最悪の場合を考え、箱の中に『希望』も入れていたのです。




まぁそんなことはどうでもいいんですが。



……だってほらパンドラの箱は教訓話ですがそもそも今回の場合『何が中に入ってるのか知っている』上に、
むしろそれが届くのを若干楽しみにしてたりもしますし、入ってなかったら逆にお店にクレーム入れなきゃいけないとか何とか。



そんなわけで異様なる大きさの不気味な威圧感を放ちまくる段ボール箱を開けましたが、まずあったのは梱包剤代わりの古紙。

これを「邪魔なものが入っている」と捉えるか、「死刑宣告のタイミングが一瞬延びた」と思うかで、あなたの人生の過ごし方は変わってくるでしょう。多分。
その梱包剤代わりの古紙を3枚ほど引っ剥がすと、中にあったのはこんなのでした。


パンドラの箱が『災厄を閉じ込めた箱』であるならば、上でお見せした段ボールはさしずめ『デビとかデビとかデビとかデビを閉じ込めた箱』でした。より正確に言うなら絶望しか入っていない箱でした。

1個100円で売られている、定価1200円(+税)のフィギュア
それを12個買っても定価で1個買うのと同じとなれば、それはもう吶喊せざるを得ないではありませんか。
純粋に1個だけ買うというのも考えましたが送料の方が高くつくという非常極まる現実の前にアッサリと断念、1個よりも5個、5個よりも12個!!という実に明快極まる男的思考回路によりわずか3分で注文完了してしまったのです。

注文したのは自分であり、誰に非があるわけでもない、いや、強いて言うならあんな映画を作った東映に全責任を転嫁したい気持ちで一杯です。悪いのは俺じゃない、世界の方だ!!!!!
とりあえず開けて途方に暮れてても仕方が無いので床に一個ずつ並べてみた

全部取り出してから箱の中に希望の一つでも残ってないかと探してみましたが、デビの他に入ってるのは捨てるにも困る梱包剤代わりの古紙(大量)と納品書だけでした。
ちなみに合計12個を購入しまして価格としては1200円+送料500円でした。
悪夢を味わうのに特別なことは何も入りません。1700円ほどあれば頭を存分に抱えて余りある絶望と悪夢を体験できます。







しかし本当の絶望と言うのはそう簡単に終わるものではなくてですね。






部屋の壁が一面本棚ではなく「壁」である部分が残っていたという、
我が部屋のロケーションにすら絶望できるんですね。




……ちなみにシレーヌとサタンもそれぞれ1個100円で売られておりましてですね、むしろこうなってくると、

「あと24個ほど壁に掛けられるかなぁ」

とか思ってしまわないでもない。
もうちょっとだけ引いてみるとこんな感じ。
横にある本棚にはDVDとか美少女フィギュアとかプラモが飾られているわけですが、
その横に突如異彩を放ちまくる地帯が出現しているのが分かるかと思います。

ちなみにこの壁に沿ってベッドを置いてありまして、本棚の方が頭側になります。
即ち朝目覚めてちょっと横を見ると底には清清しいデビ×12.
それは即ち「おはよう!デビルマン」

いや、映画に倣って言うならば「グッドモーニング!!デビルマン!!」とでもなるでしょうか。

……今日の朝それをやってリアルに壁に頭突きしたくなった。
果たしてコレをレビューしたところで買おうと思う人がいるのかどうか甚だ疑問で怪しくてやや気力を失いつつありますが、一応中身のレビューはしておこうかと思います。

サイズは13センチ程度の高さに対し、翼が異様に場所を喰うという、実に飾りにくいタイプのフィギュアです。
素材はほぼ全部がPVCですが、右足の後ろから跳ね上がってる土だか泥だか分からないナニカはABS製となっています。
見れば見るほど何だか腹立たしくなってくるのはきっと気のせい。
映画で使用されたCGデータを使って立体化したというだけあって、造形の方はサイズにしちゃ良い感じ。
ただモチーフがモチーフなので壊滅的なイメージがあるというか。

……というよりも、正確には、何だろうね、あの「たぁ」「はぁ」「てや」「ほろびろ、でーもん!」という間抜け極まるバカ声が再生されて仕方ありません。無理だ。
脚部はこんな感じ。見れば見るほど足の逆毛が気にならないでもありません。
右足の下から跳ね上がってるパーツは2ピース構成です。

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翼はクリアパーツの上から塗装されているため、微妙に光を通してくれたりもします。
そんな楽しみ方に無事遭遇できたこのフィギュアが果たして日本に何体あるのか、甚だ疑問ではありますが。
コピーライターかくあるべし、とでも言うべきパッケージ裏の作品紹介部分。
そうかー、こうやって概要をまとめてあげることもできるのかー、と思ってしまいました。

さとっちさんがまとめると「バカしかいない映画」とか「絶望的な映画」とか、「クソ映画マニアにとって最高のご褒美」とかにしかなりません。
こういうオブラートに包む方法は見習いたいものであります。見習ったところでどうなりようもありませんが。